第5話 友達


 今夜は月がとても綺麗だ…風も程よくあって涼しいまである…




 僕は毎日、公園の中を通って会社へ行き来しているのだが今日の夜の公園は月の光で木の影がまるで川の様に思え公園の黄色い街灯の灯りがまるで飛び石の様に連なっている。偶然にも今日はいつもよりも人通りは少なく僕は連休中に行った温泉の事を思い出してあた…


 そんな事を妄想しながら歩いていると公園のベンチに見慣れた人が座っていた。


 「香苗…さん?隣にいるのは、お友達…?」


 僕は話しかけたいと思いながらも友達といる香苗さんを邪魔してはいけないと思いそっと影に隠れるかの様に僕は早足でその場を立ち去った。


 「なにを話していたんだろう…」プライベートな事だからそっとしておこう。


 僕は家に着いて部屋の電気、テレビと付けもう慣れた仕草でお風呂へと向かいシャワーを済ませて帰りにコンビニで買ったミートソースパスタを電子レンジで温めていた。一緒に買ったレモンティを飲みながら温めを待って携帯を弄っていると高校の友達から数時間前にLINEが来ていた。帰り途中でもあったし気付かなかったが内容は大したことでもなく「仕事どうー?」と一言。


 向こうは楽しいのだろうか、「普通〜」とこちらも一言だけ返した。直ぐに返事が返ってきて


 「可愛い子居た???」


 よっぽど暇なのだろうか。数時間空いていたLINEに直ぐに返事をよこす友達は…僕はそう思いながらも


 「うーん。可愛いというか雰囲気は良い人いるなぁ。」


 ナチュラルに自分の性癖を晒すかの様に頭では香苗さんの事を思い浮かべていた。


 「まじ?良いじゃん!何歳?どんな人?その人とは話したの?」


 一方的な質問攻めに少し引きながらLINEを返す。


 「20後半かな?結構ドライな感じでさ。軽く話したくらい。事務の仕事してるからさ。あんまり関わらないんだ。」


 「そうなのか。けど亮太から見て可愛いんじゃ無いの????」


 「正直、可愛いかどうかよりも雰囲気は好きかな。」息を吐く様に香苗さんの事が気になっている事を友達に言ってしまった。

 恥ずかしい。


 「えー、良いなぁ。好きな人出来てんじゃん!俺なんか先輩に勧められて風俗デビューしちゃったよ笑」


 「えー、良いね。20歳になったんだし?人生経験?みたいな感じでいいじゃん!」特になんとも思わなかったが取り敢えずの返事で僕は話を切ろうとした。


 「今度、亮太も行ってみなよ!楽しいよ笑あ、好きな人いれば無理か!笑笑笑」


 「そうだね!俺も行ってみよっかなー!」


 あんまり気には乗らなかったが何故か馬鹿にされてる様で強く言ってしまった…


 「良いねぇ!感想待ってるわ!(スタンプ)」


 感想ねぇ。あいつのことだしどんな人指名したとか、何したとか事細かに聞いてくるんだろうな。そんな事を思って一口レモンティを飲んで温めの終わったパスタをテレビを見ながら食べ僕はそのまま眠りに着いた…

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