★1 月の欠片


タイトル:月の欠片

キャッチコピー:ひとは、自分がわかっている以上に淋しいものなのかもしれない。

作者:野栗

URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330665585619339


評価:★1


【あらすじ】

便りのないのは、良い便り。

広告チラシに混じって、古アパートのポストに入っていた、手書きのはがき。



【拝読したストーリーの流れ】

 本作は1話完結の短編です。


 成人女性の主人公「佳苗」の元に、中学時代の同級生「幸子」から手紙が届く。

 そこには「久しぶりに会おう」と書かれていたが、2人はまともに話をした事はなかった。訝しながらも「佳苗」は「幸子」に電話をして……、というお話です。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 シンプルで個人的には嫌いではありません。

 しかし殆どの作品に書いてますが、このタイトルでは読者の興味を惹く事は出来ないでしょう。


 キャッチコピーに関しては微妙ですが、特定の層には興味を惹くかもしれません。特定の層というのは「寂しい気持ちになっており、共感して欲しい人」ですね。

 そういう人たちには刺さるコピーかも知れませんね。



【キャラクターの批評】

 この作品は「リアルな人間関係」を表現した作品だと見受けます。

 その為、通常の作品のような「カッコイイ」「可愛い」といったキャラは登場しません。むしろ、見ていて不快な気分になるキャラと言えるでしょう。

 しかし、作品のテーマが「リアルな人間関係」ならば上手く表現できていると思います。


 ただ、心理描写が不足していますね。

 その為、キャラの行動に根拠が見られず「何故そうしたのか?」が読者に伝わりません。


 例えば、冒頭で主人公「佳苗」が「幸子」に連絡をした理由が私には分かりませんでした。何かの「期待」があったのか、それとも「復讐」でも考えていたのか、それすらも最後まで分かりませんでした。


 リアルな人間の心情を描くのは難しいですが、そこを省いてしまうと読者には何も伝わりませんよ?



【文章・構成の批評】

 文章は非常にキレイで読み易かったですね。

 難を言えば地の文に改行・空行が少なく、そこは少し読みにくく感じました。

 特にそれが冒頭に置かれているので、ページを開いた瞬間に「読みにくそう」と感じてしまうのは大きなマイナスだと感じましたね。


 あとは序盤の、中学時代を思い返すシーンですかね。

 何の説明もなく唐突に始まり、唐突に終わるので、正直読み返してみても、どこからどこまでが回想シーンなのかがよく分かりませんでした。

 ここは読者に分かるように、ハッキリとした線を敷くべきだと思います。


 全体の構成自体は良く出来ているのではないかと思います。

 ただ、この作品、所々に不要ではないかという要素が入り込むんですよね。

 いきなり選挙カーが出たり、大仏が出たり……。と思ったら、この作品「お題企画の出品作品」だったんですね。

 どういう「お題」だったのかは分かりませんが、これでは細かい指摘は出来ませんね。



【ストーリー・設定の批評】

 ここの評価をする前に先に言っておきます。私はこの作品は好きではありません。

 私が好きな作品は、キャラに好感が持てる事が絶対条件だからです。

 しかしこの作品は「リアルな人間関係」をテーマにしているようで、登場するキャラも陰湿で、全く好感が持てません。


 その上で評価をさせて頂きますが、良く出来ているのではないかと思います。

 キャラは陰湿で、読後感も悪いです。しかし、それは作者の狙い通りなのでしょう。

 そう考えれば「良く出来ている」と言わざるを得ません。



【総評まとめ】

 まとめると「私は嫌いな作品だが、良く出来ている」ですね。

 ただやはり、キャラクターの行動理由の表現と、回想シーンの明確な場面転換が出来ていないのが大きなマイナスポイントとなり、★1とさせて頂きました。

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