ささくれの種類

まれ

ささくれの種類

 あ!痛っ!

 星羅せいらは自身の指を見た。

 そこには、ささくれが出来ていた。

 そのささくれがセーターに引っかかって痛みを感じたようだ。

「星羅くん、どうしたの?ささくれ?」

 きららは星羅が痛そうにしていたのを目撃していた。

「あー、これ皮膚の方のささくれだね」

 彼女はそう言う。

「え?ささくれって皮膚にしかできなくない?」

 彼女の言ったことに星羅は疑問に思い彼女に訊いた。

「それがね。実は二種類あるんだって!」

 星羅は心底驚いた。

「びっくりだよねー」

「それで、二種類って皮膚と何があるの?」

 星羅は気になるもう一つについてきららに訊いた。

「教えてほしい?」

「そりゃ、もちろん」

 星羅は何故かきららに焦らされる。

「それはねー」

「それは…(ごくり)」

 星羅は早く教えてほしいのに何故か引き延ばされ、唾を飲んだ。

「教えないっ!」

 きららはスパッと言い放った。

 星羅はポカンとして開いた口が閉じなかった。

「え?ここまで引っ張って?」

 星羅は混乱していた。

 その間もきららはこの反応を見てゲラゲラと笑っていた。

「うそうそ。ごめんって」

 きららは軽く謝罪するだけしてまだ笑っていた。

「はあ。面白かったー。星羅くんのリアクション」

 どうやら、彼女は星羅のリアクションを見ることが目的だったらしい。

「もう一つはねー。爪だよ」

「え?爪?」

 今度はあっさりと言うきらら。

 しかし、その意外な単語に頭が混乱していた。

「爪ってささくれになるの?削れてるだけでは?」

 星羅はきららが嘘を言っていると思った。

 これも星羅をからかうための嘘だと。

「ホントホント。爪の付け根にある色が違うところあるでしょ?」

 星羅は自分の爪を見ながら頷く。

「ここを甘皮っていうらしいんだけど、ここのささくれが爪のささくれなんだって!」

 確かにここのささくれは過去に何度もなっていた。

 今は皮膚のささくれだが。

「原因とかってあるの?」

 星羅は引き続き、きららに訊いた。

 もちろん、ここまで知っているなら知っているだろうと思ったからだ。

「一番は乾燥だと思う」

 乾燥するこの季節、肌寒い気温ではまだまだセーターやダウンが必要だ。

 そして、またしても星羅は指に痛みを感じた。

 それは、ささくれが引っかかったことによる痛さとは全く別のものだった。

 この時期に起きる痛さを伴うもう一つの出来事は、静電気だ。

 パチッと音を立てて、星羅の指に電気が流れた。

 意図せず指が勝手に動いたような気もする。

「静電気かーそれも痛そう」

「痛いよ。当たり前じゃん」

「セーター着てるし仕方ないよ」

 きららは仕方ないと言ってくれている。

 が、僕はこの静電気はどうにかしたいとは思ってるのだが、どうにもあまり芳しくはない。

「すりすりすり」

 彼女は星羅に身体を摺り寄せた。

「きらら。何してるの?」

「ん-?星羅くんに電気溜めてる」

「なんで、手とかじゃなくて身体を寄せてくるのさ」

「そりゃあ、星羅くんのこのリアクションを見たかったから!」

 要は星羅はまたきららにからかわれたということだ。

 今日も今日とて、星羅はきららをかわいいと思うのだった。

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ささくれの種類 まれ @mare9887

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