はなさないで・美少女A・あまくないな

京極 道真  

第1話 ハンド

「バッチーン」手を弾かれる。

脳内告白。いつものパターンだ。

告白ゲーム終了。どの美少女にもフラれっぱなしだ。

朝から撃沈かあー。1月からの攻略。未だに手が届かない。

「アキラ、ご飯よー」

僕は机から離れた。

「春休みだからって、ダラダラしない。

徹夜でゲームしてたんでしょ。

また、ほら目の下のクマ。

4月から3年生よ。勉強しなさいよアキラ。」

「あーい。」口にコロッケ放り込み返事する。

「ポカン。」

「いたっ」パワフルな母さんのゲンコツ。

「口にものを入れて返事しない!」

急ぎ飲み込み。

こういう時は小言が長くなる。

すぐに返事「はい。」

「アキラ、これから母さん、おばあちゃんのとこに行くから。夕食は冷蔵庫にあるから、レンチンで。父さんとアヤには伝えたからね。

じゃ。」母さんは出かけた。

僕は流しにお皿を運び、再び部屋の机に。

PCの立ち上げ画面?違う画像?

「ウイルでも入ったか?」

「ばーか、お前のような小者のデータなんか盗むか。」

「画面からさっきフラれた美少女Aがしゃべりだす。」

「ちょっと待って、さっきのゲーム内じゃ、

めちゃ可愛いしゃべりだったのに、乱暴だな。

キャラ変わった?」

「今が素だ。ゲームは設定のキャラを演じてるだけだ。」

「へえー、使い分けか。ひどいなー。でもそうっか。結構、ゲームの美少女役も大変だな。」

「そうなの。こちらのPC世界でもバイトは大変なのよね。おしゃれもしたいし。洋服も買いたい。

それより、アキラに手伝って欲しいことがあるの。来て。」

画面から美少女Aの手が伸び、僕はPC内へ。

「えっーー」

まわりを見回す。どうやらゲームの世界に僕は、入り込んでいるようだ。

「そうよ。ここはPC内私の側の世界よ。アキラ側の世界と大して変わらないでしょう。」

「確かに。」

「この世界はアキラ側の人間が造り出したの。だからほぼ、一緒。家族もいれば、学校もある。私は今、春休みで美少女A役でのバイト中。

でアキラにお願いしたいのは、先週のバイト代、5000ビル少ないの。このPC内の世界では人間は絶対権を行使できるの。

人間の言うことには逆らえないようになってるの。」

「神様的な?」

「たぶんそう。でもそんなの私にはどうでもいいの。会社に言って。バイト代取り戻して。

春服、もうお店に取り置きしたの。お願いしたの。」

美少女Aのキャラでお願いされる。

僕がいやだと言うはずがない。

僕は美少女Aと会社へ。

「バイト代ちゃんと支払へ。」

僕の言葉がピカーンと光。平謝りの会社。

「神!ありがとうアキラ。じゃ。バイバイ。」

えっ?美少女Aの姿が小さくなる。PCの画面から「はなさないで。」僕は美少女Aの手をとっさにつかんでしまった。

机へPC、横に美少女Aがいる。

美少女Aが素になる。

「ばかアキラ。強引に手なんかつかむから。」

「だって、はなさないでって聞こえたから。」

「はなさないで?それアキラの妄想よ。

ここのところずーっと告白ゲームばっかりやってるからよ。じゃ、私は帰るわよ。」

「ガタン」椅子から転げ落ちた。

「いたっ。」

なんだ。夢か。手の感触。リアルだったな。

「?」5000ビルの紙?紙幣?

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