★1 ここは花里学園軽音楽部。さっ、君も入部しよう?
タイトル:ここは花里学園軽音楽部。さっ、君も入部しよう?
キャッチコピー:ふぇ⁉︎ 私が軽音楽部のボーカル⁉︎ ムリムリ!!
作者:こよい はるか=^_^=猫部
URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093077464569193
評価:★1
【あらすじ】
「ここは花里学園軽音楽部。さっ、君も入部しよう?」
入学式の放課後、早々迷子になってしまった、中等部1年生の桜庭胡桃。
その先で出会ったのは、学園の軽音楽部の中等部2年生、町田大和だ。
突然の軽音楽部への勧誘に戸惑ってしまう胡桃。
話を聞くと、部員が現在4名の弱小軽音楽部らしい。
大和たちの粘り強い勧誘に負けて、軽音楽部に入ることになってしまった胡桃。
これから花里学園軽音楽部はどうなってしまうのか⁉
は? 弱小軽音楽部? あいつが入ったから大丈夫だよ、なめんなよ。
中学2年生の大和をはじめ、3年生の陽太、高校1年生の翼、同じく高校1年生の百航。
個性豊かな軽音楽部で全員で力を合わせて、強豪校をぶっ倒せ!
軽音楽部の夢と日常の物語、今、ここに開幕!!
【拝読したストーリーの流れ】
本作の作者である「こよい はるか=^_^=猫部さま」は、以前批評しました『この音が君に届く頃に。』『君と見る星に願いを込めて』の2作品の作者でもあります。
また本作にはプロローグがありましたが、500文字程度の短いものでしたので、第5話までを読んで批評いたします。
花里学園の中等部に入学したばかりの主人公「桜庭胡桃」は校舎で迷子になっていた。
昇降口を探して歩く「胡桃」の耳に、どこからともなくギターの音が聞こえてくる。音につられて階段を上っていくと、不意に声を掛けられ……。
「ここは花里学園軽音楽部。さっ、君も入部しよう?」
と、突然言われたのだった……、といったお話でしょうか。
【タイトル・キャッチコピーの批評】
タイトルは、明るくポップな雰囲気で良いですね。
本文の作風も同様でしたので、それを伝えるといった意味でも良いと思います。
更に「軽音楽部」と「入部しよう?」のセリフから、どのような舞台で、どのような話が始まるのかも容易に想像がつきます。
また、プロローグで早々にタイトル回収をしているのも良いと思います。
キャッチコピーは主人公のセリフですね。
こちらはタイトルと合わせて読む事で「主人公が勧誘を受けている」という話である事が確定しますので良いと思います。
セリフの口調から、何となく主人公のキャラクター像が見えてくるのもプラスですね。
タイトル・コピーともに非常に良いと思います。
これ以上のものは、私には中々思いつかないですね。
ただし、このタイトルとコピーには落とし穴があります。それは本文のストーリーと齟齬があるように感じるという事です。
詳しくは【ストーリー・設定の批評】で書きますが、私はここで少し勘違いをしてしまいました。
【キャラクターの批評】
キャラクターですが、主人公はとても良いですね。
明るく、前向きで、素直な良いキャラだと思います。甘いものに弱いというのも、キャラ付けが出来ていて良いですね。
ただ、1度にキャラを出し過ぎだと感じました。
プロローグで主人公と軽音部の先輩。第1話で、他の軽音部の先輩3人。第2話でクラスの友達3人が出てきます。
同じ人数でも、それぞれが「先生」「親」「兄弟」「敵役」など、属性が分かれていれば区別や把握も容易なのですが、「先輩」が4人、「友達」が3人と、属性被りを1度に出されても読者は把握しきれません。
その後も先輩たちと友人たちが、ほぼセットで運用されているのもキャラの区別を阻害している様に思います。
まずは1人1人、読者に印象付けて「キャラを覚えてもらう」ところから始めた方が良いと感じました。
最後にどうでも良い事ですが、人気者の先輩たち4人は「イケダリフォートップ」というグループ名で呼ばれているのですが、何の略か分かりませんでした。
「イケ」メン「だ」んし……までは想像がつくのですが、「リ」は一体何の頭文字なのでしょうかね?
※作者さまよりコメントを頂き、こちらは「イケメンダーリン」の略だという事です。「スーパーダーリン」の略の「スパダリ」という言葉が有名だそうですね。
【文章・構成の批評】
文章は【タイトル・キャッチコピーの批評】でも書きましたが、ポップな一人称で描かれています。
そのため非常に読みやすく、更に主人公の明るい性格も見せる事に成功している様に感じます。普通に良い文章だと思いましたね。
ただ、一部の文章に「ワザと間違いを書き、その後に※で訂正やツッコミをする」という手法が使われております。
これの更に一部ですが、あまりにもワザとらしい間違いのため、「ツッコミの為にワザと間違えている感」が強く出ている部分がありました。
例文として引用します。
――――――――――――――――――
今までこんな風に体調崩したことなかったから、すっごい
※読み方は「からだ」ね!
