箱2 【KAC20243】

KKモントレイユ

第1話 箱2 【KAC20243】

 浴室の扉が開いていた。


 恐る恐る三人で浴室の方に向かう。部屋に入ったときは閉まっていたはずの浴室の扉が開いている。


 思い切って入ってみると何もいない。

 排水口に貼られていたお札が破れている。

「なんだよ気持ち悪い」

 三人は顔を見合わせた。

「ちょっと部屋を出よう」


 部屋の外に出るとBが呟いた。

「僕たちが浴室に入ったとき部屋の方に何かがいた」

「え?」

 Bの言葉に私とAは顔を見合わせた。


 部屋から出て辺りを見回す。人気ひとけを感じないアパートに違和感を感じた。郵便受けにいろいろな物が入っている。

「なんだ。前の住人の郵便物か」

 近所にスーパーのチラシや新聞が入っている。少し外の空気を吸って落ち着いた。先程は妙なことが重なり怖かったが、三人とも幽霊など信じない性分だ。全部何かの間違いだと話しながら部屋に戻ることにした。


「バケモンなんかやっつければいいんだよ」

 などと強気の三人だった。

 部屋に戻ると、さっきまでの変な空気はなくなっていた。部屋を見回すとあの古い『箱』もなくなっていた。

「あれ、狐につままれたみたいだな」

「そうだな。疲れていたのかもな」


 一通り片付けた頃には暗くなっていた。今晩は気味が悪いから泊まってくれとAに言われ、私とBは泊まることにした。

 残りの片付けは、また明日しようということで空き箱の一つに郵便受けにあった新聞を敷き、ドライバーやペンチを入れておくことにした。


「あ」

 ベルトが壊れたBの時計が箱の中に落ちた。


 バタン!

 浴室の方から音がした。

「またかよ」


 三人で浴室に向かう。浴室の中には何もいない。後ろでバタンと浴室のドアが閉まった。

 慌てて開けようとするがビクともしない。扉を叩くと鉄の壁のような音がする。窓ガラスを叩いても割れる気配もなく金属音が返ってくる。

 少しばかり開く窓から見える写真でしか見たことがない昔の風景。


「どこなんだ?」


 閉ざされた『箱』の中から助けを呼ぶが誰も気付かない。


 私たちは意識を失った。

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箱2 【KAC20243】 KKモントレイユ @kkworld1983

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