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高校二年。これは私の高校生活三年間において、比較的マシだった程度の記憶である。一年の頃があまりにもカスすぎた故の結論という事なら、まあ仕方ないだろう。
二年前期の頃は、あまり大きな創作活動には至らなかった。時々短編を書いたり、未だ終わりの見えない作品をダラダラと書き連ねていた程度である。何か理由があったわけでは無いのだが。
昨年のあれこれを引きずって原稿用紙から隔絶していた私は、とりあえずとカクヨム甲子園2022に向けて短編を書こうと意気込んだ。正直何を書いていいのかも分からないまま、ただそれっぽい駄文を綴っていた。今にして思えば、忖度した末に媚びたものだったろうか。
最初に完成したものは「アンスリウム」という短編である。
主人公の槙原がバイト先の先輩である木野と焼肉を食いに行って、あーだこーだ言い合うという内容だった。職務中に槙原が見せる分かりやすすぎる作り笑顔と、その内面に心配を向ける木野という構図。メッセージ性なんてカケラもないが、まあ書いただけでも儲けものか。
作中にて夜遅くまで営業している飲食店を探すシーンなどでは、某ウイルスの影響を表現してみたりした。私が今まで延々と記してきた絶対的なフィクションに、少しだけ反抗するリアリティである。
また、ラストのシーンには、まあいろんな解釈があって欲しいなという念を込めている。一応制作側の解釈としては「過去の自身と同じようなことをしている槙原に気付かないうちに惹かれてしまった木野が、うっかり口を滑らせた」「槙原は経験の浅い高校生らしく、慣れないその言葉に鈍感なフリをした」という感じである。ただ、これらの考え方は人によって多種多様だろう。私が槙原なら、そうしていた。それだけだ。
そして、これを書くきっかけとなったのはやはり、私も槙原と同じような事をしていたからだろうか。作中の展開ではなく、彼を蝕む「ヘタクソな仮面」の方である。残念ながら、私も彼のように、興味のない人間との関わりに死んだ目を向けてしまうクセを持っている。そしてこれを書いている現在でも、未だ治る様子は全くと言っていいほど無い。本当にどうにかしたいものである。
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