オメガバース、あるいは闇のフェミニズム文学

私はBLが好きです。
けれどこれまで、オメガバースには食指が伸びませんでした。

・私のオメガバースのぼんやりとした理解。
アメリカかどこかが発祥。
オオカミの群れをモデルにしたカップリング?
スーパーな攻め(α)と発情期のある(Ω)がいる。

何回か読もうとしたんですけど、
「こんな一方的な設定のどこが面白いんだ?」と思っていました。

でも今回、腰をすえて読みましたよ~。

最初はαΩβの設定を理解するだけで一苦労です。
そして、くり返し語られるΩの社会的劣位性。
こっちの社会的差別がメインテーマなのかな、というくらいです。

αΩβのややこしい設定。
これで何を描いているのかというと……、

実に巧妙に、現実の女性に課された生殖機能を持つがゆえの劣位性を、
男性におっかぶせている(体験させている)んだな、と感じました。

発情って、月経困難症のメタファなんじゃない? とも思ったり。

あと、収入がどうとか、社会的地位がどうとか、
性犯罪に遭っても黙殺されるとか、現実そのままですよね。

東条光というαの少女は、要所要所でかなり強気な態度をとる。
ふつうの少女なら、できないことだ。
それは彼女がαで、特権階級にいるからだ。

男性に妊娠と劣位性を体験させて、少女が保護されている。
これって、現実風刺のフェミニズム文学じゃないのかな?

みんな、この設定の何が面白くて読んでるのか不思議だったけど、
ちょっとわかったような気がしました。

海外でウケてる設定というのも、なるほどです。
韓国はフェミニズムが盛んですからね。

面白かったです。ありがとうございました。