「女は何かと物入り」と言われたら……

第1話

皆さんは

「女は何かと物入り」だよね。

と言われたらムッとする感じですか。

それとも、分かってくれてる！　と喜ぶ派ですか。

物入り自体は、必要なものがある、とか。単純に物がいる、散財、なんて意味があるみたいです。

私。

長年この言葉にいい思いを抱いていなかったのです。

なんか。

女は物をいっぱい必要。

所有する欲のある生き物で、そうでないにしても必要な物が沢山あって消費しなくてはいけない、又は所持しないと生きられない。

物がないと困る生き物みたいに捉えてしまっていたんです。

たとえば、デリケートな話というか、汚かったら申し訳ないんですが。

みなさん、澱物シート。

ご存知、もしくは使用しますでしょうか？

あれも下着が汚れなくて、急な生理でも結構吸収してくれるので、下着の清潔や生地の綺麗さの維持、洗濯の軽減、急な月のものへの対処まで大助かりなんですけど、まあ、いっぱい入って五百円、六百円強、といいますか。

お金に余裕のあるお家でしか買えないですよ。

娘になった頃、母から

「女の子はおりものというのが出るから、このシートを使うのよ」

と、まだ家計がそんなに苦しくない時代のお淑やかな母から教わったりもしたのですが。

家計が火の車になった時、母は髪にも気を配れず、美容室から千円カットに切り替え、ナプキンは通気性が悪くてすぐ蒸れて匂うものに商品を変換されました。当然、澱物シートは買えなくなりました。

「女は何かと物入り」

女であることは嫌いではありません。父に家庭内でいじめられた際はいっそ男だったらもっと戦えるのに、と辛く思った事はあります。

女は……、なんだろうな。あと小物。物入り……。私は苦手だからできませんが。

まず眉毛を剃る専用の小さい剃刀。

女だって顔に産毛が生える人は生えるので顔剃り専用の剃刀も要ります、あとアイブロウ用の櫛とブラシ、それに眉毛を描くペンシル。

それだけでも余計な小物です。

なんだかなー、と思います。

男の人も何かと物入りだとは思いますが。

「女は何かと物入り」……。

この言葉はとある時まで、私にとっては重い一言でした。

そんな言葉の印象をガラリ、と！

変えてくれたのが、なんと。

乙女ゲームでした。

様々な男性キャラクターと恋愛を楽しめる、あのジャンルのゲームです。

頼るところも帰る場所もない乙女な主人公に、優しく男性キャラクターが言うのです。

「仕事のことや金のことは気にせず買い物してこいよ。『女は何かと物入り』……、だろ？」

なっ！！

なんだろう、紳士とは程遠いけど、女の子が隠れてでもこっそり買わなきゃいけない物とか、他人に見られないであくまで生きていくために買わなければいけない物を仕事も気にせず買うてこい、とな！

たしか、たしか女子高生が過去に飛ばされて、記憶喪失に陥りながらも、その時代で精一杯生きる、そんなゲームだったかと。

セリフも細部は違うと思いますがすみません。

もしかしたら違うゲームかも知れないのですが。

そのセリフを言ったキャラクターは新進気鋭の役者をしながら、その美貌と演技力を活かし、夜は芸者（女の人に化けて！）をして劇団の資金を稼ぐ、置屋に暮らす年上の男の人、というキャラクター。

だったような気がする……。

男も女の気持ちも芸に磨きをかけるため、学び、演技に昇華する。そんな彼から「女は何かと物入りだろ？」なんて気遣いされちゃうんです。嫌味なしに主人公を思って、必要なものは気にせず買ってこいとな。

いやあ。

乙女ゲームは、女に好かれるよう命を吹き込まれたキャラクターはすごい。

長年、悶々とさせ続けた言葉を一気に気遣いの優しい「我慢しなくていいんだよ」に変えてくれるんですから。

綺麗になるため、生きるため、ちょっとでも素敵になるため、普通に生活できるようにするための「物入り」を、すとんと大切な生活に役立てる「物入り」にするりと言い換えてくれる。

なんか、楽。

まあ、現実の私はグッズを買い漁って反省もせずに。

そのキャラクターの言う

「女」の「物入り」な買い物をしていないのですがね。

ディオールのファンデとかイヴ・サンローランの口紅とか買ったことない。

それでも、確実に。

その男性キャラクターのおかげで。

「女は何かと物入り」は気遣いの言葉にもできるんだ、モテる男はきっと言わずにさらりと女の「物入り」を察してるんだろうなあ。

嫌味たらしく

「女は何かと物入りだよなあっ！」

なんて鼻で笑う人見たことないけれど……。

明鏡止水、二次元の男性に心を救われ世界に感謝しましたね。大袈裟な言い方ですが単純に言うとそうなんですもの。

そんなわけで男性の皆様。女は細かい生理用品から化粧用品、身の回りのものまで色々買っているかと思いますが。要らないものには注意をして、プチプラで綺麗になろうとしたり、反対にお高いコスメで綺麗になってたり、すごく高いソファねだったりするかも知れませんが。

「女は何かと物入り」

ぜひ、念頭に置いて時にはピシッと。時には優しくしてやってください。

まあ、私恋愛したことないんですけどね。