【KAC20244】 黒猫サファイアの接客

るしあん @猫部

黒猫サファイアだって癒されたい !

  ── 七之助の料理屋 ──


【サファイアside】


「納税はいたしません ! 」


  聞こえてきた声に、お客様たちを見ると皆がテレビに釘付けだった。

  テレビでは国会中継が放送されて、政治家の人が悪びれもせずに開き直りをしていた。


  それを見ていたお客様の心が一斉にんだ !


  せっかく、七之助の料理で和やかな雰囲気だったのに台無しだよ !

  七之助の書いた小説は下手だけど、料理は上手で美味しいのに !


  ボクとさくらのダブル看板猫で、お客様を癒すのに一生懸命に奉仕した。


  ボクは女性のお客様に、さくらは男性客に……

  ボクと違い、さくらは女性が苦手らしい。

  七之助の奥さんの栞ちゃん、娘の八重は大丈夫だけどね。

  七之助が、さくらを甘やかし過ぎたせいだ、間違いない。

 


「ニャァ~ン、ニャァ~ン」


  さくらが男性客を相手にすると、さっきまでテレビを見て、ていたお客様の目がやわらいだ。

  オォッート、ボクもさくらには負けられない !

  女性客の側に行き甘えた声とスキンシップでメロメロにしてあげた。

  あんなムサ苦しいオッサンのことなど忘れてしまいなよ !


  ボク達にかかれば、感情が荒んで、刺々しくなったささくれ立ったお客様も気分が落ち着く。

 それくらいは、お安いご用さ !


  お昼時が過ぎて、満席だった客席も食事を終えたお客様が帰りだした。

  先ほどまで、ささくれていたお客様も七之助の料理とボク達のいやしで、スッカリ付き物が落ちたような顔をして帰って行った。


  しかし、一人だけ、ポツンと最後まで座っていたお客様は違っていた。

  黙って国会中継を見ているのに、そこからは怒りも憎しみも感じらない。

  感情が読み取れないだって !

  あやしい……ボクの猫魈ねこしょうとしての本能が告げていた!

  おそるおそる近づくが、それに気が付いた男


「これはこれは、サファイアさん。

  わたくし、こういう者です 」


  名刺を差し出してきた。

  そこには……


「閻魔大王の一等書記官 ! 」


  思わず人間の言葉が出てしまった。

  不覚 ! 普段は普通の猫のフリをしているのに……


「ええ、サファイアさんのスカウトと閻魔大王の孫娘 ゆかりさまの想い人である七之助さまを観察しに来たのですが…… 」


「エッ、ユカリンは、まだ諦めていなかったの !? 」


  八重や十八番が幼児の頃に地上に遊びに来たユカリンは七之助に一目惚れ、ユカリンを追いかけて来た桃太郎の孫、桃姫と大騒動を起こした。


  その時のことを思い出したボクの胃は……

  閻魔大王の一等書記官は、ボクの様子に気が付き


「また、出直して来ることにします。

  お大事にしてくださいね、サファイアさん 」


  「お大事に思うなら、もう来ないでよ !

  ついでに、ユカリンと桃姫も来させないでよね !」


  思わず本音をさらけ出していた。

  普段はクールなボクでも、ている今は冷静な判断が出来なかった。


「これは、申し訳ありません

  閻魔大王の爺バカ……コホン。

  大王が孫娘を心配してのことですので、これ以上は迷惑をかけませんので、お許しください。

 その代わりと云う訳ではありませんが、善良な日本人のである彼ら彼女らは、必ず地獄の裁判での元に地獄へ……スミマセンね。

 これ以上は、地獄のマル秘事項なので話せません。

 サファイアさんが、我々の仲間に成ってくれるのなら別ですが……」


「ごめんね、そのお誘いは受けられ無いよ。

 ボクは、七之助一家の行く末を見守ることにしているからね 」


「残念です……」


 地獄の一等書記官は、素直に帰って行った。



 ◇◇◇◇


 その夜、七之助の家で……

 ていたボクは、


「さくらもサファイアもご苦労様 」


「「ウニャァ~ 」」


 七之助の胡座あぐらに入ったボクとさくらは、七之助からマッサージをされていややされいた。



 ◆◆◆◆


 黒猫サファイア▪シリーズは、


【黒猫サファイアと三毛猫さくらの日常 ~ 猫魈?猫又! 日常は妖怪、吹き溜まり !! ~】

 https://kakuyomu.jp/works/16817330656371904675


 のその後、続編に成っています。

 よろしければ、読んでくださいね。


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