91~100作品の批評
★0 あの夏の終わり、夜空の下で 君と見た光を。
タイトル:あの夏の終わり、夜空の下で 君と見た光を。
キャッチコピー:君と出会って、私の世界に光が差した――衝撃のラストを見逃すな‼
作者:ほしレモン
URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093074584124998
評価:★0
【あらすじ】
いつも一人だった。孤独だった。 そんな私が、ある男子に出会うことで変わっていく――。
ラストには衝撃の事実も明らかに⁉
淡い恋の行方は……?
夏という季節がつなぐ、切ない恋の物語。
『私は一生、忘れません……』
はたして『奇跡』は起こるのか?
—— あの夏、すべての想いを君に。
【拝読したストーリーの流れ】
まず最初にですが、本作は少し独特なエピソード構成をしております。
少し口では説明し辛いので序盤のエピソードタイトルと、その文字数を並べさせて頂きます。
登場人物紹介 (288文字)
プロローグ (336文字)
――そして夏が来る――
幕間Ⅰ (266文字)
1 光は差し込んだ (1350文字)
2 知らない気持ち (1747文字)
3 真っ暗な谷底へ (2096文字)
――夏の途中――
幕間Ⅱ (244文字)
1 その言葉の意味 (1824文字)
2 ひと時の幸せを (1735文字)
と、このようになっております。
本批評は「5話までを読んで批評する」というルールですが『幕間』の存在から、どこまでを読むべきか悩みました。
結論といたしましては『2 ひと時の幸せを』までを批評対象といたします。
また、いつもなら「1話目を『第1話』という風に呼称させて頂きます」と言う所なのですが『幕間』という存在がある為、エピソードタイトル名をそのまま使用させて頂きます。
中学2年生、女子バスケ部の部員である主人公「風間 葵」は他の部員たちからイジメを受けていた……。
毎日押し付けられる雑用……。断る事の出来ない自分……。
その日、体育館の施錠を忘れていた「葵」は慌てて体育館へと踵を返す。
だが、そこには1人で自主練をする男子バスケ部のキャプテン「山﨑 悠河」がいた。
彼との出会いが、変わる事の無い日常が変わるキッカケだった……、といったお話でしょうか。
【タイトル・キャッチコピーの批評】
タイトルはまるで歌の歌詞のようですね。
これに関しては、人によって好き嫌いが分かれそうだなと感じました。
私個人としては「あの夏の終わり」から始まるフレーズが超有名曲のサビと重なってしまい、あまり好印象は抱きませんでした。
また、「夜空の下で」と「君と見た光を。」の間に半角の空白があるのですが、これは何か意味があるんですかね?
私には意味が分かりませんでしたが、もしかすると何か大事な意味があるのかも知れません。
次はキャッチコピーですが、こちらは2つに別れていますね。
前半は普通のコピーですが、注目すべきは後半の「衝撃のラストを見逃すな‼」ですね。ここまで露骨なキャッチコピーは、カクヨムでは中々見ないですね。
この煽り文を見て、興味を持つ読者は少なからずいると思います。
タイトル・コピーともに作品内容は見えませんが、コピーの煽り文で「キャッチ」の効果は十分に期待できると思います。
【キャラクターの批評】
キャラクターですが、説明がボヤけていて「バックボーンが無い」と感じました。
主人公はイジメを受けているという設定ですが、「なぜイジメを受けるようになったのか」「どのようなイジメを受けているのか」「それに対する周囲の対応は」などが非常に曖昧です。
作中では「雑用を押し付けられる」「嫌味を言われる」以上のイジメは特に見受けられませんでした。これも立派なイジメと呼べるかもしれませんが、物語としては地味ですね。
また物語冒頭で、雑用を押し付けられた主人公がいじめっ子から脅しを受け、「過去の時のことを思い出し、ぶるりと身震いする」というような言葉があるのですが、過去に何があったのかが全く描かれていません。
後々の伏線か? とも思いましたが、本作は既に完結しており、エピソードタイトルを見る限り本編に当たる話は、私が読んだ分と後6話しかありません。恐らく、詳細は語られないのではと思います。
後に【文章・構成の批評】で語らせて頂きますが、本作には「背景情報」や「そこに至るまでの経緯」などの描写が全くと言って良いほどありません。
これでは登場人物は「記号」です。
「主人公」「ヒーロー役」「親友」「いじめっ子」など、与えられた役割以上の存在ではありません。
特に主人公以外のキャラについては心理描写なども一切なく、まさしく「与えられた役割をこなすだけの人形」だと感じました。
【文章・構成の批評】
本作の文章は、ところどころに重要な文章や説明が抜け落ちています。
先ほど言った「背景情報」「そこに至るまでの経緯」の他にも、「物事の詳細」や「物事の前提となる情報」までもが書かれていない事が多いです。
基本的には三段論法のような単純な展開で話が進みますので、最低限の情報でもそこまで理解に苦しむ事はありません。
ですが単純で分かりやすい話でも、必要な情報が書かれていない為に1度止まって考える必要があります。これが非常にストレスでしたね。
また稀に、情報不足でいくら考えても理解が出来ない場面もありました。
次は構成に移ります。
まず最初に、作者さまから批評依頼を受けた際に「幕間について、なくてもいいと感じたりした場合は容赦なくお願いします」と言われましたので、「幕間」について語らせて頂きます。
まず私の結論を申し上げると「あっても無くても、どちらでも良い」と感じました。
「幕間」は詩のような短文です。私の様に「詩的な、あるいは文学的な感性」を持たない人間にとっては「無くても良い」でしょう。ですが短文ですし、「あると邪魔」とまでは思いませんでした。
そして、こういった詩のような文が雰囲気を盛り上げてくれると感じる方もいらっしゃると思います。そういった方にとっては「あった方が良い」でしょう。
ただし、本作にとって重要度が高いとは思ってはおりません。無くても支障はないでしょう。
ちなみに、「幕間」とは文字通り「幕と幕の間」の事です。
『幕間Ⅰ』については、「幕間」と呼ぶのは相応しいとは言えないと思います。まだ「幕は上がっていない」のですからね。
次にストーリー構成の話に移りますが、こちらは全体的に良かったと思います。
1話1話の区切りがハッキリしていますし、流れ自体も悪くないと思います。最初に書いた通り1話ごとの文章量も少ないので、それで読み難いという事も無いでしょう。
ただ終始、主人公視点で書かれていますので「物事の見え方が一方的」だと感じました。どこかで主人公以外の視点で書いてみても良かったかも知れません。
何よりそうする事で主人公以外のキャラをより深掘りする事が出来ますし、【キャラクターの批評】で申し上げた通り、本作はそこが非常に弱いと思います。
【ストーリー・設定の批評】
ここについてはですね……、作者さまには申し訳ありませんが「何も見所が無い」と感じました。
ストーリーは「いじめられっ子がイケメンと恋に落ちる話」ですが、本文を読んでも本当にそれ以上の事が書かれていません。
細かいエピソードもあるのですが、【文章・構成の批評】で申し上げたように三段論法のような書き方で淡々と進むだけに感じました。
「イジメを受けている私」
「そんな私にも優しく接してくれるイケメン」
↓
「恋に落ちた」
みたいな感じですかね。
理解は出来るのですが、背景情報が全然足りないので感情移入が出来ません。その為か、何か話が動いても「チェックポイントを通過した」ようにしか感じませんでした。
ストーリーの大筋だけを見ても特に面白みはありませんね。
「ただ中学生が恋愛するだけの話」なんて、そこに「ドラマ」が無ければ面白くなりようがありません。
【総評まとめ】
まとめますが、本作は「作り込みと丁寧さが足りない作品」だと感じました。
キャラは「記号」に過ぎず、「生きたキャラ」になっていません。
文章や設定には説明が足りず、理解は出来ても物語に入り込めません。
そしてエピソードは説明が足りないまま、駆け足で進みます。
「記号のようなキャラが、エピソードをただ通過しただけ」では面白い話にはなりません。それでは「ただ設定を文章に起こしただけ」でしかないと思います。
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