★0 異世界グロウデイズ~ぼっちでも冒険者やってます〜


タイトル:異世界グロウデイズ~ぼっちでも冒険者やってます〜

キャッチコピー:人間は怖い、けど繋がる事を諦めたく無い

作者:どんぐりあざらし

URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330660576637792


評価:★0


【あらすじ】

 Bランク冒険者のソルはコミュ障、陰キャ、ぼっちと三重苦揃った残念な冒険者。

 相棒であるAランク冒険者のミスラと共に活動していたが、ミスラが別のパーティーに加入することを知り彼は密かに彼女のもとから去ることにした。

 これからどうするかを落ち込みながらを考えていた時道に迷っている天真爛漫な少女と出会う。

 なんと少女は異世界転生して来たらしく?


 これはぼっちな彼が少しずつ、様々な人間と繋がっていく話。



【拝読したストーリーの流れ】

 剣と魔法、魔物や冒険者が存在し、車や電話もある異世界でのお話。


 コミュ障が激しく、相棒の「ミスラ」としか話す事も出来ない主人公「ソル」。

 だがある日、「ミスラ」を自分たちのパーティにと勧誘している姿を盗み見してしまう。そこで「ミスラ」が「ソル」を罵倒しているのを聞いてしまい、「ソル」は「ミスラ」の前から姿を消した……。


 当てもなく歩いていると、道に迷った少女を見つけてしまい……、といったお話でしょうか。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルは比較的シンプルで良いと思います。

 「グロウ(成長)」や「ぼっち」、「冒険者」という言葉で、何となく作品の方向性が見えてきますね。


 問題点としては「グロウ」が、「grow」と「glow」のどちらかが初見では分からないという点と、本文を読むと「主人公がぼっちの時間が描かれていない」という事でしょうか。



 次にキャッチコピーですが、少し「暗く、固い」印象がありますね。

 タイトルはどちらかというと「軽い」雰囲気を受けますので、コピーとの齟齬が起きると「読者はどういった作品なのか分からなくなる」可能性があると思います。

 雰囲気の方向性は統一した方が良いと思いますね。



 ついでなのですが、タグの方向性がメチャクチャです。

「魔法」「異能力バトル」「シリアス」「ギャグ」「異世界転生/転移」「ダーク」「クソデカ感情」「成長」


 こちらも、もう少し統一しないと上記と同じ現象を読者に与える可能性があります。

 そうなった場合、本作を読んで貰える可能性も同時に下がるのではないかと思いましたね。



【キャラクターの批評】

 キャラなんですが、「ストーリー進行を優先し過ぎて深掘りが出来ていない」と感じました。

 相棒との出会いはもちろん、今までの関係性も曖昧です。


 出会った少女についても、自分が異世界転生してきたと話してくるのですが、なぜ重大な秘密を出会ったばかりの主人公に話したのかも謎です。

 また彼女は当たり前のように魔法を使っていたのですが、それも経緯は不明です。(少女は多分、日本人だと思われます)


 そして主人公たちが乗っていた列車が強盗にジャックされるのですが、彼らの登場も唐突に感じましたね。

 まるで「主人公に倒される為に出てきた」かのようです。


 その主人公なのですが、彼は設定からして少し無理があると感じました。

 彼は「対人恐怖症レベルのコミュ障」で「複数人の強盗をものともしない実力者」でもありながら、他の冒険者はその実力を知らず、見下しています。……この時点で少し無理がありますが、続けます。

 しかし道に迷った少女とは、どもりながらも普通に会話ができます。

 そして強盗団が現れると泡を吹いて気絶して、目が覚めると必死に謝りながら戦って楽勝します。


 私は、主人公の「コミュ障」は「ストーリーの都合によって程度が変わる」ものだと感じました。

 読者にそう感じさせてしまっては、キャラの魅力にはなりません。(もちろん、この様に感じるのは私だけかも知れませんが)



【文章・構成の批評】

 文章は、何とか読めるレベルですね。

 ですが色々問題がありますし、表現力も拙いですね。戦闘シーンなどは全く迫力がありませんでした。


 具体的な問題点としては、まず読点が少ないです。

 そして誤字脱字誤用が少しずつあります。


 加えて「一文の中で同じ言葉の繰り返し」がたまにあります。

 こちらは例文を引用します。

「そして何より辛いのは自分のせいでミスラの評判が下がることが何よりも辛いのだ」

 「何より辛い」という言葉が2回ありますね? これは非常に文章を拙く感じさせます。



 次に構成に移りますが、こちらは基本的には悪くないと思います。

 第1話で相棒との別れ。第2話で迷子の少女との出会い。第3話で相棒視点。第4話で少女が異世界から来た事を知り、強盗が現れる。第5話で強盗と戦う。

 非常にテンポよく、話を進めながらも1話1話に纏まりがあると思います。


 ただ【キャラクターの批評】でも申し上げましたが、「ストーリー進行を優先し過ぎて深掘りが出来ていない」という問題がありますね。


 また、それ以外では第1話だけが約5000文字と、少しだけ長いのが気になりますね。(第2話~第5話は約2000~3000文字)

 それほど問題とするような長さではないのですが、第1話は最初の入り口となるエピソードですので少しでも読みやすくした方が良いと思います。



【ストーリー・設定の批評】

 ストーリーなのですが……、個人的な主観を述べさせて頂くと「配役を間違えた」と感じてしまいました。

 その理由を説明いたします。


 主人公である「ソル」は、相棒「ミスラ」が自分の居ない所で悪口を言っているのを聞いてしまい、「ミスラ」から逃げ出してしまいます。

 しかしそれは誤解であり、「ミスラ」は「ソル」の事を異性として好いており、いなくなった「ソル」を探して行動します。


 「ソル」には「目的」が無いんですよね。逆に「ミスラ」には「明確な目的」があります。

 主人公に目的があった方がストーリーが作りやすいですし、読者も理解がしやすいと思います。

 また「目的に向かって突き進む主人公」の方が、共感や好感も得やすいですよね。


 これらの理由から、私は主人公は「ミスラ」とした方が面白い作品になったのではと感じました。



 続いて設定なのですが、こちらは全体的に「説明不足」ですね。

 魔法などがあるファンタジーに車や列車のような機械が出てきますが、その正確な文明レベルは不明であり、何があって何が無いのかが分かりません。


 また「魔導電話も昨晩から歩き続けていたため魔力が尽きてしまい使用することができなくなってしまった」という一文がありましたが、「歩く事」と「魔力が尽きる事」の相関も不明です。


 「女神」や「勇者」などの単語も出てくるのですが、現時点では詳細は不明ですし、物語を面白くさせる事には寄与していないように感じます。

 「勇者」に関しては「Aランクの上の特別な存在」のように書かれていましたが「それってSランクと何か違うの?」とも感じました。


 後は、最初に4つの国名が出てくるのですが「エグザミア皇国」「ムラクモ皇国」「バースト皇国」「ウィンダム皇国」と4国とも「皇国」となっていて覚えにくいですね。



【総評まとめ】

 まとめますが、「色々とちぐはぐな作品」だと感じました。


 タイトル・コピー・タグでは、あちらこちらを向いていて「どのような作品か」の方向性が定まっておりません。

 「コミュ障」は物語の都合で解釈され、元々強い為に「成長」にも疑問を感じます。

 主人公には目的が無く、起きるイベントは突発的で深みがありません。


 作品の方向性がハッキリしない為、続きが気にならない作品だと感じました。

 非常に悪い言い方になってしまいますが、「どうせこの後も、その場の都合の良いように話が進むだけだろう」と思ってしまいましたね。

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