第9話 歴史と世界
俺は、部屋での荷解きを終え昨日三人で話した教室へとやってきた。
7月15日15時 教室
時間ぴったりに九条も教室に入ってきた。彼女は教壇に立つと話し始めた。
「まず君には魔法師の歴史と今の魔法師の世界について勉強をしてもらう。そのあとに魔法の基礎の勉強を行い、8月からは実技と実践と座学を同時にやっていくから。」
俺はそう言われ、大きな不安と少しの高揚感があった。
「今日はまず、魔法師の歴史と今の魔法師界の世界について学んでいく。」
そういいみっちり2時間授業を受けた。
「じゃ、今日はここまで。」
そういうと俺は背筋を伸ばした。
「これから、寮で夕食が出るから遅れないように。明日は10時からね。」
そういうと九条は教室を後にした。
俺も部屋へ戻るため寮へと戻った。戻る最中に今日聞いた内容を整理した。
魔法の歴史は古く、世界的に見て一番古いのは紀元前から魔法であろうことができる人がいた歴史がある。奇跡として現代に残っているもののうち、魔法によるものが少なくないが確証はないらしい。日本での魔法の歴史として書物に出てきたのは平安の世、陰陽師として祈祷や占術を行う者たちの多くが魔法を使い、未来を占い、また怪奇な出来事の対処をしていた。その時代から力を持ちはじめた魔法師も多く、その後、武士が力を強めるとその武士に加担する魔法師も多くいた。特に鎌倉時代に特に魔法師の力と財を持っていた5つの家を五摂家といい、それ以降日本の魔法師界で大きな権威と力をふるってきた。九条もそのうちの一つで九条凜は九条家当主だそうだ。この5つ以外にも魔法師の家柄は古いところが多い。魔法は家柄も魔法の適性にかかわるそうで、その家ごとに魔法の系統は偏ることが多いそうだ。そのため、家柄が悪い魔法師に対しての偏見やあたりが強いそうだ。
逆に俺のように家柄も関係なく急に魔法が使えるものは少なく、珍しいそうだ。以前、面倒と言っていたのは、昔ほどではないが、家柄での偏見が根強く、俺の魔法の適応の結果を口外しないようにしたのもこういった家柄重視の魔法師からの嫌がらせを少なくするためだそうだ。
魔法師の世界では、その人の魔法量や魔法技術に応じて大きく4つの階級があり、下から下級、中級、上級、特選、と別れている。また、日本の魔法師は単独行動ではなく、7つの魔法師団があり入学後そのうちの一つに配属され任務にも同行する。この魔法師団は入学して半年後の魔法技能試験の成績で師団長会議で指名制で団に入るそうだ。魔法師団は1つの師団で15から20人ぐらいの魔法師が在籍している。今回、夏休み返上で魔法の授業を受けているのもこの技能試験を受けるためだ。今回この技能試験を受ける魔法師は12名。すなわちみんな、俺の同級生になる人たちだ。今は、みな帰省したり、魔法の課外講習に行っているそうだ。今学内にいる生徒も3分の1だそうだ。
次の日からは、魔法の基礎や魔法具について聞いた。
まず、魔法についてだが操作魔法は周りにある水や火を操作する。
強化魔法は肉体の強化、魔法の強化、魔法具の強化などをし戦う。
精霊魔法は精霊と契約し、契約した精霊を使役し、火や水、土などを生成して使用できる。
魔法師は普通、適応魔法は二つある。その適応魔法の適応度で魔法の個性が出るそうだ。例えば強化と精霊魔法で魔法を生成し強化することで威力を上げる。使用できる魔法のバリエーションもこの適応の度合いで変わる。
魔法具についてだが魔法具はいろいろとある。魔法具は、杖や剣、楯などの道具に魔法式を組み込み魔法の流れを良くしたり、火や水などを生成し使う。
魔法具にも大きく階級が分かれている。魔法具も魔法師のランクと同じ下級から特選までの四つがある。ランクが上がるにつれ皆、魔法を使う際は剣や杖などを使い魔力を込めて魔法を使ったほうが魔力の消費が少なく、魔法の精度も上がる。
「かくいう私も、魔法を使うときには、杖や剣を使う。ただ、魔法量や魔法のレベルで魔法具も上のものを使う。私の持っている魔法具の一つはこれ」
そういうと魔法具を一つ出した。
「これは、特選級魔法具の一つ。名前は八咫烏の杖。日本神話の八咫烏の羽と鎖骨をベースに作られた杖だ。この杖は魔法の生成はないが一度に流し込める魔法の上限がないんだ。だから魔法力が高い魔法師でも魔法を無理なく使えることができる。魔法具は伝承の動物や魔素に充てられた生き物の遺物、魔素を剣や杖に込めて作られている。また、階級が上がるにつれて魔法具自体の特徴もその魔法具で大きく違うが効果は絶大だ。さて、君にも実技をする前に魔法具を一つ渡そう。」
そういうと九条は机の上に杖の魔法具を置いた。その杖は九条の持っている杖と違い、長さが15㎝ほどで形も普通の杖だ。
「これは、一般的な魔法師が使う4級の杖だ。実技のときは基本これを使うから忘れずに持って来いよ。」
そういい杖を一本もらった。
次に魔法式だ。魔法は基本的に適応魔法があるがその適応魔法を頭の中で想像して具現化するには時間がかかる。だから、魔法式を使うことでより効率的に魔法を早く使用できる。魔法式とはこの前の戦闘で敵や九条が魔法を使う前に空に杖を使って書いていたものだ。この魔法式を空に書くことで魔法をより反射的に使う。
九条は魔法式について話した後、魔法式についての授業を始めた。
「魔法式は一行から三行の魔法の魔法言語を入力して魔法を使う。ひらがなのようなものだ。このひらがなについて教えてそのあと、基礎魔法から魔法式について教える。」
そういいそのあと魔法式言語についてみっちり授業を受けた。
授業が終わったのは日が暮れ始めたころだった。
寮に戻り、部屋に入ろうとしたら呼び止められた。
「お前、見ない顔だな。」
振り向くと整った顔をした青年が立っていた。
「君は?」
「俺は一条 功。魔法専門学校一年だ。君は?」
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