私の1月

@a123b

第1話

私のお正月それは、祖父母の家でただ何も考えずにゴロゴロする。お雑煮を食べる。温泉に行く。それが当たり前だった。


令和5年12月31日

石川にある祖父母の家へ向かった。着いたのは夕飯前、祖父母はいつもと変わらない笑顔で私達家族を迎え入れてくれた。その日の夕食は、炬燵に豪華な海鮮が沢山並んでいた。手巻き寿司だった。

食後は、最近リフォームされた広々とした綺麗なお風呂に入り、家族で テレビを見ていた。

12時を回った頃みんなで部屋へ行き布団に入った。その部屋は大きな大人五人と猫一匹には少し狭く感じた。周りが寝始める中、私は友達と連絡をとっていた。連絡が終わり寝ようとした。しかし母のいびきが聞こえ、なかなか眠りにつけなかった。十分な睡眠がとれないまま、朝日が登った。


令和六年1月1日

朝リビング行くと、 祖母と母がおせちの盛りつけをしていた。私はみんなにお雑煮用のお餅を幾つ食べるのか聞きに行く。それがお正月の朝のルーティーンだ。みんなで朝ごはんを食べる。お年玉を貰う。そして近くの神社に行き初詣をする。

ひと段落してから私は学校の定期テストに向け勉強を始めた。丸つけをしているとインクが切れた。父を説得し街に買いに出かけた。出かける前に母が「明日どうせ行くんだから今日はやめな」と言った。思い立ったらすぐに行動したい私はそんな軽い反対を押し切って市内の方に出かけた。生憎100円ショップはやっていなかったが、本屋は営業していた。ペンを買った後、以前か気になっていた本を探していた。今日に限ってなかなか見つからない。本屋に入店してから30分ほどたった頃やっと見つけることができた。帰りの車で父と、きっと母はなんも買ってかないとへそを曲げるからアイスでも買って帰るかと話スーパーに寄った。店に入る前、出店のたこ焼き目に止まった。父にねだり一緒にたこ焼きを食べた。アイスを買い再び祖父母の家へ車を走らせた。しばらくした頃、車やスマホが地震アラームを鳴らし始めた。震度は「4」父と車にいた私はあまり焦りを感じなかった。父は消防団に所属していて防災意識は人一倍高かったからだ。揺れ収まり母から電話があった。少し動揺していたせいか、なかなか正確にボタンを押せず、結局電話が出来ないまま2度目の揺れが来た。車の表示で震度「5」だと。

私は片付けが少し大変になりそうだなと呑気なことを考えていた。揺れが始まった。激しい横揺れだ明らかに震度5ではない。道路が地割れを始めた。流石に父も焦り始めた。40秒程たった頃揺れが収まった。比較的土地が頑丈で高い場所だった。父は即座に車を降りて、周り車や家に行き安否確認をしていた。近くの家には、地震で立って居られずこけてしまい手足が赤く血で染まってる人が居た。父は応急処置をしていた。私は母に電話をした。出ない。兄や祖母にも電話をしようと試みる結果は全て出なかった。もしかしたら家が潰れて下敷きになっているのではないか。土砂崩れに巻き込まれてるのではないか。考えれば考えるほど苦しくなる。そんな中、車が落ちていると言う情報を聞いた父は私を残し急いで車を走らせた。心配で仕方ない。しかし今私ができることは待機することだ。待機していると別の県にいる祖母から電話がかかってきた。家族 は無事?と。分からない。その五文字を口に出すだけで涙が溢れ出てきた。

30分程した頃父が帰ってきた。後ろの席には若い男女2人を乗せて。カップルだったのだろうか。

大津波警報が出ていた。そんな中その若い男女は歩いて市内まで行こうと話していた。海抜が低い市内だといつ津波に飲み込まれるかわからない。私は警告をしたが聞かずにどこかへ歩いていってしまった。あたりは薄暗くなっていた。

近くに消防団の詰所があったためみんなで集まり暖を とっていた。床はコンクリートだったため沢山の座布団を敷き、暖炉を真ん中にして集まった。ほとんどの人は自分の車に戻っていった。20人程残った。愛猫の遺骨を持ち避難してきたおばあちゃんや

、家族が消防団に所属している人であった。愛猫の遺骨を持っているおばあちゃんはおしゃべりだった。愛猫への強い思いを沢山語ってくれた。私も猫を飼っているので、猫のことを思うと再び泣けてきた。親が子供の頭を撫でている姿を見た。そこには親として子供を絶対に守るんだという決心をかんじた。父は車の人の様子を見てくるといい一人で出ていってしまった。結局少し離れたホテルに避難者の受け入れを頼みに行っていた。

帰ってきた父はなかなか眠りにつけていなかった。気が張っているのだろう。 私はコンタクトをしていたため寝れなかった。乾く。早くメガネに替えたい

外に出ると市内の方から煙が立ち上っているのが見えた。大火事だ。体の向きをかえの空を見ると満天の星空が広がっていた。今までになく綺麗に見えた。


お母さん、お兄ちゃん、猫、祖父母生きてるかなぁ




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