おとなにはないしょ。②
八万
おとなにはないしょ。
ねえ、よこちん、きのうはアレ見せてくれてありがと。
見たいときは、いつでも言ってね。
うん、今日も見たいな。
おとなにはないしょだよ。
うん、ないしょないしょ。
どうだい、見えたかい?
うん、見えた。よこちんのおもしろい。ふふ。
ぼくにはね、もう一つないしょのものがあるんだ。
なになに。おしえて、よこちん。
しりたいの?
うん。
おとなにはないしょだよ?
うん、ないしょないしょ。
じゃあ、もっとちかくに来て。
うん、なになに?
これが、見えるかい?
よく見えないよ。
もっとよく見てごらん。
あ、ぴょこんてなってる。
そう、ぴょこんてなってるんだ。すごいだろ。
うん、すごい。はじめて見た。
きのうから、ぴょこんてなってるんだ。
そうなの? 痛くないの?
ちょっとだけ痛いけど、ぼくは男の子だからへいきさ。
よこちん、かっこいい。
そう、よこちんはかっこいいんだ。
でも、よこちん痛いのかわいそう。
こんなのへっちゃらさ。
あたし、よこちん助けたいな。
ありがと。ほんとは一つだけ痛くなくなる魔法があるんだ。
なになに? おしえて、おしえて。
どうしても知りたいの?
うん、あたし、よこちん助けたい。
おとにはないしょだよ?
うん、ふたりだけの、ないしょないしょ。
じゃあ、目をつぶってみて。
うん、つぶったよ。
つぎは、口をあけてみて。
うん。
じゃあ、つぎは口をゆっくりとじてみて。
ありがと。口をあけて?
え、もういいの?
もう痛くなくなったよ。ありがと。
もうちょっと、したかったのに。
もうじゅうぶんさ。でも、まだやってほしいことがあるんだ。
うん、やる。
ぴょこんてなってるこれをぬいてほしいんだ。
どうやってぬくの?
ぴょこんてなってる、ねもとをつまんで。
こうかな。
痛っ。
あ、ごめん。
はやくぬいてっ。
えいっ。
わぁぁぁっ。
はわわっ。
はぁはぁ、ありがと。
痛かった? ごめんね。
このことは、ふたりだけのないしょだよ?
うん、ないしょないしょ。
ぼくの指のささくれは、おとなにはないしょないしょ。
おとなにはないしょ。② 八万 @itou999
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます