終わる日に編む糸は:アルケニー・プロファイル10【カクヨム版】

釣ール

余計な脚色

 いつまでも進化はできない生物と天敵をあざわらっていた。

 大きくて、目障めざわりで、耳障みみざわり。


 何百年、何千年と生き続ける天敵。

 科学と化学。

 火薬に集団心理しゅうだんしんり


 一人を食えねば二人を狙え。

 二人が無理なら一人を確実にからめろ。


 恨みではない。

 これほどの食材があるとは目には鱗だった。

 クモの八つ目にも涙腺るいせんはあるのだ。


 暴れなどさせない。

 生きて返し、反撃をさせないように声すら出させてたまるものか。


 地球では巨大な生物は生存確率が低いらしい。

 なら人より少し大きければ!


 望みを達成するまで長く時間がかかった。

 やっと一人の人間を自分たちの進化を明かさず食うことが出来た。

 これが夢が叶うということなのだろう。


 後は数で攻めよう。

 弱く、変わらないお前たちを満遍まんべんなく食えることでこれまでの犠牲ぎせいむくわれたというべきなのだろう。


 そして我々はもう二度と元には戻れない。

 上がった生活水準を楽しむしかない。


 これでは人間と変わらない。

 そう、変わらないのだ。

 糸で包まれた欲望が我が子のように散った現実は、常に残酷なだけだった。


 それだけ知ることが出来れば我々クモにとっては充分だった。


 次は我々がゆるされなくなる番だ。

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