芝3000〜鼻差内での攻防〜
古博かん
迷実況は何度でも擦れ
澄み渡る青空、馬場の状態も非常に良好、KAC競馬場。
本日のメインレース、第八回カクヨムアニバーサリー大賞典G2。
直前にボールペンの故障により、ネンドマツキライダが取消となりまして、十四頭でのレースとなります、本日のKAC競馬場、芝三〇〇〇文字数メートル。
実況はアニバーサリー四年目、わたくし
——はい、よろしくお願いします。
さて、各馬続々とゲートインが進んでおります。
やはり本日の注目は、逃げ宣言をしておりました八番リーヴミーアローン、
そして、どこまで縋り付いていけるか、三番モウハナサナイデ、鞍上乗り替わりましてマッタ・ナシーデ、外国人騎手との初コンビで臨みます。
トリカワさん、本日のモウハナサナイデ、仕上がり具合はいかがでしょうか。
——そうですね、非常に落ち着いているように見えます。
最後の直線勝負まで目が離せないレースになりそうです。
あと残り何頭でしょうか、後退りしていたマダカケテナイヨ、今ゲートに入りました。最後に悠然とスピークミーノット、そして前回王者ディープサイレントも今ゲートイン。各馬収まりました。
体制完了、各馬一斉にスタート。
一番ディープサイレント出遅れました。鞍上、
まず最初に飛び出したのは十一番ミキリハッシャ。
何と先行逃げ宣言のリーヴミーアローンに先駆けての走り、序盤から掛かっています。
続いて内からサイレントホラー、カクヨムオーダー、カクヨムカケバ。スーッと馬群から頭を出して、五番手にはホエロバッファロー、外からステイウィズアスも好位につけています。
馬群かたまりましてインコース、マツリダワッショイ、ニアリーノーズ、間にシャットユーアップ、やや後ろスピークミーノット、並んで外、ここにいましたリーヴミーアローンは中段後方、内に三番モウハナサナイデ、ぴったりと付いています。
少し離れて、出遅れたディープサイレント、そしてマダカケテナイヨは最後方からのレースとなりました。
先頭から最後尾まで約十六馬身差、それほど離れていません。
八百文字は狙いもせず通過、三、四コーナー進んでいきます。
ここで四番ホエロバッファロー単独で抜け出しました。
外から続けて五番ステイウィズアスも追っていく。そのまま先頭が入れ替わりました。
おっと暴れている、暴れているぞ、五番ステイウィズアス。鞍上は
——落とす気満々ですね(ボソ)
ジョッキーを振り落とさんという超加速、ステイウィズアス圧巻の走りでホエロバッファローを振り切り、あっという間に先頭に立ちました、第四コーナーからのホームストレッチ。後続とは四馬身差ほど。
馬群は多少バラけたでしょうか、各馬少し間隔が縦に長くなり直線に入ります。
先頭を行く五番ステイウィズアス、五馬身差ほどあけて四番ホエロバッファロー、続けてサイレントホラー、カクヨムオーダー、シャットユーアップ馬群から半馬身抜けてこの位置。
外スピークミーノットじわじわ上がってきています。
ミキリハッシャは中段からやや後方に下がりました、内からニアリーノーズ、マツリダワッショイ、そして中々馬群から抜け出せないリーヴミーアローンは苦しい展開、そこにぴたりとモウハナサナイデが並んでいます。
二馬身後方、十五番マダカケテナイヨの最後尾は変わりません。
先頭、第二コーナーを曲がり向こう正面。
一周半のレース、残りあと半周を残してどうした、ステイウィズアス! 失速! 後続がぐんぐん追い抜いていく!
故障か、こんなきみの姿は見たくなかった!
大外、逸走気味にあっという間に馬群に引き離されました、ステイウィズアス!
最後方、マダカケテナイヨ懸命の走り。
ここで、息を吹き返したか、ステイウィズアス、馬群の尻尾に噛み付かん勢いで再加速! 速い、速い、きみはまだ終わっていなかった!
——ゴール位置を間違えたんでしょうね(ボソ)
三コーナー手前、マツリダワッショイちょっと
後ろ足がサボっている!
