令和版さるかに－アラサーカニ子の婚活奮闘記

アラサーカニ子の婚活奮闘記

2024年新春、カニ子は実家に帰省をしました。

そこで、カニ子の母のカニ絵から「そろそろ孫の顔が見たいわぁ〜」と、言われてしまうのです。

カニ子はアラサー女子。

これまでに彼氏がいたこともあるけれど、結婚にまでは至りませんでした。

カニ子の理想のタイプは、

・アレルギーを持っていない方

・前向きな方

です。

そんなカニ子は学生時代に、カメのかめきちという恋人がいたことがあります。

横歩きしかできないカニ子にとって、しっかりと前に歩けるかめきちは魅力的に見えました。

ある日、カニ子とかめきちは海辺でデートを楽しんでいました。

カニ子「きゃははは！」

かめきち「お〜い！待て待てー」

カニ子「つかまえてごらんなさーい♡」

かめきち「そんなに急ぐなよー！僕、亀なんだから…」

この時、カニ子は気がつきます。

かめきちはしっかりと前に歩ける男らしい一面もありますが、歩みがゆっくりであることに。

「これでは人生を共に歩むことができない」と思ったカニ子は、かめきちとの交際にピリオドを打ったのでした。

そんな甘くも苦い経験のあるカニ子は、恋愛には消極的でした。

しかし、親はカニ子の結婚、できることなら孫を望んでいる。

カニ子は思い切って婚活をすることにします。

カニ子の職業は配信者です。

婚活を心に決めたのならば、枠のみんなにも宣言をしようと思いました。

その日の晩、カニ子は早速、【報告】と題して枠を開き、「明日から婚活を始める」と宣言をしました。

枠のみんなは驚きました。

カニ子にはこれまで浮いた話が全くなかったからです。

「カニ子ちゃん頑張って！」

「いいお相手が見つかるといいね！」

枠のみんなからの温かい声援もあり、カニ子は婚活を絶対に成功させようと改めて強く思うのでした。

婚活のためには、身も心ももっと美しくならなくては！

と脱毛サロンに通うことにしました。

欲しいものリストにも、美容や健康に良さそうなグッズを載せることにしました。

自分磨きの効果もあり、より美しくなったカニ子。

そんなカニ子の様子を見て、お猿のサルオはカニ子に思いを寄せるようになりました。

カニ子の欲しいものリストにあった、甲羅を綺麗にするブラシをカニ子にプレゼントします。

「サルオさん、ありがとう♡」

やがてサルオとカニ子は、一緒に暮らす仲にまで発展をします。

しかし、ここで問題が発生。

サルオはカニ子の手作りのおにぎりを「まずい」と言い放ち、カニ子に柿を投げつけました。

おまけに、近所でも乙女で有名な犬のゴン太邸の庭に転がっていた臼をカニ子に被せて逃げられなくしてしまいました。

これには流石のゴン太も黙ってはいられません。

元々、先祖は犬猿の仲。

ゴン太はマスクを外し、サルオに噛みつきます。

いつもはマスクで隠していたものの、ゴン太は鋭い牙を持っていたのです。

これにはサルオもかないません。

「ゴン太さんに10%」という謎の言葉を残し、サルオはニューヨークへと逃亡しようしました。

その時。

「そこまでだ！」

登場したのはかの有名なフナコシ氏。

サルオを見事に崖に追い詰めます。

サルオは地面にひざまづき、「10％じゃダメだったか…」と、反省の涙を流すのでした。

こうしてなんとか臼から脱出することができたカニ子。

カニ子「ゴン太さん、助けてくれてありがとう」

ゴン太「いいや、当然のことをしたまでさ。そうだ、しばらくうちで休んで行かない？

うちはお風呂も修理したばかりだし、部屋も余っているから自由に使っていいよ。

下心とかもちろんないし、何もしないから大丈夫。」

カニ子「いいえ、私は家には興味がないし、それにHDDのある家では暮らせないの…」

実は、カニ子が臼に閉じ込められた時、たまたまヤドカリのヤドスケも同じ臼の中に閉じ込められていたのです。

暗くて重い臼の中で、カニ子とヤドスケは肩を寄せ合い、共に励まし合っていました。

ヤドスケには自分の家はなく、一生賃貸生活です。

そのことでかつて彼女にプロポーズを断られてしまったという心の傷を負ったまま生きてきたのです。

同じく、苦労をして生きてきたカニ子は、その分優しい心を持っていました。

「私はむしろ賃貸のほうが好きよ！ライフスタイルに合わせて引越しができるって自由でいいじゃない♪」

そんなわけで、カニ子とヤドスケは、配信枠のみんなに結婚の報告をしました。

みんなに祝福をされながらも、これからはひっそりと暮らしていきたいと、配信サイトを寿引退しました。

ちなみにカニ子は現在、ヤドスケとの子供をお腹に宿しています。

性別はまだわかっていません。