第2話 鈴蘭
「
近くの樹上に待機していた
任務遂行後の片付け等が今回の鈴蘭の役割だった。
しかし、時点は急変。
玄関ホールに到着した桔梗を確認し、次のステップに進むこの時。
手首に着けた無線がアラームを発した。
少し高いこの音は桔梗の異変を示していた。
鈴蘭はスルスルと木から降り、洋館近くに停めたバンに身を隠す。
小型化したことで性能が落ちたPCではある程度接近しなくては仲間の情報が拾えなかった。
小型PCに表示された桔梗のバイタルは恐ろしく弱々しいものだった。
これでは助からないだろう。
しかし、それとは逆に別任務に行ったはずの桜のバイタルは高揚している。
任務がうまく行ったのだろう。
鈴蘭はもう一度洋館を覗こうとして、全てを置いて逃走した。
たった一つ、USBだけを握りしめて。
「桔梗ごめん」
その後、鈴蘭は電車に轢かれてしまった。
貧血によりフラついたところに運悪く電車に接触したものだと断定され、不慮の事故として処理された。
USBは回収したものの彼女同様復元不能まで壊れており中身の確認はできそうにない。
「桔梗さんも鈴蘭さんも今頃は地獄で楽しくお茶会をしているのでしょうね」
桜は二人の写真に薄く微笑むと火をつけた。
「また会いましょう」
桜は燃え尽きる二人を見つめながら、やっぱり笑っていた。
あんさつ部 宿木 柊花 @ol4Sl4
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