第50話 復活の狼煙
シーアルバとの会談は残念ながら途中で終わりを迎える事となった。大提督ネランの興味本位な発言を受け、眷属達が殺気を放ち怒ってしまったのだ。そのまま、退出という形になってしまったがやはり人族との交流は中々に難しい。自分は気にしていなくても、世界樹のポポや眷属達は独自のプライドを持っているため、そこを理解できていないと今回の様になってしまう。
「主人よ、誠に申し訳ありませんでした。シーアルバ一行には、主人に対する言葉には気をつける様にと言っておいたのですが…」
今回、シーアルバの接待は眷属のアーバレスとエルフの女王が頑張って担当していくれたが、まあ暴力沙汰にならなくて良かった。この前の帝国の時は色々と戦争になりかけた事もあるため防げて良かった。それにシーアルバとは、小さいながらも商人同士の交流があるため、無駄に喧嘩はしなくても良いはずだ。それに今回の会談でも直接シーアルバや西大陸の存在の話も聞けたため、色々有意義な部分もあったのは確かだ。
「いや、大丈夫。まあ次から気を付けて貰えば良いさ、他国や西大陸の話を聞けたのは個人的に面白かったし。これからも、商人同士でのやり取りはしていけば良いさ」
「その事なのですが…。先程の男性ウラゼー殿から会談前に相談がありまして、聖樹国に店舗を出したいと打診がありました。いかがされますか?」
「あー、そう言えば今まで他国の店は無かったんだよね。獣人区域の南側なら良いんじゃない?あそこなら傭兵組合とかもあるし、賑わいもあるから。ただ、ルールは厳格にしておかないとね、ウチは結構特殊だから」
「承知致しました。では、シーアルバの店舗に関してはこちらで決めさせて頂きます」
こうしてシーアルバとの会談初日はこうして終わることとなる。だがこれ以降会談は無くなり、次の日は聖樹国内の見学とマイダナ商会が出店するための土地を決めるために、アーバレスが付き添ったとの事で無事に出店場所を確保出来たそうで良かった。
そして3日目の朝には大提督であるネランは帰国となり、商人のウラゼーはこのまま聖樹国にてお店経営に勤めるらしい。聖樹国内には他国では珍しい野菜や果物もあるため、上手く他国で捌けば良い利益になるはずだけれど、まだ貨幣制度は自国では成立していないため基本的に物々交換になるため、あちらとしては少しやり辛いかもしれない。
こうしてなんとか会談が終わった後に、ゆっくりと日常を過ごしていると、ポポから話が出る。そう今まで保留にしていたエルフ達の事だ。
(世界樹の実が生み出せる様になったけど、エルフ達にあげる?)
「確かエルフの女王が食べると魔法が使える様になるんだっけ?エルフの女王であるラズーシャも魔法が再び使える様になれば、喜ぶんじゃないかな」
以前から話を聞いている事は、世界樹の実は大体エルフにあげていたこと。それとこの身体で生み出すと栄養を取られ身体が小さくなるようだ。今の身体はかなり大きい為、多少は小さくなっても問題ないだろう。
ただ、フォレストドラゴンが世界樹の実を生み出すのはおかしいため、世界樹の事がバレてしまう事が懸念ではある。
「エルフ達は昔から付き合いがあるから問題ないと思う。世界樹の実をあげればより一層励んでくれるはず、それにバレても特に問題はない」
「確かにポポの方が、長い付き合いがあるからその辺は大丈夫か。それなら今外に出ているエルフ達も前よりは帰っているとは思うけど、全員ここに戻してエルフの皆が分かるように世界樹の実をあげよう」
そうして、善は急げとエルフの女王ラズーシャ、No2のネイシャに傭兵組合長のララシャを呼び出す。
「ぺぺ様、只今参上致しました。本日はどういった御用件でしょうか?」
「ああ、皆良く来てくれたね。まあ勿体ぶるのもアレだからね、話というのはもしエルフの皆が魔法を使える様になったらどう思う?」
エルフの女王は魔法の事を聞かれ、一瞬だけ表情を変えたが、すぐに元に戻し淡々と話だす。
「私どもは世界樹の恩恵により、以前は魔法が使えておりました。しかし3年前の竜魔大戦争以降は皆一切使えなくなりましたので、もし再び使える様になるのであれば天にも登る気持ちでしょうか…。ですが、それは不可能というものであります。世界樹は失われておりますので、その証拠に今世界は乱れて狂いだしております」
やはり、エルフには魔法が必要なようだ。まさかラズーシャが天にも登る気持ちと言うなんて思わなかったし、世界樹がフォレストドラゴンに寄生しているため感知出来ない様だが、教えて上げるしかない。
「これはフォレストドラゴンだから言えるんだけど、世界樹は滅んでいない。まだ生き残っているよ、この身体の中でね」
「なっ!?」
「えっ!!!!!」
「まさか!?」
エルフ達3人は驚き過ぎて、信じられない様だ。まあ、世界樹が寄生しているなんて眷属以外分かるわけないから、仕方ないのだけど。
こうしてエルフ達の復活の
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