第10話 新戦力
「やっぱりそうだ。今度は僕の言葉が解りますか?」
美味しい竜眼に感動していた団長さんに話しかけると、動転しながらも素直に答えくれる。
「あ、ああ言葉が理解出来る。一体どうなってるんだ」
さっきまで理解出来なかった言葉が解るようになると、逆にその事で団地さんは頭が混乱しているようだ。しかしこれで確定する事が出来た、竜眼は至高の美味しさもありながら滋養強壮満点、体力回復に、怪我の治癒もついてまだ効果がある。
(食べた人が、私達の言葉がわかるんだね)
つまりはそういう事だ。ただ、言語の根本的な解決には至っていない。
竜眼を渡して食べて貰うのを見知らぬ人にそうそうやれる事ではない。そう思案していると団長さんが不安そうな顔で質問してくる。
「助けてくれた事にはとても感謝している。正直あんたらが来てくれてなかったら間違いなくこの城塞都市は陥落していた。だけど、1つだけ分からないことがある。あんたの風貌を見ただけでも只者じゃ無いことも分かるし、騎士殿もこの街で全く見かけた事がない。こんな猛者なら間違いなく名前が上がるはず。一体あんたらは何者なんだ?」
その質問に場の雰囲気が変わる。
本当の事を言うか少し悩む。正直な所全てをまだ信用出来てない部分もある。ただ、この団長さんは人として悪くないとは思う。そう思巡らせていると急に土下座していた女性が、ムクッと立ち上がり団長さんに詰め寄っていく。
「何を言ってるんですか!?この御尊像はどこからどう見ても森の精霊様に決まっているじゃないですか!私も命を救って貰った身なのでよく分かりますし」
まさか、関係ないと思っていた土下座していた女性が詰め寄って来るとは思わず団長はしどろもどろになってしまう。
「いや、、、まあそうなんだが。ちょっと気になってしまってな」
実際には違うのだが、まあ多少は似てるとこもあるとは言えなくも無い。と言うか精霊っているのだろうか?
(森の精霊はいるよ、今は見かけないけどお友達)
なるほど一応いる事はいるのか。なら取り敢えずはその線で辻褄を合わせておく。
「まあそのような者です。たまたま街の近くに魔物大群が見えまして劣勢みたいだったので加勢しました。エルフ族はもちろん、人族にも敵意はありませんよ」
そしてその話を聴いて土下座女はどうだと言わんばかりに胸を張りドヤ顔を披露する。まあ結果的に、悪い方向に行かなかったから良しとしよう。
またそれとは話は別になるが、重要な物がある。それすなわち、魔物の死体だ。
ドレークにはヤドリギ5体分回収してくれたが、まだ回収していない死体が残ってるはず。それをもらう代わりに交換条件を付ける。
「あとは交換条件になるのですが、竜眼か作物の融通になりますが魔物の死体を譲って貰いたいんです」
「それはこちらとしては凄く助かる、瀕死なやつも数多くいるんだ。ただ魔物の死体を一体どうするんだ?」
「そうですね、栄養にしようかと思いまして」
そう言うと団長は、顔を引き攣らせて黙ってしまった。
その後は、戦場跡に向かいオークは食糧に出来るのでそれ以外の魔物を貰い受けるが、欠損部位が多々有り全部が栄養に出来そうにない。それでも下位種は約150体、上位種6体をヤドリギで回収した。団長さんは、ヤドリギが魔物の栄養を吸収し皮だけにさせているのを見て、顔を青ざめさせ本当に精霊なのかと呟いた。
その後は、瀕死の人に約束の竜眼を食べさせていく。復活した人に土下座の人が、こちらが森の精霊様だと宣伝してくれた。嬉しい誤算だが、これで好感度がかなり上がって結果オーライとなった。また土下座の人は、名前はアライナと言い王都所属の冒険者でB級らしい。
冒険者に関しては何でも屋というイメージで合っているらしく、結構他国まで行く事もあるらしく少人数制であることが多い。
傭兵は戦闘に特化しており、護衛に戦争、魔物討伐が殆どで他国に行く事はほぼ無いそうで大人数の傭兵団を立ち上げる事が多い。 またこの国では、傭兵が主流らしい。
そして善意の施しが終わる頃には、日も暮れて夜がやって来る。ありがたい事に傭兵団が借りている部屋を一室借り受ける事が出来た。
(いっぱい栄養取れたね)
元々の目標は、ヤドリギで栄養の確保をして戦力の確保だった。そしてそれは成功しドレークを呼び出す事に繋がった。そして今ここには、たくさんのヤドリギが集まっていた。今ある半分のヤドリギは自己強化の為に使い、残りは新たな戦力に繋げたい。後はドレークの強化が出来るのかどうかだ。自分のステータスは見れない為、ドレークのスキルを確認してみる。
スキル:剣術Lv11 盾術LV13 水魔法Lv6 風魔法Lv3 火耐性Lv2 水耐性Lv5
身内贔屓を除いてもかなり高く感じる。そして火耐性が種族弱点をカバーしてくれるのでかなり良さそうだ。
「ドレーク、ヤドリギを使えばまだ自分を強化出来そう?もし出来るなら、水魔法と風魔法を強化していって欲しい」
「可能です。ただ魔法は強化していけばいくほど必要な栄養が増えてまいります」
「なるほど、じゃあヤドリギを選んでもらえるかな?」
ドレークは迷う事なく6体のヤドリギを選び取り、手のひらから吸収し始めすぐに枯れ果てたヤドリギが残る。それは回収しておく。そしてドレークのステータスを確認する。
暗緑の騎士ドレーク Lv54
力 160
防 210
早 110
賢 120
スキル:剣術Lv11 盾術LV13 水魔法Lv7 風魔法Lv4 火耐性Lv2 水耐性Lv5
称号:フォレストドラゴンの眷属
どうやらレベルが2上がり、力10防10早10上がったようだ。スキルでは水魔法がLv7に風魔法がLv4に上がったようだ。
(良い感じに上がったね)
「成功したね。良かった」
「恐悦至極に存じます」
ドレークも満更では無さそうだ。
そして成功を見届けた後は、新しい戦力を追加するために呼び出すヤドリギを選ぶ。どうしても木の部分を隠す為にフリューテッドアーマーとヘルムは基本となるがこればっかりは仕方ない。今回のイメージは執事を思い浮かべイメージする。
(サポートは任せて)
今回もポポがサポートに回ってくれているみたいだ。そして今回はドレークの時とは違い、ヤドリギを10体集めて、両手の手のひらをかざす。そしてお腹に力を入れ、新しく作り出す。
「顕在せよ!常盤の執事エルジュ!」
その瞬間、10体いたヤドリギに変化が現れる。ひとつ、またひとつくっつき合い、やがて大きなひとつのヤドリギになる。そして球根部が徐々に肥大化していき、約2mまで大きくなった所にそこからエバーグリーン色の大きな花が咲き、すぐに枯れると球根部が上から裂け落ち、優雅にエルジュが中からゆっくりと歩いて出てきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます