【KAC20244】苦しい時に初めて友だちの大切さを知る。

姫川翡翠

東藤と村瀬と学歴コンプレックス

「東藤久しぶり。どしたんお前めっちゃ髪伸びたな」

「なんかもう面倒くさくてな。切らんくても死なへんしお金ももったいないし」

「ドラ〇もんみたいになってるで」

「どういうことやねん」

「ほら、髪がちょうどあの青い部分みたいになってるってこと」

「意味わからんわ」

「……」

「……」

「ほな今日は焼肉行こか」

「ええけど」

「……あのさ」

「なに?」

「誰がなんと言おうとも、お前ができるやつやってのは僕が一番わかってるからな」

「なんやねんいきなり。気持ち悪いな」

「とりあえず、苦しくなったらいつでも言ってなってこと」

「……」

「一緒に死ぬくらいはしてやろう。それ以上は勘弁やけどな」

「……重いわ」

「まあな。なんせ僕お前しか友達おらんし。大学でも普通にぼっちやし」

「……はぁ、バカバカしい。もうやめやめ」

「お?」

「ええよもう。はいはい、ちょっと第一志望の大学滑っただけで絶望してた俺が悪かったですぅ。全然連絡せんくてごめんなさいでしたぁ」

「ふむ」

「人生終わったとかなんかもうどうでもいいとか死にたいとか思ってたけど、村瀬にそこまで言われると『大袈裟すぎやろ』って思ってしまったから、結局そんなもんやって気が付いたわ。しかも、そもそも浪人する覚悟もなかったくせにって感じやしな」

「せやろ?」

「そうやん。だいたい所属する大学の偏差値で何がわかるねんっちゅー話や。だいたい高校の成績とか模試の偏差値は俺の方が村瀬より高かったし」

「おい」

「しかも、大学のゼミとかでグループ活動してると正直レベルが違い過ぎてなんか『俺TUEEE』状態で逆におもろいからな。それに民間やったらわからんけど、公務員なら学歴も関係ないし」

「お前性格悪すぎやろ」

「おい! 最後まで慰めろよ!」

「とりあえず髪切れば? キモいで」

「今から行こかな」

「別にええけど」

「行くわけないやろがい!!」

「テンション壊れてるやん」

「うぉー! 焼肉行くぞー!」

「おっしゃー! 食うぞー!」

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【KAC20244】苦しい時に初めて友だちの大切さを知る。 姫川翡翠 @wataru-0919

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