第三章前編 未来の恋人編
変わる関係。みんなの反応
第76話 新しい朝が来た
*このお話は短めです。
*ラジオ体操のお話じゃないです。
*この章は少し甘々な部分が多くあります
バレンタインの騒動から三日後、月曜日。
大樹はいつもより十分ほど早く家を出た。寒いからと両手には茜のくれたプレゼントである手袋がはまっている。
普通に暖かくて快適である。
しばらく歩いて大樹は学校に向かう方向とは逆の方に足を向けた。そしてまたさらにしばらく歩き、目的地に着いた。目の前にあるのは和風の大きな塀。立派な門の横にはこれまた立派な木の板に墨のような字で『佐渡』と書かれている。
大樹はスマホを取り出してRIMEで連絡を取る。
大樹 『着いたよ』
アカネ 『分かりました。今すぐ行きます』
大樹は門の前でほんのりと感じた気恥ずかしさに頭を振った。
しばらく待つと門の横の扉が軋む音がして少女が出てきた。
その少女というのはもちろん学校では大樹の隣の席におり、つい先日友達から恋人内定という不思議な関係へと変化した
なのだが……
「そ、その、大樹君……」
「やば……」
「可愛いですか?」
「そりゃあ、ねえ?」
最近まで目元をちょこっと出していた茜だが今日はびっくりせざるを得なかった。
茜は視線を右下に向けてプルプル震えながら一言。
「その、大樹君のとなりに堂々といたいので、土曜日に一年ぶりに美容室に行ってきました……」
茜が髪を切っていた。彼女を守る城壁は消え去る。そこにいたのは普通のメガネの少女だった。どうやら素通しのメガネはまだ外さないらしい。
「可愛いじゃん」
「ありがとうございます」
そうして大樹は茜の手を取ろうとしたが
「だ、ダメですっ!」
「どうして……ああ、そっか、今思い出した」
「はい。ちゃんとした恋人同士になるまではなんでもないことで手を繋いじゃだめです」
金曜日の茜との電話で二人は色々と決め事をしていた。すでに決めてあるのは簡単なものばかりだが、今後増えるかもしれないし減るかもしれない。
とにかく、その中に『ちゃんとした恋人同士になるまで理由がなくスキンシップをしない』というものがある。
「じゃあ、行きましょうか」
「そうだな」
大樹と茜は隣に並んで歩き出した。
大樹と茜が『恋人内定』という新しい関係になったお話です。この章はバレンタイン終わり〜夏休みの終わりの予定です。
【この章+エピローグで完結となります。】
どうぞ完結まで『隣の席の地味子さん』をよろしくお願いします。
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