第一生
〜生き止まり〜
「人生って無情だな。」
私はそんな独り言を呟きながら階段を上がっていく。
扉を開け、少し強めの風が私に当たる。
今日は珍しく誰も居ないようだ。
静かに前に進み、私は目の前の柵を軽々と乗り越える。
見下ろせば車が通り、人が歩いている
「もう少し、人通りの少ない場所の方が良かったな」
そんな、今更な戯言を口にし、前を見る。
下を見たら恐怖で1歩進めない可能性を加味して何も見ないで前に進むことに目を閉じ足を進めようと体を動かした
「何してるの、君、こんなところで?」
人の声が聞こえた、咄嗟に後ろを向く。
そこには宙に浮いた女の人がいる。
自分自身でも意味がわからないが目の前には確かに空中を浮遊する女性がいる
死の恐怖とは怖いものだな。
まさか空中を浮遊する女性を幻覚で見せてくるなんてな。
私はその女性を無視し、体を後ろに向け下を見ないように前に進むことにした。
パチンッ
突如として大きな音がなった。
周りの景色が寂れたビルの屋上からピンクを基調とする部屋へと変わり果てていた。
何が置いている訳でもないその部屋の中で女性は私に問いかける。
「僕の質問に答えてほしいんだけど?」
これが走馬灯?だが私はこんな部屋知らないのだが...
「言っておくけど、走馬灯とかそう言うものではないからね」
女性は私の心を読む様にそう言った。そして女性は地面に降り、私に近づいてくる。
「...」
私は何かを言う気にもなれず無言のまま、女性を見つめる。
「自殺少女ってやつかい?なんとも滑稽だね〜」
女性は私の言葉を待たずに話しかけてくる。
「まぁ僕に見つかったことを残念に思うんだね、僕は恐ろしい吸血鬼だからね」
そう言うと女性は不敵な笑みを見せた。
「殺してくれるの?」
私は半ば無意識のうちにそんな質問をなげかけていた。
その言葉を聞いた女性はポカンとした顔をしてから笑いだした。
「ハハハ、君、面白いね。」
そう言いながらさらに近づいてくる。
「なら、僕がやることは決まってるね。」
綺麗な顔立ちだな。
初めは浮いている事が印象強くてあまり気にしていなかったが女性は美人と呼ばれるにふさわしい人だった。
そんな事を思いながら、ぼーっと彼女の事を見つめる。
一瞬痛みが走る。
彼女は私の首筋に口を付け、歯を立てていた。
これはなんなのだろう?なんだか少し痒い感じがするし、それに少し力が抜ける感じがする。
少しすると終わったのか口を離した。
すると
「おいしいな」
そんな呟きが聞こえた。
何がかは分からないが目の前の女性はなにかにお気に召したようだ。
「結局、殺さないの?」
私はそんなことを聞いていた。
「殺さないよ?こんなにおいしい食料がすぐに使えなくなるの良くないでしょ?」
何を言っているのか分からないが私を殺してくれる訳では無いのならここにいる意味は無い。
「ここ、どうやってでるの?」
私は目の前の女性にここから出る方法を聞く。
「ん?そうだねそろそろ起きてもいい頃か」
「最後に伝えておくよ、私の名前は
そう言い終わると彼女はまた大きく指を鳴らした。
パチンッ
心之拠 御槍 翠葉 @goyari_suiyou
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