第23話 不思議回廊エレデからの脱出
ピピピピピピピ
聞きなれたアラーム音。
目を
「夢?」と、りおは起き上がった。
デジタル時計をわしづかみにする。
そこには、7時10分、そして、7月10日の文字が
「ああ、なんだ。やっぱり夢か」
でもなんだか、とっても大切な夢を、見たような気がする。
みーくんは、いつもの
「みーくん」
もちろん、みーくんは、返事をしない。
少しすり切れたタオル地の水色に生気はなく、物体として、みーくんはそこにいた。
そうして当然、ゆたぽんはいない。
「さみし…」
りおは、みーくんを
「みーくん、たくさん、ありがとう」
りおは、いつも通りの時間に家を出た。
グレーの建物はどこにもない。
夢なのだから当たり前なのだが、りおは、ないことの方を
夢とは
そこには、れんれんの姿もぼぼちゃんの姿もない。
チリチリっと
ギリギリまで待って、りおは、ひとりで学校に向かった。
辛くないわけがない。
だけど、メロウが自分を
ひどいことをしたなら
私は、れんれんが好きなんだよって伝わるように、おはようって
大好きなレヴァンと
それを見送ったレヴァン。
世界は美しいの。でもいつか、ニュクスの星空も、金の粉が舞う夕日も、命の
正しさなんてわからない。だったら、一生懸命生きるしかない。
皆、何かを抱えて生きている。
◆◆◆
学校に着くと、りおは靴箱に向かった。上靴に
「まだ来てないなんて事、ある?」
りおは、気になって、れんれんの教室に向かった。
入口近くにいた女の子に聞いてみる。
「あの、れんれんいますか?」
「レイン?」
りおは、
ほとんどの子は、れんれんをれんれんと
だけど、れんれんの本名は、そう、レイン。
りおの
「ねえ、レイン知ってる?」と、女の子が近くの男の子に聞いている。
「
女の子は、りおに向き直って「休んでるみたいよ」と、言った。
なぜだか、りおは、頭が真っ白になるのだ。
『
レイン、レイン、レイン…。
やけに静かだった。
どこを通って自分の教室まで来たのか分からない。
辺りを見回して、りおは、何とも言えない
始業のベルはまだ
「学校が、こんなに静かだなんて」
(ノッシッシ)
りおは、後ろのドアから入って、一番奥の、一番後ろの自分の席に着く。
全員が、もう着席していた。ひなのの席は、ぽっかりと空いている。
(ノッシッシ。ノッシッシ。)
担任の
(ノッシッシ。ノッシッシ。ノッシッシ。)
そして、出席を取り始める。順々に各自返事を返していた。いつもの、
だが、何かが、
(ノッシッシ。ノッシッシ。ノッシッシ。ノッシッシ。)
「では、ホームルームを始めます。」
そう言って岡林先生が黒板に
ペラペラなのだ。先生が、トランプみたいに
ノッシッシ――。
りおは、ゆっくり窓に目をやった。
窓の外に、
ドッシーン。
なにかの
見覚えのあるグレーの建物が、教室の窓という窓いっぱいに広がっているのだ。
「エレデ?」
ポケットから、お
りおは、思わず大声をあげた。
「うそでしょ!!!」
同級生たちが
彼らは、上手にねじられたトランプのように、美しく重なり合っていた。
マジシャンの手の中で、今まさに、高く飛びださんとするかのように、彼らはその
この後、何が起こるか、
一番後ろのりおには、
だが、足が勝手に、後ろに向かって動く。
トランプの彼らは顔を歪め、ギュイーンとばかりに、
一歩、また一歩。りおは、息をひそめて後ずさった。
そして、まずいことに、その又一歩を、
ダンッッ!!!!
「 ――― ひっ!」
完
★―――――――――――――――――――――――――――★
これが、映画だったら、エンディングは、四方八方に飛び出す同級生達や、逃げ惑うりおを、スローモーションで描いてですね。エンディング曲と共にテロップを流す、なんてことをやりたいわー、と思うのですが、如何せん、ただの妄想です(笑)
本当にまあ文章力もなくて(涙)、意味が❓な部分も多かったはずなのに、読んでくださった方には、ただただ感謝しかありません。
※続きがあるようなラストにしてありますが、特にうけてないので、大丈夫です。続きはないです。
本当なら中編を書けるような腕はないので、もう、やれやれですよ、終われて、とにかく、ほっとしています。
めいっぱいの感謝を込めて、ありがとうございました。
<完結>精霊と回廊の城エレデの魔法世界 桃福 もも @momochoba
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