★3 TS引退魔王、査察する。
タイトル:TS引退魔王、査察する。
キャッチコピー:こんな(元)魔王に誰がした
作者:かみひとえ(カクヨムのすがた)
URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330666199588084
評価:★3
【あらすじ】
娘に魔王の座を譲った先代魔王は、美少女、ヘラになって、今まで見ることができなかった地上の領地へ遊……査察に向かうことにした。そう、これは立派な仕事、人間にも魔物にも気付かれてはいけない。
娘の趣味によって美少女になってしまったが故、護衛(♀)からの熱い眼差しや、薄い本みたいに、なりそうになったり、理不尽かつ不可解な受難が降りかかる先代魔王の明日はどっちだ。
地上の領地を巡る中で、人間や魔物との出会いと別れ、忌まわしき勇者どもを差し向ける神との対峙、うっかり聖剣の選定に挑んでしまったり、謎の陰謀に巻き込まれたりしてしまう。
様々な事をその可憐な身体で乗り越えながら、先代魔王は今日も元気に領地査察の旅に向かうのだった。
【拝読したストーリーの流れ】
神に選ばれた勇者たちを返り討ちにし、地上の支配も半分を過ぎた頃、魔王は引退を決意した。なぜならば無謀にも魔王を打ち倒さんとする人間どもを魔王城で待ち受ける必要がある為に、もう長い間城から出ていなかったからだ。
魔王の座は娘の「ステラ」に譲り、自分は査察という名の骨休めに出かけよう。もはや人間との戦いの大勢は決している為、娘に任せても心配ない。
だが長年酷使を続けた肉体は、魔王の力を娘に譲った事でとうとう限界を迎えてしまう。
査察の間の正体を隠す為にも新しい身体へと改造を施したのだが、その姿は美少女で……、といったお話でしょうか。
【タイトル・キャッチコピーの批評】
タイトルは、シンプルでストレートですね。
基本的には良いと思いますが、本作の作風ならもっと勢いがあった方が良かったようにも思います。少し、インパクト不足に感じますかね。
また「TS魔王」という事は分かるのですが、「何を査察するのか?」が分かりません。つまり「性転換した魔王が主人公」というのは分かるが、それで「どのようなストーリー」になるかが分からないという事です。
キャッチコピーも同じですかね。
読者に訴えかけるものが少し弱いように感じます。
もし「読者を惹きつけるような良いコピー」が思いつかないのでしたら、上で書いたように「ストーリー」に言及したコピーの方が良いかも知れません。
【キャラクターの批評】
キャラは素晴らしいですね。出てくるキャラがみんな、程よくイカレてます。
その中で比較的マトモといえるのが魔王ですが、そのおかげで魔王がツッコミ役となって、良い役割分担が出来ています。
多少の思考や言動の強引さもありますが、本作は「コメディ作品」ですので細かく指摘するのは野暮というものでしょう。(タグには「ギャグ」とあります)
ただ護衛のお供2人は、現状ではあまり性格の差別化が出来ていないように感じました。
今後は2人の違いなども表現されるのでしょうが、レギュラーキャラならばもっと分かり易く「口調を変える」などをした方が良いのではと思いました。
【文章・構成の批評】
本作は主人公の一人称で描かれているのですが、その文章が面白いですね。
先程も言った通り、主人公である魔王がツッコミ役となっていて、それが地の文で暴れ回っております。
また「比較的マトモ」とは言いましたが、やはり魔王であるという事からかその思考は「一般的」とか「善性」とはかけ離れているようにも感じます。
正直、主人公の1人芝居でもそれなりに楽しめそうですね。
構成も問題はありませんね。
展開もテンポよく進みますし、1話ごとの文字数も少なくて読み易いと思います。(約1500~2500文字)
ただ、エピソードの終わりがキレイに終わり過ぎて、次話への「ヒキ」は少し弱いですかね。
もう少し次話への期待を持たせるような終わり方に出来れば、もっと良かったと思います。
【ストーリー・設定の批評】
ここも素晴らしいですね。
第5話までの時点ではまだ査察の旅に出たばかりですが、これから様々な事件が起きる事が想像出来ますし、【あらすじ】にもそう書かれています。
その「旅に出る動機」や「TSした理由」なども、一応の理由付けは出来ています。
「シリアス作品」ならば少しツッコミどころのある理由にも思えますが、「コメディ作品」ならば全く問題には感じませんでした。
【総評まとめ】
「メタネタ」や「下ネタ」、「どこかで聞き覚えのあるエピソードタイトル」など、ギャグ作品には読者との相性が大きいので、誰にでもオススメできる作品とは言えません。ですが、これらと相性が合う読者にとっては「間違いなく面白い作品」であると断言できます。
本作はキャラが抜きんでて優れており、他の点も押し並べて高水準です。「コメディ作品」として素晴らしい出来の作品だと思いました。
いくつか指摘もさせて頂きましたが、それ以外の問題など全く感じませんでした。指摘した点も「問題」という程のものではありませんでしたが。
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