【KAC20244】多分、ささくれ。

豆ははこ

きっと、ささくれ。

「お前、世界史をなめてるだろう」


 豆ははこ、若い頃。女子高校生、豆高生です。

 

 漂う、不穏な空気。

 世界史で赤点を取り、お説教。

 若い教員でした。


 正直、『これは、殴られるのだろうか』そう思いました。


 赤点を取ることはよくないことですが、殴られる筋合いはありません。

 豆高生、反射神経に自信がないという自信があります。


 振りかぶられたら、まずい。


 教員は一応、答えを待っていました。


「なめていません」


 事実でしたので、そう答えました。


 ……とりあえず、殴られませんでした。


 周囲には他の先生方や生徒たちもいて、もしもの時には止めようとはしてくれているようでした。

 職員室か、廊下か、学年集会の終了後か。

 周囲に人目がありましたことを覚えております。


「嘘をつくな」

 嘘ではないのですが。


 これは言わないほうがいいな、と、沈黙。


 すると。

「課題は出すように」


 終了です。


「分かりました」

 即答しました。

 課題でしたらまとめればいいので、試験よりはよいものが出せます。


 教員はまだ何か言いたそうでしたが、無言です。

 特に怖いとは感じませんでした。


「なめてるだろう」の理由は想像できます。


 豆高生、日本史は満点に近い点数だったのです。


 日本史の先生は別の方で、「試験で高得点を取れるなら、授業中寝ていてもかまいません」という方。

 たいへんありがたかったです。


 学習時間という意味では世界史に時間をさいていたのですが、伝えたら恐らく本当に殴られるのでは、という予感がありましたので、あのように答えました。


 その後、この教員は教員免許状取得(高校以外?)のために大学に戻ったらしいという噂と共に、高校からいなくなりました。


 もともとよい評判を聞かない教員でしたが、赤点を取ることはよくない、とは思っておりましたので複雑な心境でした。


 世界史の単位は無事に取れました。


 以上、黒歴史と言えますでしょうか。


 思い出してしまえば、心がささくれ立つことでしょう。


 きっと、あちらの心が。

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