第11話実技実習
ジリリリリリリッツ
携帯の目覚ましで起きた。
「もう朝か。」
そういい布団から出て、身支度を済ませる。
身支度を済ませ食堂へ向かおうと部屋の扉を開ける。食堂に向かい歩いていると
一条の声がした。
「おはよう」
一条の声がして振り返り俺も挨拶をした。
二人でたわいもない会話をし朝食をとった。
「そういえば、実技ってどこでやるのかな?」
功は
「研究エリアの実技棟でやると思うよ。」
俺は授業へ、功は研究所の実技棟へむかった。
午前中は九条から簡単な魔法式や初めて渡された魔法の杖の使い方を教わった。
午前の授業の終わりのチャイムが鳴り、
「さてと、そしたら午前の授業はこれくらいにして、休んだら、14時から実技に入る。杖を忘れずに。教室は研究エリアの、、」
俺は会話に割って入るかのように
「実技棟でしょ?」
そういうと九条は少し驚いて
「あれ、私言ってたっけ?」
「いえ、昨日功がそうだろうって」
「へぇ。一条に会ったんだ。」
「はい、いいやつですよね。」
「確かに。お前と一条なら気が合いそうだな。ただ、今日は研究エリアではなく、学術エリアの実技棟を使う。」
「なぜですか?」
「なぜって。お前、魔法使うの初めてだし。お前の魔法の能力が外部に漏れるとまずいだろ。何のためのリングだよ。」
そういい、俺のリングを指さした。
「それに編入紹介時に周りをびっくりさせる方が面白いだろ?」
「いや、面白いかどうかは関係なくないですか。わかりました。」
「それじゃあ、時間に遅れるなよ。」
「あ。」
「どうした?」
「そういえば、一条も実技受けたいって言って、一緒に受けようみたいな話しちゃった。これって、まずい?」
「はぁ。」
九条は少しため息をついて
「まぁ。功なら平気だろ。私から話しておくよ。」
そういい、九条は部屋を後にした。
俺は、昼食を取り終えて約束の時間の少し前に実技棟に来た。
実技棟は教育棟とつながっており、大きさも同じくらいだった。
九条は実技棟の部屋までは言っていなかったので実技棟の入り口で待っていると
「やぁ、早いね。」
聞きなれた声がしたので顔を上げると一条だった。
彼は動きやすい服装に着替え、腰には剣を刺していた。
「それは?」
俺は腰に刺している剣を指さし聞いた。
「あぁ、これね。剣の魔法具で。俺は、この、剣に魔法を込めて、強化したり、魔法を放ったりするんだ。」
そういい剣を抜いて刀身を見せてくれた。
刀身の鎬には何か書かれていた。
俺はそこを指さし聞いた。
「これは?」
「あぁ、これね。これは精霊文字(ルーン文字)と言って契約した精霊の力を魔法具に込めると浮かぶ印みたいなものかな。俺は火の精霊サラマンドラと契約してて、魔力を込めると刀身から炎が出るんだ。」
「へぇ、これが精霊。」
俺が感心していると
「二人ともいるな。」
そう声がかかり振り向くと九条がいた。
俺は刀を功に返し、九条の後に続いて実技棟へと入っていった。
実技棟は各階に二つの部屋しかなく部屋自体もかなり大きく、扉や壁もかなり頑丈に作られていた。
今回は一階の奥の部屋を使った。
「まず、魔法を放つ前の魔法回路に魔力を流すやり方について教える。魔法を使う上での基礎中の基礎だ。これができないと魔法を使うことができない。まずはイメージが大切なんだが、腹を中心にエネルギーが全身を血液が流れるようにイメージをしてみろ。」
そういわれ、目をつぶり頭の中で言われたようにイメージをしてみた。すると右腕のあたりに体表に回路のような道が青白く発色し浮き出てきた。
それと同時に体の中が少し暖かくなるのを感じた。
「筋はいいな」
九条は俺の状態を見ていった。
ただ、この状態はかなりしんどく、いうならば腹に力を常に入れていなければいけない。体力的、精神的にかなりきつい。
「やめ」
そういい、俺は力を籠めるのを中止した。中止した後は、俺はかなり息切れていた。
「はぁはぁはぁ。。」
俺の様子を見て九条は
