第4話 十日間



 ルカが任務中の十日間、僕とチグサは僅かに兄妹仲を深めていた。


 最初は一緒に買い物と料理すら気不味かったが、今では風呂を共にする仲だ。兄妹仲は一歩前進と考えていいだろう。


「兄さん……、ちょっとは抑えてよ」


 念の伝導率を高めたいのでお互いに下着姿だ。というかチグサはブラジャーをせず、堂々と勃起した乳首を僕の胸板に押し付けていた。


「…………ご、ごめん」


 チグサは念の所為だと言い訳できるが、僕は――


「やっぱり妹でも意識しちゃうよね……。別にいいんだよ、私は性的に見られても嫌じゃないからね……?」


 もはや自分が男嫌いなことを忘れている様な口ぶりだ。挑発的な言い方でチグサは悪い笑みを浮かべていた。


 華奢で低身長なのに、獰猛で妖艶な印象がある。彼女の小さな美乳を健気に押し付け、僕の欲望を駆り立てた。わざとだ、絶対に。


「……すごく熱い。……本当にしなくていいの? こんなに勃っているのに?」


 少し腰を動かし、チグサは僕の肉棒を刺激した。彼女はギラギラした瞳で、あきらかに僕の反応を楽しんでいる。


 僕は悪戯される側になってしまった。何とも間抜けな話だ。正直、男慣れしていない女なんて楽勝だと侮っていた。


 盲点だった。よく考えたら僕もまた女慣れしていなかったのだ。


「く…………っ!」


 悔しさが込み上げるほど、肉棒の勃起が激しくなる。


 少し泣きそうだった、なんて僕は情けないんだと。こんな処女の意地悪に興奮するとは思わなかった。


 盲点だった。よく考えたら中古より処女の方が魅力的なのは当然だ。可憐な容姿の処女からエッチな悪戯されて興奮しないわけがない。


「……妹とは性行為なんて考えられない。血縁者と子作りとか、おかしいだろ?」


 本当は実妹と恋愛したい。血の繋がりなんて寧ろスパイスだろ。そんな本音を我慢して僕は嘘をついた。


 反吐が出る真人間気取りな馬鹿の価値観を口にするのは、血が滲むような思いだ。自然と声音に悲哀が交じり、震えてしまう。


「そっか……。そうだよね……。私も無理……。血の繋がりがある相手なんて……」


 あからさまにチグサは落ち込んでいた。こんなやり取りを最近は繰り返している。どうにもチグサは僕と結ばれたいらしい。


 涙目で悲しそうな表情を隠すように、彼女は目を閉じて僕の口に舌を捩じ込む。愛情を少しでも伝えたいのか、必死に舌を絡めてくる。


 カナタの言っていた男嫌いという話は何だったのか。


 気が狂うほど興奮しているのにも関わらず、決して僕を押し倒そうとしない。


 ちゃんと恋愛してから交わりたいという健気な気持ちが伝わる。


 しかし可愛い妹の誠実な気持ちを優しく受け入れるほど僕は甘くない。


 とにかく押し倒してくれなきゃ嫌だ。これは我慢比べで、意地の張り合いである。


 自分から相手に迫らない。相手の告白を拒む。襲われて初めて受け入れる。それこそが僕の流儀であり、生き様だ。


 物事には通すべき筋というものがある。強姦以外で僕を口説き落とせると思うな。そういう話だ。


 ―――――――――――――――――――――


 【★】してほしいです!


 モチベが上がります!




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【深窓のフミカ】 タブロー @taburou23

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