バニラエッセンスを舐めた話。

海猫ほたる

黒歴史放出祭

今回新たに始まったカクヨムの企画は黒歴史放出祭という事で、自らの黒歴史を語る時がとうとうやってきました。


……なのですが、実際の所本当にヤバい話はここに書けるはずもないのです。


なのでエッセイとして書ける物は、自分の中では黒歴史には入らないのですが、そう言う話はひたすらに細かくすり潰して、原型が残らないくらいになったものを、書いてるカクヨムの小説の中に忍ばせていたりするのです。


とはいえ父さん、それでは黒歴史放出コンテストに出す事はできないわけで。(黒板純風)


何か書ける黒歴史は無いかなと記憶をたぐる事にしました。


思い返せば子供の頃は危ない刑事デカにハマって危ない刑事デカごっこをして親に怒られたり、中学の掃除の時間にホウキで遊んでたら先生に怒られてホウキ使用禁止になったり……そんな事でも書こうかなと思っていたのですが、ふと幼少期の記憶が蘇ってきました。


あれはそう、小学生低学年くらいの頃の記憶です。


うちの親は割と色々な料理を作ってくれる人で、料理だけでなく、お菓子にクッキーとかケーキとかも作ってくれたりしたんです。


なので、キッチンにはお菓子作りに使う材料が色々と置いてあったんです。


しかもお菓子の材料とかだと甘い物が多いので、ちょっと味見してみたくなるんです。


そして、キッチンの棚の中に見つけてしまいました。


バニラエッセンスと書かれた小さな瓶に入った液体を。


試しに蓋を開けて匂いを嗅いでみたら、とても良い匂いがしたんです。


シナモンパウダーとか、シナモンの匂いがしてるし、舐めると少し甘いじゃないですか。


これも、バニラの香りがするわけです。


何しろ、バニラエッセンスです。


これ、絶対美味しいやつじゃ無いですか。


子供の頃って、大抵はなんでも口に入れるじゃ無いですか。


こんな明らかに美味しそうな匂いのするものを、舐めないという選択肢は無いですよね。


そして……舐めました。


結果、めちゃくちゃ不味かったです。


ただ不味いだけじゃなく、のたうち回るくらい不味いんです。


味ではなく、香り付けの為の物なのですね。


その時、理解したのです。


世の中には、匂いが良いのに味が不味いトラップって、あるんだ……と。


舐めてました。


そう、物理的にも精神的にもバニラエッセンスを舐めていたのです。


何でも口に入れるのは良くないですね。

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バニラエッセンスを舐めた話。 海猫ほたる @ykohyama

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