当たり前のように失速、最後尾から二番目に後退しました!
——後脚の打点が非常に高いですね。
何と、二コーナーから三コーナーにかけて、しっちゃかめっちゃかしている間に、内から伸びてきていました、王者ディープサイレント!
さあ、四コーナーから最後の直線、まるで忍者のような静かな末脚が爆発しています。外からは黄金の速さでステイウィズアス、馬群を抜けた六番ホエロバッファローも譲りません!
残り三百メートル、リーヴミーアローンは来ないのか、依然先頭は一番ディープサイレント、五番ステイウィズアス、六番ホエロバッファロー三頭の激しい叩き合い!
残り二百メートル!
リーヴミー来た! リーヴミー来た! リーヴミー来た!
リーヴミー頑張れ!
リーヴミー馬群をこじ開けて抜けてきた! 三番モウハナサナイデもピッタリと追随! まとめてかわしていきます!
しかし、ディープも差し返す!
六番、吠える!
リーヴミー逃げる、ハナサ粘る!
リーヴミー逃げる! 鼻差で逃げる!
ハナサ逃さない! ハナサ離れない!
リーヴミー苦しい! リーヴミー逃げ切れ! 残り百メートルを切った!
大外から何か突っ込んでくる!
上がってきたのはマダカケテナイヨ! 何っ、マダカケテナイヨ !?
これは大変だ! 書けてないのに最後尾から飛んできた!
リーヴミーか、ハナサか、ディープか、六番!
大混乱、大混乱、大混乱dごぉぉぉぉおおおr!
誰だ、誰だ、一体、勝ったのは誰なんだぁ——あsdfjklっ !?
——大混乱dごぉぉぉぉおおおrって……(笑)
これは大変なレースになりました。ゴールは接戦も接戦、大波乱です。無事に幕を閉じられるのか、今年のカクヨムアニバーサリー大賞典。
あ! 審議です、審議ランプが点灯しています。
おそらくは五番ステイウィズアスの逸走、そして十番のマツリダワッショイの前脚二足歩行が審議対象になったものかと思われます。
——まあ、そうなるでしょうね。
トリカワさん、今年のレース、どのようにご覧になりましたか。ちょいちょいマイクミュートが外れていましたが。
——おや、そうでしたか、失礼しました。予想を裏切る期待通りとも、期待に応えた予想外とも、どちらとも受け取れますね、審議の行方は気になりますが、実に見応えのあるレースだったと思います。
はい、最後まで全く気を抜けない展開が続きました、今年のカクヨムアニバーサリー大賞典。どうやらパトロール映像が流れ始めたもようです。確認してみましょう、ゴール付近。
やはり八番リーヴミーアローン、それから三番モウハナサナイデ、今回も壮絶な鼻差内での大接戦を繰り広げています。
内ラチ側、一番王者ディープサイレントも首の上げ下げが非常に僅差で被っているように見えます。しかし、手前外、六番……あっ、ごめんなさい。スピークミーノットですね。大変失礼いたしました。
——いつから勘違いしてました?
おそらく、しっちゃかめっちゃかの辺りから……。
おっと、五番ステイウィズアス、ゴール後流したあと、戻ってくる途中でどうやら生贄騎手を振り落としたもようです。
内ラチに足だけ見せて引っかかっているのは、多分そうですよね、トリカワさん?
——そうですね。
そろそろ、この光景も風物詩になりそうです。時間がかかっていますが、まもなく結果が出てきそう——です。あ、出ました。
一着、八番リーヴミーアローン、二着ハナで三番モウハナサナイデのワンツーフィニッシュ。その差、何とわずか三センチ!
三着はどうやら六番スピークミーノットもハナ四センチ!
圧倒的ハナ!
王者ディープサイレント、ハナに敗れましたァ!
そして十番マツリダワッショイは失格、失格となりました。
——あり得ない走り方しましたからね。
(スタジオに引き取られて現地実況フェードアウト)
第八回カクヨムアニバーサリー大賞典(G2) 2024・幕
芝3000〜鼻差内での攻防〜 古博かん @Planet-Eyes_03623
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます