★0 Blue rose~青い薔薇~


タイトル:Blue rose~青い薔薇~

キャッチコピー:日本武道館でライブしてやる。そう願ったのは難病ALSのアイドルでした。

作者:大瀧潤希sun

URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093077418653042


評価:★0


【あらすじ】

名前の通り、誰よりも輝くことが出来る天性の才能を持つ少女、綾瀬光。綾瀬は地下アイドルで、しかしそんな小規模なものには収まり切れないほどだった。しかし、そんな彼女にALSという難病が降りかかる。神経の老化によって筋肉の萎縮が起こる難病。進行の早いケースだと一年で寝たきりになり、いずれ死ぬ。

そんな綾瀬と出会ったのは、大島錆斗。彼はまさしく錆びた人生を送っていた。親からも愛されず、他人に興味を持てず、いつしか自殺を考えているほどの没落した人生。

光は錆斗を見て、恋を知った。それは錆斗も同じだった。



【拝読したストーリーの流れ】

 他人に興味の無い高校2年生の主人公「大島錆斗」はある日、地下アイドルをしているというクラスメイトのヒロイン「綾瀬光」に話しかけられた。

 適当に話を合わせていると、「光」が行うライブのチケットを渡される。


 行く気は無かったが、何となくライブへと行ってみた「錆斗」は、ステージの上で輝く「光」に目を奪われる。


 その後も交流を続ける2人だったが、「錆斗」は偶然、「光」がALSという難病に罹ってしまい、余命が僅かだという事を知ってしまったのだった……、といったお話でしょうか。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルは微妙ですね……。

 「青い薔薇」は、昔はよく創作の世界で出てきましたが最近は見かけませんね。その原因は、「限定的とはいえ、現実で実現してしまったから」だと思われます。


 本作ではそういった「ファンタジー的な意味」ではなく、花言葉の「奇跡」「一目惚れ」などの意味でしょうか?

 ただ第5話までの時点では、それ以上の意味は本作には無いように思います。



 次にキャッチコピーですが、これはストーリーの解説ですね。

 非常に分かりやすく解説がされていると思います。ですが、ただ「それだけ」ですね。



 タイトル・コピーともに、「キャッチ」が出来ているとは思えません。

 タイトルは古臭いですし、内容が伴っているとも言い難く感じます。

 コピーは、「難病アイドルが武道館を目指す」というストーリーを伝えただけでは弱いと思いました。



【キャラクターの批評】

 キャラは、全体的に言動が突飛すぎて理解が追い付きませんでした。

 突然現れて、自分の要求や思想を勝手に語り始める……、そんな印象ですかね?

 それなのに作中のキャラ同士では会話が成立しているようなので、読者としては置き去りにされたような感覚になりました。


 上記の件だけでも問題なのですが、更に主人公の性格にも問題があります。

 主人公は、「斜に構えて」「他人に興味が無いと言い」「見下している」と、そんな性格です。


 第1話で、「クラスにアイドルがいるらしいよ」と主人公に話しかけてきたクラスメイトに主人公は興味なさげに返して、それを見たクラスメイトが「お前ってほんと、面白くないよな」と立ち去るシーンがありました。

 その後の地の文を引用します。

――――――――――――――――――

 僕は溜め息をついた。

 面白くない、か。

 僕はお笑い芸人でもないし、空気を読んで相手の求める答えとやらを言ってやれるほど優しくもない。安室はそれぐらい分かってくれていると思っていたのだが……。どうやら違っていたようだ。まあどうせ安室とは友達でもないし。

――――――――――――――――――

 ……これを読んで、読者は主人公に好感を持ちますかね? 私は第1話で、この主人公が大嫌いになりました。



 主人公に付随する問題として、ヒロインも挙げられます。

 どうやら物語の開始時点で、ヒロインは主人公に好感を抱いているようです。……が、読者には主人公の魅力が一切伝わっておりません。


 「実は、過去にこんな事があった」という展開が待っているのかも知れませんが、少なくとも現時点では「不愉快な主人公に、よく分からないけど惚れているヒロイン」でしかありません。