「初めてにしては、上出来だな。いま魔法を回路に流していたのが大体3分ほどだった。これを基準に今後は魔法回路に流せる時間を増やしていく。」
「結構しんどいね、これ。」
「こればっかりは慣れだからな。そうだな、例えるなら、鉄棒の逆上がりだな。最初は全くできないだろ?そこから補助や手本を見て体に覚えさせて、最終的には体の使い方を覚えて{逆上がりをする。}と意識するだけでできるようになる。魔法も一緒だ。最初は慣れないが次第に体が覚えて、無意識で魔法回路に魔力は流れるようになる。」
「そんなもんなんだ。魔法ってイメージだとなんか体の使い方を一から考えなきゃいけないものかと思ったけど体になじませていくっていうイメージなのね。わかりやすくていいね。」
一条は俺の言葉を聞いてやや呆れた顔をしながら
「あの説明で理解できるなんて賢いのか感覚派なのか、、、」
そう言って俺を見た。
「この魔力操作を今日から午後の実技は続けてもらう。それとこれ。」
そう言い、九条は腕輪を出してきた。それを見て、一条は何かまずいものを見た顔をして
「それは、、、」
彼の顔は引きつっていた。
「こいつは魔力を流し続けないと体に電流が流れる腕輪でな。このスイッチを押すと魔力を流し続けないとほれ。」
そう言われ腕輪を受け取ると
「あばばばばば」
体に電流が流れた。よくいたずらで遊ぶビリビリペンに似た電流が流れた。
それを見て九条はくすくすと笑い、一条は俺に顔を背けて手で口元を覆っているが方が震えていて、明らかに笑っている。
「あばばって。やっぱり、面白いな、お前」
おれはこのふざけた女に殺意を抱く。
「お前、ふざけんなよ。楽しんでるだけじゃねぇか。俺はコントやってんじゃねぇぞ。」そう言い投げ返そうとすると再び電流が流れた。
「あばっつ。」
そう言い腕輪を地面に落とした。
「まったく。さっき言った事全然守れていないじゃん。魔力流せって。」
そう言い、九条は腕輪を取った。
「午後の実技実習中はこの腕輪つけて回路を流す特訓だ。それができたら、次だな。そうだな、まずは30分できるようになったら次に魔法を教えてやる。」
そう言い、彼女はそのリングの電源を切り、俺に手渡した。
「あんた、教えるの、めんどくさくなってない?」
「そんなわけないじゃない。まずは基礎の基礎からよ。じゃ、頑張って。」
「え、終わり?」
「え、うん。私暇じゃないし。」
「おい。まぁ、しゃあねぇ。やってやる。」
そう言い、俺は腕輪を左腕につけた。そして俺は魔力操作の練習を開始した。
俺が始めるのを見て九条は部屋を後にした。
それを見て一条が後をついて九条に話しかけた。
「待って下さい。あんな荒修行でいいんですか。彼、絶対行き詰りますよ。」
「うん?あぁ。まぁどだいこの一か月で君らに追いつけるまで仕上げなきゃいけないからね。王道のやり方は無理でしょ。もし、厳しかったらまた別の方法を考えるさ。」
「だからって、あんな丸投げじゃ。」
「多分だけどね。あいつ、私と同じ感覚的な所あると思うから、彼自身が自分の中で見つけるでしょ。それに、ああゆうの教えてもらって上達するわけじゃないから。」
「はぁ。わかりました。」
「それに、あんたもうかうかしてられないわよ。気づかないうちにあいつに抜かされるかもよ。」
そう言われ、一条は何も言い返せなかった。
(確かに。魔法を知って数日の人間が、今、魔法回路への魔法操作をやってのけた。これはうかうかしてられないな。)
「そうかもしれませんね。」
そう言い、一条は九条の後を追うのをやめ、日野がいる実習の部屋へ戻っていった。
「さて、私の方も下準備せな。」
それを九条は目で送り、歩みを進めた。
携帯が鳴った。
「九条さん、依頼です。」
九条の目つきが冷たく、強いまなざしに変わった。
マホウの世界 九条 聡希 @masa1997
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