第8話 いざ、入寮

俺は八乙女と九条と一緒に自分の病室に戻った。

戻った時には夕方になっていた。


八乙女は俺に

「もう、傷はほとんどないし体力が戻れば普通の生活に戻って大丈夫だから。念のためあと一日、二日休んだら退院でいいよ。」


九条は

「今日は目が覚めていろんな話をして疲れたろう。先に確認と話しておきたいことがあってね。すまないね。また詳しい話は退院した後に。」

そういうと八乙女と九条は病室を出た。


俺は二人が出たのを見送り横になり眠りについた。


九条と八乙女は病室が出た後二人でどこかに向かいながら会話をしていた。


「お前、どうするんだあの子は。いつまでも隠し切れないぞ?」


「あの子の今回の適応検査の記録は私の権限で秘匿扱いにする。あの子の入院記録と個人情報も特記秘匿扱いで管理する。」


「それは隊長としてか、それとも特選魔法師として世界のためにか?」


「どっちもさ」


「そこまでか?なんでそんな秘匿扱いにする?」

八乙女は少し語気を強めいった。


「あの子のためでもあるし、我々のためでもある。」

九条は冷静に淡々と答えた。


八乙女は少し疑いながら

「見たのか?”眼”で、彼を」


「さぁね。」

九条は答えをそらすかのように生半可な返事をした。


その態度にイラっとしたのか八乙女は九条の肩をつかむと


「いい加減にしろ。ここまで関わせておいて、肝心なとこはなしか?我々は魔法師として彼に何かあるなら被害が出る前に対処すべきだ。君はその可能性があるから秘匿扱いにするんだろ?話さないなら上層部や各隊長に報告も私がする。」


九条は八乙女の問いに対して答えた。

「わかった。”眼”は使ったよ。ただ、八乙女も知っているように私の眼の内の”視未来視”では断片的な複数の可能性の未来しか見えない。その複数の可能性のうち最悪なことを想定して手を打っているつもりだよ。”来るかわからない”彼の複数の未来を全て話しても余計に不安をさせるだけだし、今何かしたところで変わらない。ただ、、」

九条はそう言いかけると八乙女の眼をまっすぐ見て

「これだけは約束する。私は魔法師として最善の手を常に打っているつもりだ。だから、安心してほしい。」

そう答えた。


八乙女はため息をついて

「わかった。ただ、なにか起きたら報告はするからな。」


九条は

「ありがとう。感謝するよ。さすがマイフレンド」

いつもの軽率な態度に戻ってウインクをした。


八乙女は少し顔をしかめたが大きなため息をついて自分の仕事へ戻り九条は病院を後にした。


俺は二日間病室でゆっくり休息をとり、退院するときには体のだるさもなくなっていた。

俺は病院を後にしようと自動ドアを出た。すると目の前に九条凜がいた。


九条は俺が退院するのを待っていたようで俺が出で来ると声をかけてきた。


「やぁ、やっとでてきた!待ちくたびれたよ。」

俺は

「ありがとうございます。お世話になりました。これから家に帰ろうと思うんですけど駅ってどっちですか?」


九条は首をかしげて答えた。

「駅?帰る?何を言っているんだい?うち全寮制だからこのまま寮に入ってうちに編入だよ?」


俺は口があんぐり開き

「へ?学校は?家族には?」


九条はにこっとして右手でグーポーズをしながら話しかけた。

「問題ナーシ!!君が入院している最中に連絡して承認済みさ!」


俺は慌てて自宅に連絡した。

祖父が出た。

「けがして助けてもらったらしいじゃないか!ダイジョブなのか?」


俺は

「うん。なんともないよ。それよりさ、なんか聞いてない?」


祖父は

「なんか?あぁ!編入か!よかったな!国立の学校に編入できて!しかも学費無料で給料も出るんだろ?」


俺は

「へ、そうなの?いやそんなことよりどんな学校か説明受けたでしょ?」


祖父は興奮気味に

「どんなって政府公認の人材育成の学校だっていうじゃないか。学校に詳しくはないけどよかったな。全寮制っていうから服とか必要なものは送っておくから。それじゃ!」


そういうと電話が切られた。

俺は

「まって!」そう言いかける途中で電話が切れた。


俺は事態が呑み込めなかったが状況が状況のため、後には引けないらしい。


九条は

「はい!あきらめて!これから寮に行くよ!」

そう言い寮まで俺を誘導した。


俺は九条の後についていった。

「君は今、高校一年生だったよね?これから君は高校の一般教養に加えて、魔法の知識や習得も行ってもらう。なかなかハードだと思うけど頑張ってね」


俺は学校に入るうえでどのように入るのか気になった。

「俺、今高校一年だけどどこに入るの?」


「君は魔法専門学校の一年生に編入て形で入ってもらう。ただ、うちの学校も今夏休みに入っていてね。学校は9月まで休みなんだ。」


「それならなおの事家に帰ってもよくない?」

九条は歩きながら説明した。

「今、専門学校の一年生も魔法の基礎的な知識や技術を習い始めたばかりなんだが、いきなりそこに入っていくのは大変だ。だから、二学期が始まるまでの一か月と少しで君には基礎的な知識を学んでもらう。」


「そんな短期間で?ハード過ぎない?」


九条はにこっとしながら

「そこはこの私にまっかせなさーい。」

俺はすごく不安そうな顔をしていると

続けて九条は

「私こう見ててもかなりレベルの高い魔法師でね。魔法師にもランクがあってなかなかなランクなんだっ!」


俺は何を言っているのかわからなかったため一言

「はぁ。」


「魔法師の世界についてはしっかり説明するから。聞いたら私に向けるその疑心の視線も変わるよ~。」


そうこうしているうちに学校内のエリアの中間に来た。ここは居住区で研究エリアの居住区は高層マンションで学術エリアは三階建ての寮ので三棟が一つの通路で研究エリアの高層マンションへつながるように放射状に立っている。


俺は高層マンションにワクワクしながら入ろうとすると


「いや、待て待て。君はそっちじゃない。こっちだ。」


そういうと学術エリアの寮を指さして九条が言った。


「今日から君の家だ。外見はだいぶ古そうに見えるが改修を重ねて耐震もしっかりしているから安心して。そういえば、学園の学生証を渡していなかったね。」


そういうと学生証が渡された。扉の前に移動をして


「それがあれば、この施設内の利用も大体はできる。寮に入る時もその学生証を読み取って入れるから。」


そういうと寮の入り口に立ち九条と一緒に寮内に入った。


寮の中は外観とは異なりきれいで清潔感がある。また、ジムや食堂、温泉まである。

一階の角部屋に連れていかれた。部屋番号はA-16と書いてありその下に俺の名札が入っていた。


「ここが君の部屋だ」


そういい、中に入ると小さな、冷蔵庫やテレビ、レンジなど一人暮らしができるくらいに整った部屋であり、ベットや床に自宅から送られた段ボールの荷物がいくつもあった。


「荷解きとかしたいだろうからまた、15時くらいに昨日と同じ教室に来てくれ。

これからの予定を伝えるから。」


そういうと九条は部屋を後にした。


今日から俺の魔法師としての生活がスタートした。














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