【うどんを喰わせろ】香川県人が異世界転生。【うどんを喰わせろぉぅぅぅぅ】KAC20245【はなさないで】参加作品

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【うどんを喰わせろ】香川県人が異世界転生。【うどんを喰わせろぉぅぅぅぅ】


香川県人が異世界へ召喚された。


最初はまともだった。


仲間とともに戦い、魔王も倒した。まさに英雄だった。


だが彼は何時の間にか一つの言葉しか喋らなくなった。


「うどんを喰わせろ」……と。


憔悴する彼に王家は城で大きな宴会を催した。

豪華な肉料理に高価な香辛料をふんだんに使った料理の数々。貴重な薬草や野菜を煮込んだスープ。

しかし彼はテーブルを叩き、暗い目で叫んだ。


「うどんを喰わせろ」


「それは作るのは無理と言う結論だったでしょ」


そう彼とともに魔王と戦った仲間が語る。


「うどんを喰わせろ」


「駄目だ、無理なんだよ」



この世界での主要作物はトウモロコシのような巨大な麦であり、粉にしても、水気を余り吸わず、粘性も少ないうどんのような腰のある料理を作るのは無理なのであった。



「うどんを喰わせろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉx!」


香川県人の魂の絶叫だった。

魔王との戦いで村が、街が焼かれ、それを見た時に彼はこのような絶叫を上げていた。


うどんを喰えない。それは彼にとって大殺戮に匹敵するほどの絶望なのであった。


『うどん』は彼の魂の潤滑油だと聞いたことがある。

故郷へ戻り、『うどん』なるものを再び喰う為に、魔物と壮絶な戦いを繰り広げたのだ。


だが魔王を倒せば故郷へ戻れるというのは王のついた嘘であり、魔王を細長い棍棒めん棒にて一撃で屠った彼のその力と頑健な体は一国をも滅ぼしうる。王族と貴族達は復讐を恐れていた。


宴に出席していた王族と貴族は絶叫する彼に恐れ慄き、互いに助け合いながら文字通り血塗れで魔王を倒した仲間達は悲哀の目で彼をただ見つめるしかなかった。





宴のさなか、うどんへの渇望を叫ぶ香川県人を怯えたように取り巻く貴族達。


その中に妖しい漆黒のローブを纏う人影があった。


それは何かを決心したように頷くと、恐れ慄く貴族達の中から香川県人に独り近づいていく。そして香川県人の前で、漆黒のローブを脱ぎ捨てた。


貴族達は息を飲む。


余りの美しさ故に人前に殆ど姿を現さないといわれる傾国の魔女。


魔王軍の武将達をその美貌で骨抜きにし、香川県人の勇者PTを影から支え、人類の数多くの勝利に貢献した影の英雄。


余りの美貌ゆえに、人前で姿を晒す事自体が騒乱を産む魔女がその姿を現したのであった。


公の場で身を晒す事自体が危険なことである。

しかし彼女は昔、香川県人に命を助けられてからずっと恋慕していた。


だが自分が人前に姿を晒せば自分を巡って争いが起こると身を引いていたのだ。

が、彼の苦境に自らの美貌が助けになるかと賭けに出たのだ。


彼の前に立ち彼女は彼の顎を指で上げる。


うどんを渇望し虚ろになっていた香川県人の目が一気に輝きを取り戻す。


何故か?


それは彼の目の前に僅かに上気した美肌の大きな双丘が、前傾姿勢により豪華な谷間を作り出されていたからであった!!!!!!!!


彼女は彼に助けられた時に彼の視線がそこに釘付けになっていた事を覚えていたのだ。


彼女は緊張しながらも、頑張って妖艶に笑いを浮かべ問いかける。



「うどんの事はもう話さないで」



香川県人はうどんの事などすっぱりさっぱり忘れ、コクコクと頷いた。


彼女は両手を交差させ、更に双丘を盛り上げ問いかける。


姿を晒してしまった以上、香川県人の武力をもって守って貰う以外

貴族達の欲望の手より無事にこの場を抜け出すことは叶わない。


「うどんとどちらが良い?」


「こっち」


香川県人の目は完全にゆるやかに揺れる双丘に吸い寄せられている。


彼女は勝利のため息とともに、香川県人の顔を胸元に抱き寄せた。


「はい、ぱ〇ぱふ」


「くぁwせdrftgyふじこlp!!!」


それからと言うもの、香川県人はうどんと叫ぶ事もなくなり、人々は安堵した。


それからの香川県人の横には常に美しい双丘を震わせる傾国の美女がつき従っていたと言う。

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