カクヨム甲子園2022に参加するにあたって、「アンスリウム」の他にもあと二作品を書いた。そのうちのひとつが、「スノードロップ」というものである。また花かよ、というツッコミは是非胸の内に秘めず私を引っ叩いてほしい。

 端的なあらすじを。

 

 主人公の雪音秀治は、幼い頃から祖父が嫌いだった。正月などの親戚の集まりで誰も興味のない話を延々と垂れ流す祖父と、それに対して周りの大人がうんざりしているという景色が嫌いだった。祖父の葬式で涙が出なかった秀治が無理にでも泣こうとしたのは、悲しみを表すためではなく、周りの視線が痛かったからだった。

 現在。秀治と結婚した由落は、不治の病に侵されて、ただ病院で死を待っていた。

 

 

 正直、この作品は私が書いてきた中の短編で一番完成度が高いと自己満足している。今まで謙虚にこの文を綴ってきたものの「スノードロップ」だけは、今このエッセイ(?)を読んで気になった方がいたら是非読んでほしい。と、勝手ながら思う。先程のあらすじを途中までしか書かなかったのはそういうことだと思ってほしい。

 

 という前提を置くことにより、書くことがあんまりなくなってしまいました。あーあ、私のせいです。バカがよ。

 ひとまず書くことがあるとすれば、秀治が持つこの感覚が私の実話ということである。由落の事ではない。全然現役大学生なので結婚してない。祖父のことである。

 実際、私の母方の祖父は正月の親戚の集まりで誰も興味ないサッカーの話をずっと続けるし、それによって眼前の飯に手を出せる雰囲気ではない。毎年のことである。全く知らない選手の武勇伝を無理やり聞かされてる親父がマジで可哀想だなと毎年思っている。

 それをモデルに、秀治の祖父を書いた。聞き分けのない子供を見ているようで気分が悪かった、と本編に書いたのも、私の本心である。

 

 しかし、本作においてやりたかったのは、文末のギミックである。いろんな前置きを経て、最後の一節を書きたかったのだ。気になる方は是非読んでみてほしい。

 誘導してるみたいでなんかズルいよね。

 ほらあの詐欺広告みたいな。

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もうあの頃には戻れない 軍艦 あびす @a_gunkan

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