プロローグ SIDE=T

 人生は楽しむことが最優先。


 辛いことはできるだけ最小限に済むように上手くやって受け流す。


 そうやって今までみんなに好かれるように生きてきた。


 名前に含まれた意味に背いていることが唯一の気掛かりだ。


 そんな時だった。彼女に出会ったのは。


 俺の気掛かりは一つ増えた。

 隣の席のキミ。

 根暗な陰キャに見えてよく笑うしよく喋るキミ。

 あんまり見ないけど時々見せる昏い眼は何を映しているの?


 悲しいなら泣けよ。

 辛いなら頼れよ。

 嫌なら言えよ。


 そしたら、俺はキミのことを少しは支えられるからさ。

 それで、俺は俺の役目を果たせるからさ。



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