みんな倒せる(みんな倒せるとは言ってない)

【sideサタン】

勤勉なる森攻略は順調だった。森そのものといえる樹の怪物、トレントの討伐がメインでたまに出てくる怪獣を退治する。それの繰り返しで森の開拓が進んでいく

「思ったより順調だな。警戒しすぎだったのか?」

トレントを倒した後、泥になってなくなるのでどかす手間がなくなり、戦闘に集中できているようだ。時たま怪我人がでるがポーションで治る程度であるし、これならば私が出るまでもなかったではないか!

「ぐわあー!」

グシャっ

「うわあ!」

トレントと戦っていた一団から悲鳴が上がり、一気に血の匂いが満ちる。

「どうしたのだ!なにがあった!」

「熊よりでかい黒い狼が急に…!すぐにどこかへ行ってしまいました!」

「怪我人は!?」

「そ、それが…」

伝令をしていたものが言いよどむ。

「早く言わんか!」

「そ、即死です!防具ごと胴体を真っ二つにされています!」

なに!防具ごと人を真っ二つにするほどの膂力を持つ巨大な狼だと?

「うろたえるな!総員背中を合わせ、周囲を警戒せよ!」

厚い雲が太陽を隠し、空気が張り詰める

森から集団目がけ黒狼が飛び掛かる!

血しぶきが上がり、瞬時に二人が犠牲になった。

「うわああ!こんなとこ来るんじゃなかった!!」

「サタン様!お助けをー!」

警戒していたにも関わらず仲間が二人もやられ、皆が狂乱状態に陥った。散り散りに逃げ出し、サタンだけがその場に残った。

「舐めるな犬畜生め!貴様など被害を考えなければ容易く殺せるのだ!」

周囲の森を焼き尽くし、毛が燃え転げまわる黒狼に追撃する。

「食らうがいい!炎爆殺!」

超高温の炎を受け、黒狼が炭になり、泥となって溶けた。

「ふう、これで奴らを呼び戻し森の開拓を再開できるだろう」

散っていった者たちを探そうと飛び上がろうとしたその時、

ガサガサ

焼けた森から何十体も先ほどと同じ黒狼が姿を現し、サタンを包囲する。

「何匹いようと関係ない!皆殺しにしてくれるわ!!」

サタンは三日三晩怒りのままに暴れ続け、森の三分の一を焦土と化した。

人々はサタンの威容に恐れおののき、今まで以上に畏敬されるようになったとか。


森は一年で元通りになった




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怠惰を極めた悪魔の僕が魔王軍ではたらくの!? タイムクライムライフ @timeclime

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