第3話

 隣で父の大声が聞こえてきた。

「オカア、オカアて!」

「あんたはよおきなさい!」

 母が俺の身体叩いてやっと目が覚めると、隣で寝てたおばあちゃんを必死に父が揺すっていた。何かと思ったら、おばあちゃん、白目向いて口が半開きになったまま動かなくなっていた。僕に近づいてきた幽霊と全く一緒の表情だった。

 救急車のサイレンの音が家に近づいてきて、おばあちゃん運ばれたけど助かることはなかった。おばあちゃんが身を挺して僕を守ってくれた代わりに命を落としてしまった。

 本当に謝りたくて、あえて部屋真っ暗にして寝たことがあった。幽霊の行列の中にお婆ちゃんがいると思った。でもいつまでたっても行列が出てこない。もしかしたらおばあちゃんは行列じゃなくて俺の守護霊として守ってくれてるんかもしれへんなって今ではそう思うことにしている。

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迷信 佐々井 サイジ @sasaisaiji

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