第8話 ハーピーですよ! 最弱職!

「ん……? ここは……私の部屋……?」


 あれ……? 私いつの間にか寝ちゃってたんだ……。

 私はリビングへ向かう。


「あら、今日は早いわね」


「え、うそ」


 ほんとだ。普段起きてる時間より二十分も早い。


「疲れちゃってたのかな」


***


 今日はいつもより早く学校へ着ける! いつも遅刻ギリギリだけど早く着けそうでテンションが上がる!


「おはよー!」


 私は勢いよく扉を開けた! あれ? 早すぎたのかな。由紀以外いない。


「あれ!? 琴音!? 今日は早いね!」


 由紀が嬉しそうにこちらに走ってきた。


「でしょ! 由紀こそ早いね! いつもこんなに早かったの?」


「へへ。まぁね。それにしても昨日いきなりログアウトしたからビックリしたよ。ごめん。眠かった?」


「ううん。いつの間にか寝ちゃってたから自分でもビックリしちゃった。今日はなにする?


「とりあえず今日はハーピーの里探しかな。早く里を見つけないとすごくマズイんだよね」


「なんで?」


「これまでと同じならレイドイベントって、ある一定の時間が来たら強制的に始まるんだよ。そして今回もレイドイベント。つまり、急いでハーピー達の動きを突き止めないとアイツらに先手を取られる」


「すごくマズイね……。一体、どこにハーピー達の里があるんだろ」


「それが検討も付かないんだよ……。ハーピーってレア種族で出会うことすら困難って言われてるんだ。だから見つけれずに終わる可能性だってある。どうしよ……」


 どうしよ。答えが見えない……。


***


「やるわよ。リウラ。アイツより先にハーピーの里を見つけないと」


「それでお姉ちゃん。どうやって見つけるの?」


「ふっふっふ。それはね図書館を使うのよ! 図書館になら本の一冊くらいらあるでしょ!」


 リウラが固まる。


「えっと……。うーん。それ、めっちゃ時間かからない……?」


「えぇ! だから任せたわよリウラ!」


「ブラック企業よりブラックだ……」


 私たちは街の図書館に走って行った!

 図書館はかなりの広さで地上三階建て、地下はそこが分からないほどに広がっている。


「この中から探すの……。ハーピーの情報。お姉ちゃん。これ、本当に見つかる……?」


「や、やるわよ! ネア! とにかく探さないことには始まらない!」


「あぁー最悪!」


 一冊目。「スライムの生態」。二冊目。「悪魔について」。三冊目。「魔族とモンスターの違い」。四冊目。「不老不死の人間」。

 だめだ。どれもこれも関係ないやつばっかり。

 それから何時間経ったのかな。私たちはかなりの時間、図書館で過ごした。


「あぁー! お姉ちゃん! これじゃない? あった! あったよ!」


「うそ!? もう見つかったの!?」


「うそ!? ってお姉ちゃんも内心、見つからないって思ってたんだ……」


「気にしない。気にしない! それで? なんて書いてある?」


「んっとね。あ、これかな。『ハーピーの住処。ハーピーはウルスタ山に住処を作っているとされる。ただしハーピーの里は特別な結界で覆われており、他種族は入ることが出来ない』って……え?」


「入ることが出来ない!? なにそれ! じゃあ、どうすればいいの!?」


「どうしよ。とりあえず向かってみる? ウルスタ山ならワープポイント解放してたでしょ?」


「当たり前! というかハーピーの里があるなんて気が付かなった」


 とりあえず行かなきゃ。なにがあるか分からない。


***


 ワープ完了。さてハーピーはどこに……。


「お姉ちゃん。すごくピンチじゃない? これ」


「うわ……。なにこの状況……」


 ハーピー十人くらいに囲まれてる……。


「何者だ。貴様ら」


「私はただ冒険者だよ。神様からアンタらが人間を襲うって聞いてね。止めに来た」


「我々が人間を襲う? ふざけるな! 『コルニスター』じゃあるまいし、あんなヤツらと一緒にするな!」


「『コルニスター』? なにそれ?」


「とにかく立ち去れ! 我々は今、忙しいのだ!」


「はっ! 冗談きついね。そんなこ……」


 ネアが私の口を抑える。


「邪魔してすみません! 今すぐ帰ります! お邪魔しましたー」


「んー! んーーー!!!!」


 私たちはそのまま街へ戻ってしまった。


***


「ネア! なにすんのさ!」


「お姉ちゃんこそ! 私たちの今日の目的は情報を引き出すことでしょ! 『コルニスター』ってヤツが今回の敵っぽいのに、あの人たちと敵対してどうするの!」


「それは……」


「あれ? リウラ。それにネア!」


 げっ……。この声は……。


「スノー! それとその人は……?」


「あ、そっか。ネアは初めましてだね。この人は……そういえば名前、聞いてなかった……」


「名前……名前……私は……コト! コトです!」


「コトちゃん! よろしくね」


「それで? アンタたちは新イベントの情報、集めれたの?」


「それがまだまだなんだよね……。ハーピーが怪しいってことは分かったんだけど……。肝心の居場所が分かんなくて……」


「ふっ。私たちは分かったわよ」


「え、うそ!?」


「ずばり、ウルス……」


「わー。そこまで情報収集できるなんて危険だなー」


「「「「え!?」」」」


 その時、真上から声がした。


「黒い……ハーピー……?」


 コトがそう呟く。


「まさか……アンタが『コルニスター』!?」


「ご名答」


 レイド戦。スタート。




 











  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

初心者ゲーマー最弱職で最強になる。~魔法使いが最弱職のありえない世界~ @mesa_rin

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