★0 夕陽が紡ぐ物語


タイトル:夕陽が紡ぐ物語

キャッチコピー:暖かく、鋭い夕陽。これは夕陽の繋いだ物語。

作者:三門兵装

URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093080260360971


評価:★0


【あらすじ】

 美紗と心端にヒビを入れたその日、鋭く刺すような夕陽が二人を照らしていた。

 でも、会いたい。また、会いたい。

 いつも私を突き動かしてくれたあの娘と。こんなに離れてしまってもあの時の様に。

 そう、きっとこれは夕陽が紡いだ物語。



【拝読したストーリーの流れ】

 本作は2話完結の短編です。



 小学生の頃、一緒に遊んだ「美紗」と「心端」。

 だが「美紗」は交通事故(?)に遭ってしまい、その後遺症で歩けなくなってしまう。


 それから7年……。

 高校入学を控えても「美紗」の足は治らず、入院生活をしていた。

 絶望の日々を送る「美紗」の元に、引っ越して以来何年も会っていなかった「心端」がやってきて……、といったお話でしょうか。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルですが、雰囲気が良くていいと思います。

 ですが本文を読んだ感想なのですが、「夕陽が紡ぐ」というほど「夕陽」は重要ではないように感じました。「たまたま舞台が夕方に設定されているだけ」と感じてしまったというのが素直な感想です。

 キャラはしきりに夕方を意識しているような文章が頻発するのですが、それが読者には何の意味もないという風に感じてしまいます。



 次にキャッチコピーですが、ここでも「夕陽」が強調されていますね。

 問題点は上記の通りですが、それ以外では「鋭い夕陽」という表現が独特に感じますね。

 確かに「夕陽が眩しい」と思う事はありますので、この表現は面白いとは思いました。



 タイトル・コピー共にですが、そこまで「夕陽」を推すのならもっと物語に役割を持たせた方が良いのでは? と思います。


 ただ、「キャッチ」という意味では問題は無いと思いますね。

 雰囲気が良いので、そういう空気感が好きな読者は読んでくれるのではないかと思います。



【キャラクターの批評】

 こちらもキャラの雰囲気は良いですね。

 小さな頃は明るく快活だったが、長い入院生活で心を病んでしまった「美紗」と、そんな「美紗」を励まそうとする「心端」。

 物語上での、2人の役割もハッキリとしています。


 ですが詳しくは後述しますが、文章・構成・ストーリーに問題があり、良い所は上記の点だけです。

 キャラ造形としては、これ以上の評価は出来ませんでした。



【文章・構成の批評】

 では文章ですが……、2つの大きな問題があります。

 これらの問題のせいで、私は本作を「内容を理解する価値の無い作品だ」と感じてしまいました。


 まず1つ目の大きな問題ですが、「記述に間違い」があります。

 明確な間違いは1つだけなのですが(「明後日」と「明々後日」の間違い)、このような間違いがあると他の記述も信用が置けません。


 2つ目の問題が特に大きいのですが、「圧倒的に言葉足らず」です。

 「なぜ」「いつ」「誰が」「何を思い」などが所々抜け落ちています。

 その為、キャラの言動が不合理に感じ、結果として「なぜそうしたのか?」「なぜそうなったのか?」が分かりません。

 登場キャラも少ないのに「誰のセリフか」が分からない箇所もありました。


 他にもいくつか問題があるのですが、特に目立ったのは「 」の使い方ですね。

 1つの「 」の中に「セリフ・地の文・セリフ」と続く場面があったり、「 」の付け忘れがあったり、「 」」という間違いがあったりなどがありました。



 構成に移りますが、本作は第1話では「美紗」視点、第2話では「心端」視点の「視差小説」となっています。

 そして第1話の冒頭に前書きとして「二部作連続でようやく読める文章となっています。どちらも読んでください!」とあるのですが、私の感想としては「未完成」ですね。


 第2話も、第1話終了の時間軸までで話が終わってしまい、「起承転結」の「結」まで話が進んでおりません。(何なら「転」までも到達していないと感じます)

 「結末が分からない話を2回読まされた」という感想ですね。

 これでは「視差小説」という手法も悪手にしか感じません。



【ストーリー・設定の批評】

 ストーリーの最大の問題は先ほど述べた「結」まで話が進んでいない事ですが、第2話で「心端」の視点としたのに「殆ど情報量が増えていない」のも問題です。


 第2話で出た新たな情報は、「第1話の時点で察しのつく」ものか「全く重要ではない」ものかのどちらかですね。

 「心端」の心情を表現するという意味しかない、「必要の無いエピソード」だと感じてしまいました。(その心情も、第1話の時点で察しがつきます)



 設定に関しては言及いたしません。

 【文章・構成の批評】で述べたように「記述の間違い」や「言葉足らず」の為、何を信用して良いか分からないからです。



【総評まとめ】

 作者の三門兵装さまには申し訳の無い評価をいたしますが「雰囲気以外は何も無い作品」というのが私の結論です。

 特に「信用の出来ない文章」と読者に感じられてしまうと絶対に好評価とはならないと思います。(作品に★はそこそこ付いていますが)


 また、第2話のあとがきで「キャラクターの質問企画」へのリンクを貼られて「(多分)後日談となります」と書かれてましたが、まずはちゃんと作品を終わらせましょうよ?

 私の個人的な感想ではありますが、先ほど述べたように本作は「結」が出来ていないと思いますよ?

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