第26話 新しき国作り

 エルフのネイシャとララシャ、冒険者のアライナ。獣人のムーラム隊長とこれからの国作りについて話を進めていく。

 またエルフは外から全部戻った場合は1500人おり、獣人は5500人のため合計は7000人の規模の都市国家レベルになる。

 だが、防衛力の観点で見れば木人達がいるので、火魔法にさえ気をつければかなりの戦力になりそうだ。

 

 今はエルフの女王ラズーシャが、ラスマータ王国に軟禁されている為、ネイシャが仮の代理人として頑張っているが、解放してもらうには金貨50000枚を支払わなければならない。そのため、都市拡張と金策を並行してやらなければならないのだが、ラスマータ王国の現状が気になる。

 マーバイン王国での魔物の軍勢と戦い、ラスマータ王国が敗走してからの動向が掴みきれていない。兵隊も農民からの徴収兵が基本のため帝国と比べるとかなり弱い。


 そんなこんなで、国の運営はネイシャとムーラム隊長に任せる。ララシャは元傭兵なので傭兵組合の代表を任せる事を言うと頷いてくれた。冒険者組合の代表をアライナに任せようと話すのだが…。


 「いえいえいえ!私には無理ですよ!魔法なら風魔法が少し使えますが、人をうまく使うのはちょっと苦手で…」


 確かに無理強いする訳にはいかず、どうするか悩んでいるとムーラム隊長が助言をしてくれる。


 「でしたら冒険者組合は、こちらから人出を出します。こちらはまだ人がいるので、足りなければ傭兵組合にも派遣出来ます」


 避難民の中には、ムーラム隊長より偉い人はいないため獣人の人事権は任せている。元は1000人隊長をしていたため、色々手慣れているため有難い。


 また都市の衛兵は、ムーラム隊長が率いる兵隊の200人とし、避難民からもう少し募る予定だ。さらに中級木人500体を見回りに付ける。

 城門前にはギガース級10体とオーガ級80体を防衛に回す。残りは近くの偵察や、土木工事に当てる。


 当分は炊き出しをしながら、戦える者は傭兵組合か軍隊に所属してもらい竜魔の森で動物や魔物を狩ってきて貰い食糧の供給に役に立って貰う。戦えない者は雑事や、土木工事にも回していく。

 幸いながら、竜魔の森には自然豊かで狩りや採取にも困らない。

 

 また新しい国の名は、エルフの女王を返して貰ってから付ける事に決め、取り敢えずの仮称は精樹国とだけにした。


 ある程度決まった所で、今日は一旦解散とする。その後は、待ちに待ったヤドリギの使い道について考えていく。


 まずは、棲家から外に移動して既存の上級木人のレベルアップからだ。ドレーク、エルジュ、ナギにヤドリギを与えていく。



暗緑の騎士ドレーク Lv54→Lv61


力 160→210

防 210→260

早 110→140

賢 120→160


スキル:剣術Lv13 盾術LV14 水魔法Lv11 風魔法Lv7 水耐性Lv6 風耐性Lv3 火耐性Lv3


称号:フォレストドラゴンの眷属




常盤の執事エルジュ Lv49→Lv56


力 180→240

防 160→200

早 70→100

賢 180→210


スキル:格闘術LV14 土魔法Lv13 土耐性Lv8

火耐性Lv2


称号:フォレストドラゴンの眷属



若葉のメイド騎士ナギ Lv42→Lv51


力 130→170

防 150→190

早 80→120

賢 100→150


スキル:両手剣術Lv11 水魔法Lv7 土魔法Lv7 水耐性Lv3 土耐性Lv3 火耐性Lv2


称号:フォレストドラゴンの眷属



 木人達の新しい情報が頭の中にスッと入ってくる。全体的にみんな良い感じに強くなっているようだ。


 そして次は新しい上級木人の作成だ。


 ずっと前からどんな木人がいいか考えており、今回は諜報活動に長けた忍と都市運営の中核となる執政官の2体を呼び出す。忍は速さ重視で作り、基礎の色は葉の裏側のように渋くくすんだ薄緑色をイメージし、今回は鎧ではなく忍び装束に頭巾を頭に被せる。

執政官は武力は最低限に抑え賢さ重視で作り基礎の色は秘色ひそく色とし、青磁の肌のような浅い緑色イメージする。こちらはいつもの鎧である。


 (今回は2体同時なんだね、がんばる)


 もうポポ無しではいられない、今回は2体同時のためサポートも頑張って貰う。そしてヤドリギを草の生えた地面に多めに置き、両手に意識を集中していく。


 そしてお腹に力を入れ、新しく作り出す。


 「顕在せよ!裏葉の忍ヤエ!秘色ひそくの執政官アーバレス!」


 その瞬間、ヤドリギに変化が現れる。球根部が徐々に肥大化していき、約4mまで大きくなった所で球根部の上に碧緑色の大きな花が咲き、すぐに枯れると球根部から斬り込みを入れてヤエとアーバレスが中から出て来る。


 ヤエの背格好は160cmあるだろうか、アーバレスはヤエより高い170cm位に見える。


 そんな2人を見ていると頭の中に、スッと情報が流れ込んでくる。


裏葉の忍ヤエ Lv50


力 120

防 100

早 250

賢 100


スキル:刀術Lv10 投擲術Lv10 風魔法Lv11 火耐性Lv2 風耐性Lv6


称号:フォレストドラゴンの眷属




秘色ひそくの執政官アーバレス Lv40


力 50

防 60

早 40

賢 300


スキル:短剣術Lv3 風魔法Lv3 火耐性Lv2 風耐性Lv2


称号:フォレストドラゴンの眷属



 

 (2人ともなかなか良さそうだ)


 いつ見ても幻想的な光景で、なかなか慣れることのない儀式を終えてホッとしていると、ポポからもお墨付きを貰える。


 そして2人が前に出て来ると、膝を突きながら挨拶を述べる。


 「我が主人よ、お会い出来て光栄の極みでございます。裏葉のヤエ、秘色のアーバレス只今参上致しました。また、世界樹で有らせられるポポ様にも御拝謁賜り、恐悦至極でございます」


 ヤエが代表して挨拶をしてくれる、意外と幼なさそうで優しい声だ。


 (これから、宜しくね。ヤエ、アーバレス)


 「「御意」」


 


 上手く2体の上級木人を作り上げ、安堵し終えると最後に余っているヤドリギを少しだけ残し、それ以外全部栄養として吸収していく。

 いつもこの瞬間がたまらないのだ。竜眼とは違った幸福感が身体に染み込んでゆく。

 するとポポからはいつもとは違う言葉が出てくる。


 (とうとう出来るようになった)


 「ん?何が出来る?」


 (世界樹の実)


 ポポの言葉に嬉しさと驚きで、口を空けたまま絶句するのであった。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る