神に転生した者~その記憶~

マサコルト

第1話 精神の内側

「此所は…」

目を覚ますと何もない黒い空間に居た。何故こんなところに居るのか思い出そうとするが何も思い出せなかった…自分が何者かさえも。

「…私は…何だ?」

そう口にしてしまう。すると声が響いてくる。

「やぁ、目が覚めたようだね」

声の主を探そうと辺りを見渡すが誰もいない。

「探しても無駄だよ。今の君に僕を見ることはできないから」

「それは…どういう…」

「今はまだその時じゃないし、まず君は記憶がないでしょ?」

その言葉を聞き驚く。

「何故そのことを…」

「僕はずっと君を観ていたからね。君のことは何でも知ってるよ」

「!?」

「さて、君には記憶を思い出して貰いたいんだけど…まず此所の説明をしようか。それでいいかい?」

「ああ、かまわない。私もそれは知りたかった」

「そうかい?じゃあ説明しよう。此所は君の精神の内側…その底さ」

「底?」

「精神の内側の底とは、僕のような存在が居る場所のことさ」

「貴方は一体…」

「まだ教えられないよ。まあ此所の説明はこのくらいにしといて、次は記憶だ…これに関しては言葉で伝えるより観た方が早いな」

「観ると言うと?」

「まずはそれに触れてくれ」

「それ?」

「目の前にあるだろ?」

その言葉を聞き視線を下に移すと…白く輝く球体が浮いていた。

「これは?」

「今までの君の記憶の塊だよ。それに触れると全ての記憶が戻る」

「なるほど…触れれば戻るのか…」

「ああ…だけど辛いよ、長く生きていればいるほど負担が大きくなる。下手すれば精神が壊れるよ。覚悟はあるのかい?」

その問いかけにたいして笑みを浮かべ

「問題ない!」

そして記憶の塊に触れる。すると白い光が目の前を覆う。

「ぐぅ…」

次々に記憶が流れ込んでくる…もう一度体験したように…






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