第9話 ~新武器試射会~

 今僕達二人は、再び剣山の林を訪れていた。


 なぜか?決まっている、それは僕の新武器の試し撃ちの為だ!


「いや~新しい魔道具を手に入れたら、やっぱり一番最初にやる事は、試しにそこらの魔物に効果を試す、鉄板ですよね~」


「結構好戦的だね」


「まぁ、程良く耐久性があるものなら、何でも良いですけど」


 そう、何でも良いのだが、動かない的を撃ってても練習にはならないし、実践じゃ相手は止まってくれないので、どうせなら俊敏に動く魔物を、練習台にしようと思ったのだ。


「おっ、いたよハウンドドッグだ」


「丁度良いですね」


 僕はハウンドドッグに狙いを定めて、引き金を引いた。


 すると、銃口から拳大の魔種が放たれて、一直線に飛び、に当たり、弾け飛んだ


「え、木が吹き飛びましたよ?とんでもない威力じゃないですか」


「まぁそれに入ってるのは火の魔種だからね、それも特別製」


「そんなのバカスカ売っていいんですか?」


「いいよいいよ、あいつから貰った残り物だからさ、撃ち尽くしちゃって」


 ハウンドドッグは吹き飛んだ木を見て、びっくりしたような反応を見せたが、すぐに気を取り直し、こちらに向かって来た。


 それを迎撃するかのように、地面に向かって魔種を撃ち込むと、地面が爆発して奴は吹き飛んでいった。


「これじゃ練習にならないですね」


「いやそれが本来の正しい使い方だよ」


「直接当てるの難しいですもんね」


「まぁ直接当てた方が強いんだけどね、ちょっと貸して」


「いいですよ」


 銃をアルテンさんに渡すと、向かって来たホーンラビットに撃った。


 それが見事に、胴体にヒットして、それは弾け飛んで肉塊に成った。


「あんなに小さい的を一発で…」


「慣れればこんなものだよ、まあ食事をする為に狩る時は、あまり向いてないんだけどね、たとえ爆風で狩ったとしても、土や岩がめり込んでてじゃりじゃりしてて美味しくないし」


「対魔物ではほとんど負け無しですね」


「そんなことないよ、Cランクくらいにもなってくると、結構軽々しく避けられることもあるよ、それに一番上のAランクの魔物に至っては、普通にガードされちゃうしね」


「それでも高ランクの魔物を、何十体も倒してましたよね」


「まぁたとえ高ランクだとしても弱点はあるからね、そこに着弾させればかなりの痛手を負わせられるよ、それに相手の弱点となる属性の魔種を的確に撃ち込めれば、ほぼ完封で勝利できる」


「結構知識を使う武器なんですね」


「エヴィーなら使いこなせるさ、だってかなりの知識人だろ?」


「僕なんかまだまだですよ、知らない事だらけです、それに魔道具の知識くらいしか持って無いし」


「あれ、気付いてない?たまにって言ってもここ一日二日だけど、独り言っぽく魔物やらを解説してるよ」


「え!?口に出てましたか?」


「うん結構」


「耳障りだったですか?」


「いや別に、時々俺でも知らないようなこと言ってるから、感心してただけだよ」


 どうやらかなり独り言を放出していたらしい、変なこと言ってないか心配だけど、耳障りになってなくて良かった。


 !


 あの後色々と新武器で試してみたのだが、特に進展は無く、アルテンさんのように当てれることもなかった、結論として、無理に狙うよりかは、動く的の移動地点を予測して、先に地面に撃ち込むなどして倒す方針にした。


 そして日が暮れてきたので、僕はアルテンさんに誘われて、街にある飲食店に来ていた。



「で、どうだった?魔道具使いとして何か改善するところとかあったかい?」


「改善するところはそこまでなかったですね、流石に専門的に作っているだけありました」


「ならよかったよ」


「試し撃ちという試し撃ちはできませんでしたが、使い勝手はわかりましたし、あとは実戦使用で慣らしていくしかありませんね」


「そういえば商業組合から出されたクエスト、あれいつ行く予定なんだい?」


「明日にでも行こうかと、それがどうかしたんですか?」


「いや、ただ気になっただけ、理由は無いよ」


「それにしてもここのポトフ美味しいですね」


「そうだろう?この店結構気に入ってるんだ、宿も近いし門からも近い、便利だよ」


 食事を終わらせて、アルテンさんが泊っている宿に向かった。


 なんとたまたま宿の一室が空いていたので、僕もしばらくあの宿でお世話になる事にした。


 久々のフカフカのベッドに横たわれて、疲れも手伝いその日はすぐに寝てしまった。

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