★0 伐魔剣士


タイトル:伐魔剣士

キャッチコピー:戦え、全てを超えていく為に

作者:ヌソン

URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330659589521899


評価:★0


【あらすじ】

とある極東の島国。

その大地には、多くの生物や動物と共に繁栄する三つの種族が存在していた。


人の怨念、執念、時に全く偶発的に生まれ、世の裏に静かに蔓延る異形の存在「妖魔」

妖魔と異なり、人の形を保ちながらも人外の力を手にした異端の存在「鬼」

世界の各地に存在し、この世で最も繁栄している生物「人間」

その三者は一度接触すると争いを起こし、時に協力し、時に愛され愛し合う。

古来より密かに共存と競争を続け、いつしかこの大地は人間が支配し、統治していた。


これはそんな国を生きる者達のとある戦いの軌跡。

因縁、約束、葛藤…様々な思いと過去を胸に秘め、他者を殺し、時に救い、共に愛し、譲れない何かの為に戦う者達。

その道筋を共に進み、時に見送り、復讐に生きた一人の青年、そんな彼が歩んだ多くの戦いとその果てを描く英雄譚。



【拝読したストーリーの流れ】

 主人公の名は「長陽 辰之助」。魔を狩り、人を守る伐魔士であり、仇討ちの為に旅を続ける復讐者だ。

 そんな「辰之助」が立ち寄った礎静町で、「刀泥棒」の噂を聞いた。宿を取った「辰之助」の元にその「刀泥棒」が現れたのだが、どうやら「刀泥棒」は訳アリで……、といったお話でしょうか。



 本作は「現代ファンタジー」で登録されていましたが、どちらかというと「和風ファンタジー」といった方が正しいと思います。(タグに「和風」ともありました)



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルはシンプルですが、分かり易く、非常に良いと思います。

 「魔」を討「伐」する「剣士」といった所でしょうか。厨二的でカッコイイと思います。

 作品内容も、主人公が剣を使って戦う「バトルもの」だという事が分かりますね。



 対して、キャッチコピーは微妙に感じますね。

 あまりにも抽象的で、具体的な事が何1つ示されていません。これでは興味を惹かれる読者は少ないものと思います。


 また個人的にはですが、このコピー文には「なろう的な地雷臭」を感じますね。

 同様に感じ、これを嫌う読者は、例え本作が説明文タイトルでなくても敬遠するような気がします。



【キャラクターの批評】

 キャラは全体的に「人間味が薄い」ですね。

 基本的にストーリー進行の為に必要なセリフばかりで、話の流れも強引です。説明セリフも多く、行動にもムリヤリ感が目立ちます。

 「生きているキャラ」とは、少し思えませんでしたね。


 他の問題としては、主人公の「目的」や「キャラ像」、「能力」などが一切見えていない事ですね。

 「目的」については第1話の最後に「復讐者」とありましたし、意図的に隠しているものと思います。

 「能力」についても第5話までの時点で戦闘などが起こっていない為、仕方ないでしょう。

 ただ、それに加えて主人公の「性格」や「思考」などといった「キャラ像」も、私には掴めませんでした。格好の良いキャラとも、共感のできるキャラとも思えませんでした。


 第5話までを読んで、これだけ主人公の魅力が理解出来ないというのは流石に問題だと思います。

 全ての読者が、とまでは言いませんが、多くの読者は「主人公に魅力を感じなければ読むのを止める」のではないでしょうか?



【文章・構成の批評】

 文章は基本的には読み易かったと思います。

 ただ、問題点も多かったと感じました。


 まず情景などの描写は細かく丁寧に書かれているのですが、説明的な文章が多く、情緒的な雰囲気を感じなかった事です。もう少しだけ、雰囲気を感じさせる描写があれば良かったと思います

 また読点も必要以上に多く感じた為、すこし文章がうるさく感じました。


 そして地の文が一人称か三人称か、よく分からない点ですね。

 基本的には主人公の視点のような気もするのですが、三人称のような書き方も多い為、よく分かりませんでした。


 あとは細かいミスがいくつか見られた事ですね。

 句点が2つ並んでいたり、「 」の文末に句点があったりですね。



 構成についてですが、展開が遅く「見所が少ない」と感じました。

 第1話では野宿していた主人公が森の中で目を覚まし、第2話で街に着いて「刀泥棒」の噂を聞いて仕事を得ます。第3話で宿に着いて他の宿泊客と顔見せをし、第4話で「刀泥棒」が現れます。そして第5話で「刀泥棒」に協力するという話で終わりです。

 ちなみに「刀泥棒」とは立ち回りなどは無く、勝手に気を失います。


 戦闘も無く、大きな出来事といえば「刀泥棒」の事くらいですが、それも特に盛り上がるような話にはなっていないと感じました。

 恐らく、ここまでを読んで「続きを読みたい」と思われる読者は少ないのではないでしょうか。



【ストーリー・設定の批評】

 ここについては、まだ殆ど話が進んでいませんし、設定も殆ど明かされていませんので評価は出来ません。


 ただ【キャラクターの批評】でも書きましたが、キャラの行動にはムリヤリ感を感じましたね。

 仕事を紹介してくれた男は唐突に「刀泥棒」の噂話を始めますし、宿屋の女将はなぜか主人公に宿泊客の女性の紹介を始めます。極めつけは自分の所に現れた「刀泥棒」に対して主人公は協力を誓います。


 彼ら……、特に主人公の考えが私には一切理解が出来ません。

 「刀泥棒」が悪い奴ではないと思ったから助けたい、などと書かれてありましたが(要約してます)、それで読者の理解を得るのは難しいでしょう。


 メタ的に見てしまえば「作者の都合」としか思えませんし、作中の目線で見ても「相手が可愛い女の子だったから」としか思えません。

 この1件だけで、本作と主人公への好感は下がってしまいましたね。



【総評まとめ】

 本作には様々な問題があると感じましたが、1番の問題点は「面白いと感じる何かが無い」という事です。

 キャラ・設定・ストーリー、いずれも魅力に感じる程のものはありませんでした。文章力も、とりわけ優れているという程とは思いません。

 全体的に纏まっているとは思いましたが、それだけでは面白くはありませんね。

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