はなさないで・・・

「ばかだなぁ・・・」

貴方の声が聞こえた。


ギュッと貴方の指を握りしめたまま。

眠っていた私の頭を。


大きな。

貴方の手が撫でてくれていた。


「えっ・・・?」

涙で濡れた視界は貴方を滲ませていた。


本当に。

貴方なの?


震える唇に。

貴方の指が触れた。


そして。

もう、一度。


「ばかだなぁ・・・」

と、囁いてくれたのでした。


私は。

嬉しくて。


涙を。

流し続けたのです。


消えそうだった。

温もりが。


心地良く。

私を。


包んでくれたのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

はなさないで・・・ 進藤 進 @0035toto

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