 一応、「強引なスカウトからヒロインを庇った」というエピソードがありましたが、主人公の評価を覆すほどのものではありませんでした。



【文章・構成の批評】

 文章は読めるレベルではありますが、稚拙ですね。

 表現力が乏しい為、作品に良い雰囲気を感じません。ストーリーを追いかけるだけなら問題ないのですが、それでは面白くはありませんよね。


 また、表現が似つかわしくないと思う場面もありました。

 第2話で、ライブ会場に足を運んだ主人公が「ハコ」「フォーメーション」などという単語を出すのですが、主人公は「アイドルには興味がない」という設定ですよね? こういう単語を出すと、ドルオタっぽく見えてしまいます。

 「会場」「配置や陣形」などの言葉に変えた方が良いと思います。


 また、序盤では「てにをは」が怪しく感じる場所もありました。



 構成ですが、「かなり適当だな」と感じました。

 まず文字数が、最短の第2話(823文字)と最長の第5話(4802文字)で、バランスが悪すぎます。


 そしてキャラの言動などと同様に「話の展開も突飛」で、短期間で次々に場面が移り変わります。

 話のテンポが良いのはいいのですが、あまりにも展開が早い為「まるでダイジェストを見ている」ような気分になります。


 また第1話冒頭で、いわゆる「未来のシーンの先見せ」がされるのですが、これも良くないと感じました。

 そのシーンは「難病に倒れたヒロインを、主人公が看取る」というものです。

 これではバッドエンドですよね。タグには「ハッピーエンド」とありましたが、タグに気付いていない読者は作品の結末に期待を持てないでしょう。


 更にここでは「葬式」という単語まで出てきていますので、バッドエンドへの確信に拍車をかけます。

 ここからハッピーエンドになると言われても、その後の「雑な展開」からご都合主義的な展開しか期待できません。



【ストーリー・設定の批評】

 ストーリーは「余命もの」と呼ばれるものですね。

 「ヒロインが死ぬまでに成し遂げたい事を、主人公が支える」という大筋自体は良いと思います。


 ただ、ストーリーの進め方が絶望的に下手ですね。

 この批評を読まれた方は【拝読したストーリーの流れ】を読んで疑問に感じませんでしたか?

 私は「行く気は無かったが、何となくライブへと行ってみた」と書きました。意味が分かりませんよね? ですが本文を読むと、そうとしか思えなかったのです。


 本作は「キャラの心情や、行動の動機」が正しく描けておりません。その為に【キャラクターの批評】で述べたように「言動が突飛」に映ります。

 その為、ストーリーの流れが強引に感じました。



【総評まとめ】

 非常に残念な評価をしますが、本作は「雑」です。

 以前に別作品の批評で書きましたが、「この手のジャンルで最も重要なものは、『キャラへの共感』と『感動』」ではないかと思います。


 キャラと展開が雑で、ダイジェストのように進むストーリーでは、「共感」も「感動」も生まれませんね。



【追記】

 本作は作者さまのご要望により第36話までを読んで追記する予定です。

 ご希望の話数が長いので少しずつ読んでその都度、追記させて頂きます。

 また途中でリタイアする可能性もある事を、先にお伝えしておきます。


 余談ではありますが、ご要望の際に「キリの良い話数は36話までなので」と仰っておられましたが、本当に「36話までキリの良い場所が無い」のなら、それは構成に問題があると思われます。


※作者の大瀧潤希sunさまよりコメントを頂きました。

 その中で【追記】に関して、

「これから拙作を大幅に推敲いたしますので、36話までの批評は、すみませんお願いしておいてなんですが別の機会に、ということでお願いします」

 と、仰られましたので本作の【追記】は一旦停止とさせて頂きます。

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