迷霧の森について
迷霧の森とは、生き物を惑わす成分を含んだ木の実を実らせる、肉食植物のディシーブランタンと呼ばれる木が主に構成された森である。
このディシーブランタンに生える木の実というのが、生えてから大体2時間程度で自重で落下する。
その時に木の実が割れて、幻惑作用のある液体が流れ出て蒸発、その霧が生き物を惑わせる役割を果たしている。
その霧や液体に長い間晒されていると、脳が侵され完全に操り人形に成り下がってしまう、実際この森に入ったゴブリン達やオーク達が感染して、変異体となってしまうことが多々ある。
人間の場合その幻惑に耐えきれずに、大抵がその状態まで行く前に他の人間と争って死ぬか、自死する。
まだここが未開の地だった頃、ある島国を統治する王様が、この地に探検隊を派遣した。
そしてこの迷霧の森にやってくる前までは、順調に旅路を進めていた。
実際に彼ら探索隊の日記を見ても、明らかな順調ぶりに日記には旅路の様子や、出会った魔物や新種の植物がスケッチされており、端々にくだらないジョークも書いてあり、余裕が感じ取れた。
だが、ある日を境に日記には何も書かれなくなった。
きっとこの時にはもう、迷霧の森に迷い込んでいたのだろう、そしていきなり日付が6日ほど飛び、そこに書かれていたのは文字とも捉えようが無い、ただの波線が記されていて、血液で書かれた謎のスケッチを森の木の下に残し、探検隊は姿を消した。
当時探検隊の全滅は、迷霧の森から出られない恐怖と、幻惑作用のある霧を吸い込んでしまったせいで、それが増長され、仲間すら敵と思い込むほどに混乱した果ての、殺し合いか何かの末、自滅したのだろうと結論が出ていた。
が、この肉食植物が見つかってからは、幻惑作用で惑わされた探検隊が、ディシーブランタンやその他の魔物に殺されたという少し違う結論が出ており。
日記の波線は走りながら書いたのでこうなってしまって、血のスケッチはたまたま開いていたページに噴き出した血が付着しただけという事になっている。
今となってはこの謎は解明されて、それに対抗する薬草などが見つかって、それを服用することで安全になってはいるが、監視員を最低一人連れないと、立ち入れない決まりになっている。
対策方法が確立する前はAランク級の森だったが、確立後はランクCに下がっている。
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