第10話 気のいい友人
「俺は一条 功。魔法専門学校一年だ。君は?」
そういわれ、俺は
「日野 一。9月から魔法専門学校に一年に編入する。初めまして」
俺は、少し緊張しながら手を差し出すと彼は握手をしなかった。
「ふーん。聞かない苗字だね。」
(魔法師の世界は家柄の偏見があるからね。)
俺は九条の言葉、魔法師界の偏見のことを思い出した。
顔が少し緊張しているのか一条に分かったのか。
「あぁ、そんなに緊張しないで。君が九条先生が言っていた編入生か。よろしくね。わからないことがあったら聞いて。」
そういい彼は少し微笑んだ。
「ありがとう。君は夏季休暇でも学校にいるんだね。」
「うん。魔法の練習でね。あとは任務の見学とか。」
「そうなんだ。でも任務は試験が終わった後からじゃ。」
「ほんとはね。ただ、言えば連れて行ってくれるよ。俺、早く魔法師として強くなりたいんだ。」
そういった彼の瞳はまっすぐ、純粋なものだった。
俺は初めて学内で知り合いができ、彼を学食に誘った。
「もし、よかったらこの後学食一緒にどうかな。」
彼は快く承諾した。俺は部屋に荷物を置き一条と食堂へ足を運んだ。
「一条君はいつから魔法を?」
「功でいいよ。俺の家は昔から魔法師の家系で、物心ついた時から魔法は使えたかな。魔法の適応は強化と精霊魔法。後は、固有魔法なんだけど「激動」という感情の起伏で魔法の密度が変化する魔法を持ってる。」
(固有魔法?そういえば、魔法の適性の時に詳しい話はいっていなかったような。)
「固有魔法?それってどんなものなの?」
「知らないのかい。そうだな、基本、魔法師の適性は3つなんだけど。それ以外にそれぞれその適応に該当しない魔法が使える人がいる。その適応外の魔法能力を固有魔法というんだ。ただ、固有魔法は使える人が限られてて、持っているってわかっていても使えない人は正直多いんだ。俺みたいに昔からの魔法師の家系は固有魔法の使用方法とか、固有魔法の運用方法は相伝として残っているから使いやすいんだけどね。」
「へぇ、その固有魔法の出し方は?」
「そうだなぁ。言葉で言い表すのが難しいんだけどある条件をクリアすると発言する。詳しい話とか、そこら辺の使い方は俺より九条先生の方が詳しいよ。」
「そっか。今度聞いてみる。」
「そういえば君の適性魔法は?」
「俺の適応魔法は、、」
言いかけたとき腕につけたリングを見た。
(厄介といったのはこの稀有な適応能力を持っているから魔法師として色目で見られたり、色々厄介なことに巻き込まれるよということ。)
その言葉を思い出し、俺は
「強化と精霊魔法かな。まだ、魔法の実技やっていないからどんな魔法が使えて。どんな魔法師になるかもまだ。」
「そうなんだ。九条先生、教えるより感覚で話すところあるから気を付けてね。」
「そ、そうなんだ。大丈夫かな、俺、、、。」
俺は今後の幸先が少し悪くなった話を聞き、少し不安な顔になった。
そのあとは学校内の事、一条の家の事、色々話した。
一条家は皆、魔法師の家系で、五摂家の一つ、一条の本家だそうだ。家族は祖母、父、母、妹の5人家族。さらに功はなんとこの年で許嫁もいるそうだ。魔法師同士の結婚や許嫁を決めるのは早いことが多く、功も10歳の時に許嫁を決めたそうだ。同じ学校、同じ学年。今は夏季休暇で帰省中だそうだ。今度、休暇明けに紹介してくれるそうだ。
他に、魔法専門学校についてだがこの学校の役割りは魔法師の育成と魔法師の活動基地の役割りがある。全国に魔法師活動基地はこの東京都と京都府に二つある。育成機関はここ東京に一つのみ。だから、今同学年の魔法師は全員この学校に集められるそうだ。
一条は
「明日も授業?」
「うん、今日杖をもらってね。明日から魔法の実技もやるっていってた。」
「へぇ。そうなんだ。俺も参加してみようかな。」
「いやいや、もう習ったことなんだし、大丈夫でしょ。」
「そんなことないさ。九条先生から教わるなんてあまりないしね。それに君の魔法にも興味があるしね。」
俺は何でわざわざと思ったが口には出さなかった。
俺と一条は食事を終えお互い部屋に向かい帰路へ着いた。
一条は
「また明日。よろしくね。
「あぁ。また明日。」
就寝前に一条のことを思い出した。
いいやつだな。優しいし、偏見とかぶっきらぼうでもないし、仲良くできそうだな。俺は少し初めてできた友達がいいやつで少し安堵し眠りについた。
7月11日
都内廃ビルの一室
その部屋には仮面をかぶった人物が二人と右腕にⅩと刺青が入った男の三人がいた。
Ⅹの刺青の男は
「すまない。横やりが入って奪還できなかった。」
長身のフードの仮面をかぶった人物は
「いや、仕方ない。あそこで九条が来るとは。聞かされていた予定ではなかった。向こう側も何かあったんだろう。」
優しく失敗を慰めていると
「いやいや、こいつが弱いからいけないんでしょー。私が行ったらそんなことにはならなかったけどぉー。」
仮面をつけたピンクの長髪の女がもう一人が刺青の男を挑発するように親指を刺した。
その言葉を聞き、刺青の男は
「あぁ?」
女の挑発に簡単に乗ってしまい答えた。彼の眉間にはしわが寄り女をにらみつけた。
彼はその挑発にこたえるように腕の魔力回路に魔力が流れ始めた。
それに呼応するように挑発した女もにやけた顔をしながらも魔力を込め始めた。
女は
「やる?ここで。」
そういい、戦いが始まるかと思ったが長身の男が
「いい加減にしろ」
そういい二人をしのぐ魔力を込め威圧をした。
それを見て二人は魔力を込めるのをやめ、冷静になった。
ピンクの髪の女は
「冗談よ、旦那ぁ。そんな気ないってぇ。」
「ふん。」
二人が矛を収めるのを見て、
長髪の男は会話をつづけた
「彼は学内で保護されている以上こちらから手出しは難しい。まずは彼の奪還は後回しにして、他の計画を進めよう。まずは魔素転換の魔法陣の運用と試験体の選定からだ。」
そういい彼は振り向くと東京都内の地図が張られており、そこにはいくつかマーカーやポイントが張られていた。
「協力者もこちらの動きに合わせて動いてくれると信じよう。」
「失敗はいい、挽回しろよ。グレイ。」
Ⅹの刺青の男は名を呼ばれ
「あぁ。わかっている。」
そう答えた。
「俺から協力者には彼を見張るように連絡しとく。」
そういい、携帯を取り出し何かを送信した。
「計画をフェーズ1に移行しよう」
長身の男はそう言い
「すべては神の御心のままに」
長身の男が言うと他二人も口を合わせて
「「すべては神の御心のままに」」
そういい祈りをささげていた。
場所が変わり同日、夜、魔法専門学校の一室
ブーブーブー
携帯の音が鳴り画面を見た。暗闇の中携帯の明かりだけが部屋を照らした。
「彼を見張れ、追って連絡する。
フェーズ1開始。
Ⅱ」
その連絡を受け取り、小さな声で。
「神の御心のままに」
小さな声で囁いた。
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