第4話 ~たとえ野宿でも快適派です~
僕は野宿には持って来いの魔種である、ハウスシードを湖のなるべく近い所の地面に植えた。
そしてそこに魔水を垂らし、少量の魔力を込める。
すると、メキメキと地中から音がし始め、湖の水を吸い始めたのか、先程まで水に浸かっていた場所が微妙に干上がって来た。
そして、地中から小さな芽を出すと、みるみる内に木が箱型に成長し、僕らの背丈を超えた辺りで止まった。
「おぉ…凄い、俺も魔種を武器にしているから、魔種については良く知っているつもりだったんだけど、こんな種類があったんだね」
「結構奥が深いんですよ魔の付く物は特に、それにこの魔種、ハウスシードの為に複数の人間が、生涯を賭けて作り出した素晴らしい物なんですよ、ですがまだまだ改善の余地はありますけどね」
「どうやら君はこういうのに詳しいっぽいね、後で何か話を聞かせてくれないか?」
「分かりました、あっ先入ってて良いですよ、僕はペッツと一緒に荷馬車をここまで引いて戻ってきますから」
「分かったよ、先に中でくつろいで待ってるからね」
エヴィーが植えたハウスシードは、見た目は窓が無くて完全に木箱なんだけど、正面に不自然な出っ張りがあったから、引っ張ってみるとそれは入口だった。
開けて中にお邪魔すると、中心に丸い机と4つの丸椅子が生えて、引っ張ったり蹴ってみてもびくともしなかった。
丸椅子は硬くておしりが痛いけど、地面よりかはマシだね。
丸い机は良い感じの高さで、伏せて寝るのには丁度良いけど、4人で野宿するとしての広さって考えると少し狭いかな。
それ同様に部屋の広さとかも4人前提とは思えないから、エヴィーの言っていたまだまだ改善の余地があるってのはこの事かな。
窓が無いから圧迫感とかあると思ってたけど、むしろ落ち着く湿った森のニオイがして、凄く居心地が良い、身体の疲れが呼吸する度に鼻から抜けていく的な、リラックス効果がこのニオイにはあるのかな。
!
「あれ~こんな遠かったかな?ペッツ……お前が頼りだ、圧倒的なまでの荷馬車への帰巣本能を見せろ!」
そう声を掛けてみるも、ペッツは人語を理解出来ないのか……ある書物には、人語を解せる動物がいると、聞いたことあるが、そこまで簡単に出会えないモノなのか。
と言っている間に着いた。
「よし、ペッツ首と腹を差し出せ、おっと斬る訳じゃないからな、縄を掛けるという意味だ勘違いするなよ」
ペッツの首と腹に装着してある装具に、新しい縄を掛ける。
そして荷馬車に縄を繋いでやると完成だ。
「よぉ~しじっとしてて偉いぞ!それじゃあアルテンさんが待ってるから、歩速通常より2倍で頼むぞ!」
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