★0 きっと、約束だよ
タイトル:きっと、約束だよ
キャッチコピー:愛しい人と未来の夢
作者:櫻葉月咲
URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093073843242914
評価:★0
【あらすじ】
文香(ふみか)は恋人である達輝(たつき)と同棲している。
リビングでくつろいでいると、深刻そうな顔をした恋人の姿が見えた。
どうやら父親から『アメリカに来ないか』と誘われたようで、迷っているのだと。
文香とて一人前の大人で、働いている。
しかし文香を置いていくわけにもいかず、かといって父のせっかくの誘いを断りたくはない。
悩む達輝に文香はゆっくりと言葉を紡いだ。
【拝読したストーリーの流れ】
本作は1話完結の短編です。
恋人として同棲している、主人公の「文香」と恋人の「達輝」。
将来は映画監督になりたい「達輝」の元へ、アメリカで映画監督をしている父親から「こっちに来ないか?」との電話があった。
迷う2人の決断は……、といったお話でしょうか。
【タイトル・キャッチコピーの批評】
タイトル・キャッチコピーの共に「具体性が無く」「興味が惹かれる文言も無い」と感じます。これでは雰囲気しか伝わりません。
「恋愛ジャンルはこういうもの」と割り切るのも良いとは思います。
ですが、それでは読者は「どこで、他の恋愛作品との違い」を見極めれば良いのでしょう?
作品を読んでもらう為には「他作品との差別化」を、最も多くの人に見て貰えるであろうタイトルとキャッチコピーで示さなければならないと思います。
【キャラクターの批評】
キャラは良くも悪くもないと思います。
主人公・恋人の双方とも、ややテンプレ感がしますが、約2500文字の短編ではこんなものでしょう。
ただ物語としては、もう少し意外性のあるキャラクターや、行動などを取った方が面白かったとは思いますね。
良くも悪くも「予想通り過ぎた」と感じました。
【文章・構成の批評】
少し表現が陳腐だと感じましたが、基本的には読み易い文章です。
ただ、私の理解力の問題かどうか不明ですが、気になる文章がありましたので引用させて頂きます。
「それはプロポーズというやつで、そう遠くない未来があるという事だった」
この1文、私にはしっくりときませんでした。
前後の文脈がおかしくないですか? 私の読解力が低いせいですかね?
私の頭では何がおかしいのかも説明できませんが、非常に気持ちの悪い1文だと感じました。
あと、父からの誘いを「父さんがくれた縁を無駄にしたくもない」というセリフがあったのですが、「縁」という言葉にも違和感を感じました。
「親子」という繋がりの「縁」が既にあるのですから相応しい言葉とは思えません。「機会」と言った方が良いのではないでしょうか。
続いて構成ですが、可もなく不可もなくといった所でしょうか。
約2500文字の中で「起承転結」も出来ていますし、話も分かり易いです。
ただ「転」が弱く感じ、結果として「結」も盛り上がりません。
【ストーリー・設定の批評】
基本的には悪くないと思います。
愛する恋人同士を離れ離れにしてしまう事件が起きて、それを乗り越えるという話ですから、流れ自体は王道です。
しかし上記で少し触れましたが、本作には「意外性」や「盛り上がり」に欠けると感じました。
その最大の原因は「主人公に迷いや葛藤が見られない」事にあるのだと思いました。
本作は主人公の一人称で描かれ、その思考は全て恋人を思ってのものです。そこで恋人が主人公の気持ちを察する事が出来ないなどがあれば「意外性」にもなると思うのですが、恋人は主人公の気持ちに甘えているような描写に見えます。
そのまま「結」へと繋がるのですから、「盛り上がり」はしませんね。
【総評まとめ】
総評といたしましては「山も谷も無い作品」ですね。
流し読みで読むのなら読み易い作品だとは思いますが、読んだ後には「何も心に残るものは無い」、そんな感想しかありませんでした。
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