★2 救世のディアフトライ


タイトル:救世のディアフトライ

キャッチコピー:じゃあ、行ってくるよ母さん

作者:波多見錘

URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330653479496699


評価:★2


【あらすじ】

すでに始まっていた魔界の【人界侵攻】。2年もの間その事実を知っていたのは唯一人の少年―――十神真司。強大な存在と契約し、死の運命とともにある少年はある日、いつか助けた少女に声をかけられる。その少女は少年の唯一の存在となり、心を救うのだった。

彼に残された時間は一年。その期間までに魔王を倒し、世界を救わなければならないが―――彼の戦う理由は?意味は?

そして人々は言った。

「救世主は、誰もが恐れた破壊者だった」と



【拝読したストーリーの流れ】

 本作は変身ヒーロー物の作品です。


 事故で大好きだった水泳が出来なくなってしまった主人公「十神真司」。そんな彼の前に傷だらけの龍「青龍」が現れ、契約を持ちかける。

 「青龍」と契約した「十神真司」は、人知れず地球進行を目論む魔界の怪人と戦うのだった。そして、それから2年……、というお話です。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルですが「救世」は分かるのですが「ディアフトライ」の意味が分かりません。

 これでは作品のジャンルも、ストーリーも、作風も予測できません。


 キャッチコピーも同様です。

 作中のキメ台詞を使用していますが、本作を読む前にこのセリフを読んでも「なにか悲壮な決意」くらいしか感じる事が出来ません。


 本作は変身ヒーロー色が強いのですから、そこを押し出したタイトルかキャッチコピーを使用した方が良いのではと考えます。



【キャラクターの批評】

 全体的にキャラの造形は良いと思います。が、薄っぺらく感じてもしまいました。

 その理由ですが、第2話で主人公の正体が母親にバレるのですが、母親の理解が早すぎます。

 序盤から母親との揉め事を長々書く訳にはいかないのも分かるのですが、おかげで「話の都合でムリヤリ理解させられた」感が出てしまっています。


 クラスメイトに陰口を叩かれながらも戦う決意をしている主人公もそうですね。

 主人公の戦う理由が、ただ「根が優しいから」と描かれてしまっています。

 これは命と身体を張って戦う理由としては弱すぎると感じてしまいましたね。


 また、明確に登場しているキャラという訳ではないのですが、主人公がクラスメイトのみならず教師たちにまで疎まれている、というのには違和感を感じました。「周りとのコミュニケーションを取らなくなった」くらいではそうはならないでしょう。


 あとは「青龍」の口調ですね。

 基本的に尊大な口調なのですが、時々砕けた口調となる事も多く、主人公と「青龍」のどちらが喋っているのか区別がつかない事もあります。

 「青龍」のセリフは『』で区別されてはいるのですが、一部でミスなのか「」となっている部分もありますし、読者には分かり難いとも思います。

 尊大な口調で統一した方が宜しいでしょう。



【文章・構成の批評】

 文章は非常にキレイで読み易かったです。

 つまづく所も全く無く、作風も相まってストレス無く読み進める事が出来ました。


 構成に関しても良かったと思います。

 1話、3000字前後で上手くまとめられ、話の終わりも決してブツ切りにはなっていません。

 相当、実力のある作者だと思います。



【ストーリー・設定の批評】

 ストーリーもサクサク進み、読者への掴みという点では良いと思います。

 ただ逆に「少し急ぎ過ぎでは?」とも思ってしまいました。

 その最たるものが、先程も書いた「母親に正体がバレる」事ですね。ここはもっと後のイベントにしても良かったのではないかと思います。


 また、2年前の「青龍」との契約後から現在に時間軸が飛んでしまうので、主人公の初戦闘が描かれなかったのは少し残念ですね。

 今後、回想などで描かれる可能性もありますが、序盤でこそ見たかった見せ場ですね。


 設定に関しては、ヒーローもののツボを押さえていると思います。

 必殺技や形態変化など、まだまだ出ていない技も沢山ありそうです。


 一方で、戦闘の被害が普通に出ているという描写には無理を感じましたね。

 いわゆる「不思議空間」のような場所で戦うのではなく、爆発などの影響が出ており、自衛隊なども出動しているようです。

 2年間もの間、これを高校生である主人公の活動範囲内だけで起こっていたのなら、無理があると言わざるを得ませんね。

 まぁ、変身ヒーローものに細かい事は言いっこなしなのかも知れませんが。



【総評まとめ】

 まとめると「細かい事を気にしなければ間違いなく楽しめる、変身ヒーローもの」でしょうか。


 私がこの作品で唯一気になった事は、先程も書いた「キャラが薄っぺらく感じた」事だけです。

 ヒーロー好きの方なら、きっと楽しんで読める作品だと思いました。

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