――――――――――――――――――
ここまでではなくても、同様に感じる箇所はありました。
これは読み手の好き嫌いにもよりますが、この「ワザとらしさ」を受け付けない人は本作を楽しめなくなってしまうかも知れませんね。
個人的には、もう少し「自然な間違い」に出来ればと思います。
他には、冒頭のシーンが分かりにくく感じました。
主人公が入学式を終えて帰ろうとしたら昇降口が分からずに迷子になった、というのは「最終的には」分かるのですが、そこに至るまでに決定的な文章が無く、断片的な文章から推測するしかありません。(また「今日は午前中の授業で終わり」という文章も推測を邪魔します。入学式に「授業」は無いでしょう)
特に物語の冒頭では、読者は作品の情報がゼロなので分かりやすく書いた方が良いでしょう。
後は、ギターの音を「ミレシシドソファ~~~」と表しているのには強烈な違和感を感じました。同様にベースの音を「シー、シッミー……」と表記されています。こちらも凄い違和感です。
私は音楽には疎いですが、ギターの音を「ドレミ」で表現するのは普通なのでしょうか?
また第4話で、風邪で倒れた主人公に対して「その時に熱が36.3度以下だったら部活やるぞ。部活行きたいならそれまでに治せ!」というセリフがあったのですが、ここにも2つの大きな違和感がありました。
1つは「36.3度以下」という数字です。平熱とするには低すぎませんか?
軽く調べてみましたが「発熱の定義は37.5℃以上」とされ、「日本人の平均体温は36.89℃」らしいです。(平均体温は60年以上前の調査のようですが)
※こちらは私の平熱が36.6度くらいなので違和感を感じましたが、もっと平熱が低い方も多いようです。(考えてみれば当たり前ですが)
こういった「個人差のあるもの」は、あまり具体的な数値を出さない方が良いかも知れませんね。
もう1つは「部活行きたいならそれまでに治せ!」とありましたが、主人公はいつから部活に乗り気になったんですかね?
ここまでのお話では「主人公は甘いものにつられて入部した」だけなんですが。
後は誤字脱字が少しありましたね。
上記したように「ワザと間違ってツッコむ」という手法を取っている関係で、誤字脱字が普段よりも気になりました。
続いて構成に移りますが、第5話までの時点では大きな問題は見られませんでした。
話もテンポよく動いていますし、主人公の魅力も見せられていると思います。第5話で「演奏会」という、次のイベントが起きたのも良いですね。
ただ個人的には、主人公が軽音部に入部するのが早すぎるのではないかと感じましたね。
せっかくキャッチコピーでも「ムリムリ!!」と言っているのですから、もう少し引っ張っても良いと思いましたね。
【ストーリー・設定の批評】
まずは【タイトル・キャッチコピーの批評】で申し上げた、勘違いの件を書かせて頂きます。
それは、私はタイトルとコピーを見て「軽音部に勧誘する先輩と、拒否し続ける主人公の学園コメディだと思った」という事です。
ですが実際は、主人公は第3話で入部を決めてしまいます。
全何話の予定かは分かりませんが、すでに10話以上が投稿されていますし序盤である事は間違いないでしょう。
【構成】でもお話しましたが、入部するのはもう少し引っ張っても良かったと思いますね。
そしてもう1つ、大きな疑問があります。
それは「なぜ軽音部の先輩たちが主人公に固執するのかの理由が書かれていない」という事です。
先輩たちは中・高等部を含めた「学園のアイドル」です。他にいくらでも候補はいそうですよね?
しかも、主人公は自分を「歌が下手」だと自称しています。主人公にこだわる理由は無いですよね?
ここは「偶然、鼻歌を歌っている主人公を先輩が目撃し、その美声に惚れこんだ」などで理由付けをするべきでしょう。
もしくは「主人公以外は、イケメンの先輩たちを目の前に緊張して歌えなくなる」とかですかね。
何でも良いので「キャラの動機付け」をしっかりした方が良いと思います。
それをしなければ、読者からはキャラの行動が「意味不明」となってしまいますので。
【総評まとめ】
本作は「こよい はるか=^_^=猫部さま」の最新作だということですが、前作・前々作よりも遥かに良い作品ですね。
主人公のキャラが魅力的で、それだけでも楽しく読めました。
ただ、逆に言えば楽しかったのはそれだけでした。
サブキャラたちはキャラ立ちが出来ておらず、明確な区別すらつきません。
【文章・構成の批評】で申し上げた「手法」に関しては、「サムい」と感じる事すらありました。それ以外にも、色々と問題が多い文章に感じます。
ストーリーは少し駆け足ですね。(これは個人的な好みかも知れませんが)
いくつも問題点を感じましたが、それでも十分に面白いと感じました。
評価は★1としましたが、『50作品を読んだ感想』の時に申し上げた通り「どこかに面白さを感じた作品」にしか★1以上にはしておりません。
上から目線で失礼かとは存じますが、「こよい はるか=^_^=猫部さま」の成長を見られて嬉しく思います。
今後も頑張って頂きたいですね。
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