めっちゃ近くでイチャイチャしちょるが――どうしたらいいのだろうか?

くすのきさくら

誰か助けてくれ

 ちょくちょくやって来る。試験というやつ。

 好きにはなれん。

 なんで中間とか期末とか学年末とか。さらには休み明けとかにポーンと入ってくる実力とかいろいろな種類があるのか。

 というか多すぎない?もっと少なくてよくない?あれ?俺の通っている学校が多いだけ?それとも――もしかしてこれでも少ない方だったりする?そんなことは――ないよな?毎日試験しているようなところはないもんなー。そりゃ小テスト――って、小テストも含めたらほとんど毎週試験している科目あるじゃん。

 それが全部成績に反映されるとか――おかしいだろ。一発勝負でもいい……いや、それはダメだな。一発留年とか。うん。やっぱり適度にあってくれ。

 そこそこ真面目に何回かはするから――えっ?今のお前は真面目にしないとやばい?そんな馬鹿な。


「――ダメだダメだ。余計なことは考えないでおこう。マジで留年する」」

 

 俺――って、こんなところで自己紹介などいらないか。

 とにかく俺は今試験勉強中。

 本当ならさ。発売されたゲームやりたいよ。めっちゃやりたいよ。超楽しみにしていたのに、なんで試験期間が始まる初日に発売日なんだよ。ホントタイミングが悪い。

 できることなら試験勉強より先にゲームをしたいが――現在留年ラインぎりぎりの低空飛行中の俺はさすがに試験勉強をしないとやばい。

 

「ねぇねぇ。明日はどこ行く?」

「そうだねー。とりあえずご飯食べに行ってー」

「あっ、なら新しくできたドーナツのお店行こうよ」

「おお、いいないいな」


 ――やばいんだよ。

 ちょっと前回バカやって勉強ほとんどしなくて一夜漬けしたら、見事に赤点祭りを開催したんだよ。

 それはそれはびっくりするくらいの完璧な真っ赤っか。

 いやー、あれは――もう何ともだったな。

 今までは、苦手な科目の赤点――ならだったが。まあそこそこできただろうって科目もやらかしたからな。

 さすがに――一夜漬けは俺には無理らしい。


「で、そのあとは――どうしようか?」

「どうする?私は何でもいいよー」


 ――えっと……ちょっといいかな?

 さっきからおかしな会話というべきか。せっかく勉強を頑張っている俺の耳に何やら遊びに行こうとしている会話が聞こえてきており。大変耳障りなのだが――どうしたことか。

 一応声の方をちらっと見ると――姿は見えない。何故ならのドアが閉まっているから。でもこれだけはっきり聞こえてくるということは――ドアの向こうで話しているのだろう。

 ちなみにこれは俺に対する妨害――と、受け取っていいだろう。というか。なんかね。俺の近くにはバカップルが居るんだよ。

 マジで。 

 

「――は、試験期間みたいだし。一泊してくるか」

「いいね。いいね。じゃあもう1人――」

「あの!めっちゃ聞こえてるから!っか。人の部屋の前で何してるんだよ!」


 俺が外に向かって声をかけるとすぐにガチャっとドアが開いた。

 特にノックとかなく。俺が反応をするのを待っていたかのように――。

 ちなみに先に言っておくが。幼馴染の試験なんて余裕!っていう男女が俺の試験を妨害している――ではない。


「ってことで、ゆえちゃんとデート行ってくるから」

「まっきーとデート言ってくるから試験頑張ってねー。もしかしたら弟か妹ができるかもねー」

「いやー、頑張っちゃうかー」


 ……これは――試験なんて余裕――ではなく。そもそも試験など全く関係ない俺の両親だ。

 泣いていいだろうか? 

 これが俺の家での通常運転。

 今俺の部屋の前の廊下でなんか抱き付きあいながらなんか言っているのが――マジで両親。

 見た目がまるで学生カップルと言われている俺の両親。今日も――いや、もういいや。説明するのもなんか嫌だ。


「今すぐ出ていけ!どこでもいいから行ってこい!というか人の部屋の前ででくれ!集中できん」

「まあ、でくれだってー。まっきー。まだまだかわいいねー1人じゃ寂しいのねー」

「だなー。さすが俺たちの息子!よっ!じゃあ、3人で今日は仲良く寝るかー。あっ、その前に3人で風呂か!」

「何が3人で風呂だ!馬鹿言ってないで――ってか、とにかく邪魔するな!あと、俺が言ったのは話しかけるな!の方だよ。ちゃんと意味を理解しろこのバカップル!」

「「いやーそれほどでもー」」


 俺のツッコミにいつものように嬉しそうに照れる俺の両親――もう頭痛が……。

 ちなみにここ最近一緒に寝るとか。そもそも一緒に風呂とかないから。

 このバカップルは――いつもの事みたいだが……。


「……もう何も話さないでくれ――」


 なお、この後も両親にしばらく絡まれた俺だったが――無事に試験は低空飛行のままクリアできた。と言いたいのだが。試験はまだ先。

 未来はわからぬが。とにかくだ。


「俺の部屋の前で話さないでくれ!」


 である。




 了

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めっちゃ近くでイチャイチャしちょるが――どうしたらいいのだろうか? くすのきさくら @yu24meteora

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